【 #美大受験 2020】美大に合格した人へ その4【データで見る地方と東京】

2020年3月7日(土)

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美大受験生の疑問にお答えする「#美大受験2020」シリーズをお送りしてます。

#美大受験 では、ムサビ、または関東美大の一般受験入試(AOや推薦入試じゃない)を具体例で使ってますが、基本的にはどの美大受験にも参考になるはず。
これまでの話はこちら。
東京五美大2020一般入試スケジュールからわかる2つのアドバイス
交通に関する8つのアドバイス
美大入試で必要な持ち物に関する4つのアドバイス【カルトンと食パン】
美大実技試験に関するたった1つのアドバイス
東京4美大2020年度一般入試志願者数(確定版)から言える1つのアドバイス
美大の学科試験に関するたった1つのアドバイス
大学職員っぽい人の勧誘と裏ルートとお守り
「倍率」は全然参考にならないって話1
「倍率」は全然参考にならないって話2
「倍率」は全然参考にならないって話 3
気になる今年の国公立芸術系大学の志願者数【東京藝大は?京都市芸は?】

ムサビとタマビの合格発表について【受験番号がわからない】
美大に合格した人へ その1
美大に合格した人へ その2【現役でもついていけるか?】
補欠は例年何番まで繰り上がるのか?
美大に合格した人へ その3【学費は?】
*間違った情報を書いている可能性もあるので、募集要項等大学公式情報で必ずご確認ください。

東京藝大は2次真っ最中ですが、構わず合格された方に多い
1.現役で受かったけど、ついていけるだろうか?
2.両方合格したけど、どっちに行こうか?
3.学科試験のみで合格したけど、実技についていけるか?
4.国公立と私立、どっちがいいのか?
5.東京と地方、どっちがいいのか?
6.そもそも美大って選択肢で良かったのか?

この6つの悩みに答えてます。


■東京と地方、どっちがいいのか?
結論は「どこが良い学び場かは自分の意識次第で変わる」だと思ってますが、あえて書くなら、と4つのデータを紹介します。
あ、最初に断っておくと、手羽は田舎が嫌いで嫌いで東京に出てきた人間なので、これに関してはすごく偏った考えを持っています。話半分ぐらいで読んでもらったらちょうどいいかも。


よく京都の大学が「京都市は10人に1人が大学生!人口に占める学生の割合は全国で1位!」というフレーズを使ってます。
多分これは「大学生がいっぱいいる街!周りに仲間がいっぱいいるお!」ということなんだと思うんですが、手羽はイマイチこれによるメリットが思いつかないんですよ。

まず最初のデータは「令和元年度学校基本調査」です。

東京都は京都府の約2分の1の面積なのに、京都の5倍以上の学生がいます。
つまり、学生同士が出会えるチャンスが東京は京都より10倍あるんです!
 ・・・え?それはちょっと無理がある?
うん、手羽もそう思います(笑)
でも、言いたいのは「数字をどう読むかで変わる」ってことで。

令和元年10月現在、東京都の人口は約1394万人、京都府の人口は約258万人で、数年前のデータなのではっきりしませんが芸術系大学(音楽含む)の学生数約7万人のうち、半分以上が東京の芸術系大学と言われてます。
となると、何か企画を立て、仲間や参加者、観覧者をいっぱい集めたい時に
A:「10人に1人が大学生」「16万人」「258万人」
B:「全国の4分の1の大学生がいる」「全国の半分の芸術系学生がいる」「76万人」「1394万人」

のどちらの方が成立しやすいか・・単純に考えたらBじゃないっすか?と思うのです。


2つ目のデータは「美術館の数」


  • 出典:http://uub.jp/pdr/ss/museum_3.html
  • 都道府県ランキング「展示見学施設」(公益社団法人日本観光振興協会 2015年(平成27年)1月現在)より

文化庁が移転する京都もサンプルとしていれました。(22年度に移転延期されたけど)

美術館にも「いろいろな」美術館があるので突っ込みどころはなくはないですが、東京の「73館」は九州全県の合計数とほぼ同じ数字です。

博物館の数だと、1位 北海道253館、2位長野219館、3位 東京210館、28位 京都62館。やっぱり「いろいろな」博物館があるけど。というか東京より長野の数の多さにびっくり(笑)
ギャラリー・画廊の数をちゃんと調べる方法が思いつかなかったけど、
画廊.net
全国のギャラリー一覧|ウォーカープラス
この二つのサイトを見ても、結果はあきらか。


3つ目のデータは、文化庁が公表してる「指定等文化財件数」

国宝の美術工芸品数だと1位は東京279件・2位京都183件だし、重要文化財の美術工芸品数も1位は東京2721件・2位京都1888件、重要無形文化財保持者は東京50人、京都12人です。
京都はよく「日本を代表する多くの文化財を有する国際観光都市」と言われてるけど、建造物の国宝 ・ 重要文化財が京都・奈良に圧倒的に多いから「見た目的に」文化財が多く感じるだけで、数で見ると京都のスペックってこんな感じなんですね。


そして、地方の親御さんが一番心配するのは東京の治安のはず。
東京は人口が多いので「件数」だとどうしても多くなるし、メディアでも東京のニュースが扱われがちなんで東京は治安が悪そうに見えます。
そこで4つ目のデータ「10万人あたりの犯罪件数」


東京は強盗、すりが多いけど、実は「東京は治安が不安」とおっしゃってるお住いの地域の方が割合が高かったりするんですわな。


アートやデザインは、企画(発想)・調査・実践(制作)・発表・フィードバックが必要です。
「1人、または友達数人で制作し、友達に向けて発表する」を求めるのなら「10人に1人大学生」とか広い空間を確保しやすい地方の方がいいけど、「たくさんいろんな種類の人、今まで会ったことがないような人と直接関係を持つ」「様々な場やシーンを調査し発表する、見てもらう(いわゆる刺激)」を求めるなら・・他の学びはわかりませんが、美術やデザインを学ぶ場は地方より東京の方がいいんじゃないかと思ってます。

東京で卒業制作展をやってる地方の大学さんになんとなく矛盾を感じるんですよ。
「そんなに地方最高っていうなら地方でやればいいのになんでわざわざお金を出して東京でやるの?てかそのキュレーションされた方は東京の美術館のキュレータじゃね?」と。
そして、「人がいる」ということは「仕事がある」ということでもあります。
「東京行きの就活専用バスを出してます!」「就活で東京に行く時は交通費出します!」とやってる地方の大学さんがあるんですが、やっぱり「それって地元に仕事ないってこと?入学前にそれ言ってましたっけ?あ、『こんな教授がいます!』と自慢してる教授が所属する会社はほとんど東京なのね」と思うんですよね・・。

「地方と東京、どっちがいいか」話、もう少しありますが、長くなりそうなので続くっ!



以上、最初にも書きましたが、話に都合がいいデータしか使ってないので、話半分ぐらいで聞いてもらった方がいいです、の手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。