【 #美大受験 2020】残念ながら不合格だった人へ。その1【第2志望か浪人か】

2020年3月14日(土)

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美大受験生の疑問にお答えする「#美大受験2020」シリーズをお送りしてます。

#美大受験 では、ムサビ、または関東美大の一般受験入試(AOや推薦入試じゃない)を具体例で使ってますが、基本的にはどの美大受験にも参考になるはず。
これまでの話はこちら。
東京五美大2020一般入試スケジュールからわかる2つのアドバイス
交通に関する8つのアドバイス
美大入試で必要な持ち物に関する4つのアドバイス【カルトンと食パン】
美大実技試験に関するたった1つのアドバイス
東京4美大2020年度一般入試志願者数(確定版)から言える1つのアドバイス
美大の学科試験に関するたった1つのアドバイス
大学職員っぽい人の勧誘と裏ルートとお守り
「倍率」は全然参考にならないって話1
「倍率」は全然参考にならないって話2
「倍率」は全然参考にならないって話 3
気になる今年の国公立芸術系大学の志願者数【東京藝大は?京都市芸は?】

ムサビとタマビの合格発表について【受験番号がわからない】
美大に合格した人へ その1
美大に合格した人へ その2【現役でもついていけるか?】
補欠は例年何番まで繰り上がるのか?
美大に合格した人へ その3【学費は?】
美大に合格した人へ その4【データで見る地方と東京】
美大に合格した人へ その5【データではない地方と東京の比較】
4つの美術予備校の合格実績を比較してみた

美大受験2020シリーズもあと1つ。

昨日東京藝大美術学部の合格発表があったんで、入試の最終結果が見えてきてる時期だと思います。
というわけで、今日は残念ながら不合格だった方への話を。


自分の実力不足を理解されてる方には「もっと勉強しようぜ!!」と全力で応援します。
藝大なりムサビなりタマビなり東京造形なりを目指して一生懸命頑張った自信が自分にあるのなら、確実に将来を動かせる可能性があるはずで、「受験を死ぬ気で頑張れた」という気持ちが今後の自分に必ず何らかの形で役立つはず。

で、この時期だと「第2志望の学科(大学)にいくか、浪人して来年第1志望を目指すか?」で悩んでる方が多いはず。
以下、「美大卒業生」としての手羽のかなり個人的な意見を書かせてもらいます。
 

それは2つ。
「選択肢が東京の私立美大であれば、浪人はせずに第2志望の学科(大学)に行くべき」
「最後は自分の運と縁を信じるしかない」

です。 


「自分が求めてるものは第1志望のあの学科しかないんだ!」「●●先生に教わりたいんだ!!」という方は頑張って来年チャレンジしましょう。そして「あの大学に行かないと絶対に後悔しそうだから」という強い意志があるのなら、そうするべきです。

ちなみに中国からの留学生は「原研哉先生に教わりたいからムサビの基礎デに入りたい!だから日本語を一生懸命勉強しました!」と情熱持ってアピールする人が多く、その姿を見てると「自分はムサビにどんな先生がいるか全然知らないで受験しちゃったなあ」と恥ずかしくなります・・・。
(タマビだと「深澤直人に教わりたくて」というケースが多いんじゃないかしら)


でも、第1志望の選択理由が
「周りの人があっちの方がいいって言ってたから」
「仲良しの友達があっちの学科を選んでるから」
「進路や予備校の先生があの学科に行けと言ってた」

ぐらいであれば・・・実は浪人して来年受験するほどの価値はないのかもしれません。

また、
「●●美大だったら●●が学べるって噂だから」
「●●って著名デザイナーを輩出してるって相談会で聞いたから」
「広報の人が『うちの大学は自由です』『少人数教育』と言ってた」
「就職率が高いってWEBに書いてあったから」

