【 #美大受験2020】 「倍率」は全然参考にならないって話 3

2020年2月11日(火)

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美大受験生の疑問にお答えする「#美大受験2020」シリーズをお送りしてます。

#美大受験 では、ムサビ、または関東美大の一般受験入試(AOや推薦入試じゃない)を具体例で使ってますが、基本的にはどの美大受験にも参考になるはず。
これまでの話はこちら。
東京五美大2020一般入試スケジュールからわかる2つのアドバイス
交通に関する8つのアドバイス
美大入試で必要な持ち物に関する4つのアドバイス【カルトンと食パン】
美大実技試験に関するたった1つのアドバイス
東京4美大2020年度一般入試志願者数(確定版)から言える1つのアドバイス
美大の学科試験に関するたった1つのアドバイス
大学職員っぽい人の勧誘と裏ルートとお守り
「倍率」は全然参考にならないって話1
「倍率」は全然参考にならないって話2
*間違った情報を書いている可能性もあるので、募集要項等大学公式情報で必ずご確認ください。

 
「去年と今年の受験者数・倍率比較ほど信用できないものはない」という話の完結編です。

これまでの話をまとめてみましょう。
●志願者数を定員で割った数字=志願倍率
●志願者から欠席者を引いた数(受験者数)を定員で割った数字=受験倍率
●受験者数を合格発表数で割った数字=合格倍率
●受験者数を合格発表数+補欠繰上げ数(入学決定数)で割った数字=実質合格倍率(入学倍率)
●実志願者数(実数)を総入学定員で割った数字=実数倍率(非公開が多い)


倍率は母数を何にするか(何を見たいか)で変わり、さらに呼び方は様々あるので「うちは違う言葉使ってるよ」があると思いますが、この場ではこれくらいの「倍率」があることだけ把握してもらえれば大丈夫。
では、皆さんが理解したか問題を出します。

■問題:
手羽美術大学★の造形創造未来メディア表現構想学部クリエイティブクロステック統合インタラクション学科は入学定員150名で志願者数300名です。倍率はいくつですか?



ずばり正解は「これだけじゃわかりません。問題不成立」です(笑)
大昔だったら一般入試一本だけだから判断基準もそれしかなく、「倍率2倍」とさらっと言えましたが、今はそこまで簡単ではありません。
細かいデータを見ていきましょう。

1学年の定員は150名だけど、AOや推薦入試で既に100名は決定しており、一般入試の募集人員は50名だけってことが最近はよくあります。
そのうち一般入試[一般方式]の定員が30名だとしたら志願倍率は10倍。
これが現段階で発表されてる「倍率」です。
でも、実際に試験を受けたのが280名だったら受験倍率は9.3倍になり、辞退する人数も想定して発表した合格者数が50名だったら合格倍率は5.6倍。そして最終的に補欠繰上げが5番まで回ると実質合格倍率(入学倍率)は5.1倍程度になる、と。

ここで忘れちゃいけないのが、昔と違って今の美大一般入試には[センター方式]もあるってこと。

センター方式の定員は少ないのでどうしても志願倍率は一般方式よりかなり高めにでます。
ただ、多くの受験生が一般方式とセンター方式を併用してるから合格者がダブってる可能性が高いので、フタを開けてみると実質合格倍率はセンター方式の方が低かったりするんです。

一般方式とセンター方式の定員は微妙に変更されてて去年と募集人員が違ってたり、併願・併用の傾向が違えば補欠繰り上げの数も変わるので、だから「去年補欠は●番まで繰り上がった」は全く参考にならなかったりする、と。
「受験倍率が3倍」は、「くじ引きみたいに3人に1人公平にチャンスがある」ような印象を受けるけど実は「上位3分の1しか合格できない」であり、「倍率」って何かをはっきりさせる効果があるようでいて、大事なところが見えなくなるものかもしれません。


ちょっと脱線します。
ここまで紹介した「数字って意外と信用できない」ことがわかってくると、「就職率」もそのまま信じちゃいけないデータだとわかってもらえるんじゃないかしら。
昨日も書きましたが、
エリートなのに就職率2割、東京藝術大学をマツコが深掘り!
とテレビで紹介されました。

確かに「卒業生のうち何人が就職したか?」の就職率だと約23%しかないので、この数字だけ見ると親御さんからすれば「こんな大学に大事な子供を入れるのはありえない」だと思います。
でも、東京藝大は大学院等の進学者が多い大学でもあり、

実に236人中132人、約6割が進学者なんですね。
なので「進学者数を引いた卒業生のうち何人が就職したか?」の就職率だと約53%になり、進路が決定した学生数(就職+進学)を卒業生で割る、いわゆる進路決定率だと79%になります。

さらに、この数字だけではわかりませんが「東京藝大デザイン系教員は地方美大教員にはない大手会社の内定枠を持っている」と言われてるし、「就職希望した人の何人が就職したか?」の就職率や、「就職先はどこか?」の「就職質」だったらかなり高い数字になるはずです。
これを聞くとちょっと安心しませんか?やっぱり東京藝大というブランドは強いっす。

時を戻そう。

つまり、何がいいたいかっていうと。
倍率が高いからといって嘆く必要もないけど、倍率が低いからといって楽観視する必要もない。
繰り返しになりますが、倍率とかデータとか去年の補欠繰り上げ数とか周りのこととか気にしても仕方なく、精神論ではなくほんとに「自分はベスト尽くしてやるしかない」ってことなのです。
そのためにできる一番簡単で合理的な方法が「体調管理」で、最初のアドバイスに戻る、と。


以上、ムサビ一般入試も今日の工デ試験でラストで、受験生もスタッフももう少しだ!の手羽がお送りいたしました。
美大入試2020シリーズは一旦ストップ。次は東京藝大の志願者数が発表されてからかな。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹と西原理恵子とみうらじゅんと羽海野チカと銀魂と合体ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し日夜奮闘中