【日本一美しい図書館】石川県立図書館に行ってきた

2022年11月29日(火)

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「前に金沢来たのっていつだっけ?」と調べてみたら、2018年に金沢工業大学さんを見学して以来なので4年ぶりでした。こういう時にブログ書いてると便利(笑)

前回までの話はこちら↓
金沢美術工芸大学新キャンパス建設現場見学会に行ってきた


金沢美術工芸大学新キャンパスまで来といて、こっちに行かないはずがないですよね。

それは道路を挟んで反対側にある、

2022年7月にオープンしたばかりの石川県立図書館です。

移転前の県立図書館は、老朽化や耐震基準的な問題、閲覧スペース・書庫不足などから、平成28年の石川県長期構想で金沢美術工芸大学と同じく旧金沢大学工学部跡地に移転・新築が計画されました。
愛称は「百万石ビブリオバウム」・・・だそうだけど、使われることはあるのかな・・。

本のページをめくる様子をイメージした外観。
地上4階、地下1階の建物で、延床面積は約2万2千平方メートル。

金沢の図書館といえば、2012年「世界で最も美しい公共図書館25選」にも選ばれた金沢海みらい図書館が有名ですが、あちらは市立でこちらは県立。

正面入り口。

カフェも併設されてます。

エントランス。興奮が高まる。

受付カウンターは、エントランスと閲覧スペースをまたがって配置されてる。


この図書館の何がすごいって、

写真・動画撮影OKなこと。
また最低限のマナーを守ればおしゃべりを禁止していないんです。
静かに読書したい人のために予約制サイレントルームが準備されてるそうで、普通の図書館と全く逆の発想。

いよいよ閲覧スペースに突入。

圧倒されるってまさにこのこと。
入ると同時にみんな「うわ・・・」となり、立ち止まってしまう。

全体設計は仙田満+環境デザイン研究所。
仙田先生は半円形の段状の空間で有名な国際教養大図書館も設計されてますね。
図書館 [国際教養大学図書館] | Good Design Award

そしてサイン計画は金沢美術工芸大と同じく廣村デザイン事務所、照明は面出薫先生、家具全般のデザイン・監修を川上元美さんが担当されてます。
もちろん2022年のグッドデザイン賞を受賞してまっせ。
図書館 [石川県立図書館] | Good Design Award

利用者の関心が高いテーマごとに本を配置されてるそう。


  • 一番上の4階は「リング」という1周約160mの回廊式本棚になってます

動画も撮ってきました。

天井は「藍色」、東ゾーンは「草」、西ゾーンは「黄土」、南ゾーンは「臙脂」、北ゾーンは「古代紫」と、主に加賀友禅で用いられる金沢の伝統色「加賀五彩」が使われています。

開架冊数約30万冊で閲覧席約500席。
書庫収蔵能力は約200万冊で閉架式書庫が地下1階にあります。

歩き回りたくなるスロープ。

しかし建物もいいけど、家具がいいですね。
石川県立図書館 家具ガイド

3階中央部にあるブリッジから撮ってみた。

2階には研修ルーム、

ものづくり体験スペースなんかもあり、

ラーニングスペース。
館内は飲み物持ち込みOKですが、このスペースでは食事をとることもできます。
中学生や高校生がたくさんいてお弁当食べてました。


  • だんだん広場

屋内広場に隣接した階段状の空間「だんだん広場」は、普段は読書や勉強、デスクワークなど自由に使える場所ですが、可動間仕切りによって講演会や音楽会、上映会などイベントも開催できるようになってます。
この日は古本市をやってました。


んで感動したのは1階のこちら。

こどもエリア。
小さく子供用のエリアを作ってる図書館などはよくありますが、なんと1階の約4分の1がこどもエリアなんです。

こんな立派な遊具がある。これが図書館?!

こどもエリアから直結する屋外広場「おはなしの森」。
植物や昆虫の観察会、農作物の収穫体験などのできるようになってます。

体験スペース。
デンマークで開発されたインタラクティブ・フロア教材「WizeFloor」で学ぶことができるし、普段は寝っ転がれるスペース。
奥には「おちつきのへや」があって、カームダウン室のことかな?


  • デジタルアート「ブックリウム」。これは実物にさわってもらうしかない

こどもの時からこういう図書館を体感してたら「遊びたいから図書館にいきたい!」という人に絶対育つだろうなあ・・。

ちなみに手羽が好きなのはこのページです。
図書館の移転・建築に関わった方々
確実に子供たちにわかりやすく「世の中にはどういう仕事があるか」を学べるように作られてますよね。すべてが学びになってる。

食文化体験スペース。
モニターがついてて、調理のライブ映像や講師の解説画像が見れるようになってます。


国立国会図書館の調査結果によると、年に1回以上公共図書館を利用する人の割合は約4割なんだそう(デンマークは約6割)。
どうしても関係者は「今の若い人は本を読まないから(自分たちのせいじゃない)」という発想になっちゃうけど、「多くの人に利用してもらう図書館にするにはどうしたらいいのか?」「インターネットでは味わえない偶然な本との出会いを生むには?」を徹底的に考えたらこうなった感じ。
どうしても円形の外観に目がいきがちですが、図書館としてのコンセプトが全く新しく、それを落とし込むとこういうアウトプットが生まれた・・まさにデザインの勝利ですね。

以上、金沢旅レポートはこれにて終了・・・てわけにはいかず、来週もう1本書かせてもらいます、の手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。