という理由だと、「それならムサビでもできるよ」「▲▲のデザインをしたのは誰か知ってる?あれはムサビOBの仕事だよ。君が知らないだけなんだよ」「大学はどこも自由で、それより何ができるか、自分が何をやるか、だよ」「少人数教育って、やれる規模も小さいってことだよ」「あのね、就職率ってね・・・」と手羽は数秒で言い返せるし、他美大広報さんもきっとそうです(笑)

例えば、ムサビ生やOBで「ムサビはタマビに比べて著名人が全然いない。リリーフランキー以外に誰がいるのよ」と言ってる人がいるけど、その人に「山本洋司さんって知ってますか?」と聞いてみてください。あ、ヨージヤマモトじゃなくて山本洋司。
多分そんなことを言ってる人は知らないはずで、これをデザインした人です。

話が大きすぎてわけわかんないでしょ?(笑)
山本洋司/株式会社ビジュアルメッセージ研究所
こちらのサイトを見ると、毎日見てるあれもこれも山本さんのデザインだと気づかされるはず。

最近のムサビOBの活躍だと、


第43回日本アカデミー賞で最多4部門を受賞した「キングダム」の監督・佐藤信介さんはムサビ映像学科卒で、やはりキングダムで最優秀撮影賞を受賞した河津太郎さんも映像学科卒です。
ムサビの仲間・絆28:河津太郎
(河津くんは学生時代から知ってるのでほんと嬉しい。おめでとう!)
ムサビ生・OBであっても、普通はどんな卒業生がいるかそんな知らないもんなんですよ。

ちなみに条件に「選択肢が東京の私立美大であれば」とつけてるのは、東京の私立美大はどこもちゃんとしたポリシーと教育カリキュラムでやってるからです。「選択肢が地元の公立大」となると、やはり学費的に国公立大に通う利点があるので、こうは簡単に言えません。

また、「アニメだけ作りたい」「靴のデザインしかやりたくない」と言われると「ごめん。ムサタマでは今あなたが余計だと思ってる教養科目の勉強もあるんで無理。それしか学べない●●大学か専門学校に行った方がいいよ」と答えるしかないっす。


手羽の知り合いで、高校時代「藝大やムサビタマビの油絵に行きたい」と高校の進路の先生に相談したら、「美大の油絵なんて卒業して就職先がないだろ。どうしても美大系に行きたいっていうなら日本大学芸術学部のプロダクトデザインにしろ。日芸も日本大学という総合大学の一つなんだから、そっちの方がいいに決まってる。デザインだし」と言われ、「・・進路の先生がそういうならそれが正しいんだろう・・」とそのまま日芸プロダクトだけ受験し入学した人がいます。
でも結局自分がやりたいことと全然違ってて、中退してムサビ油絵に1年から入り直しました。

ニチゲイがいけないってわけじゃなく(笑)、言いたいのは「高校の進路の先生・・・普通の大人の美大の知識なんてそんなもん」ということと「他の人の意見は参考にしてもいいけど、『最後は自分の意志で決めた』とはっきり言えないと入学してから後悔するよ」ということです。
今だと「東京の美大に入れるより、地元の大学に多くいれた方が高校の評価ポイントが高い」てな嘘みたいな本当の話があるし、地方の美術予備校に説明会で行くと「東京がいいって言わないでほしい。親が反対するので生徒は迷ってしまうし、東京の美大指導もできないし」と苦情を言われたりもします。
だから、熊本の九州美術ゼミナールさんがこれだけ東京に送り出してるのはほんとすごいことなんすよ。


第1志望に選んだ理由はなんでもよく、「通いやすいから」「フィーリング」でも十分。
でも「自分がそこに決めたんだ」という自分の「意思」を確認できないのなら、浪人してまで選ぶ違いはないかもしれません。


続く。


以上、保護猫ちゃんが急遽明日来ることになって、あわててトイレ道具やキャットフードをポチポチ発注した手羽がお送りいたしました。
手羽は子供のころに犬を飼ってたけど、こんなにキャットフードが高いのを初めて知りました。奥さんも「うちのお米の4倍する!」と驚愕してた。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。