【 #美大受験 2020】美大に合格した人へ その1

2020年2月21日(金)

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昨日はムサビ、今日はタマビ合格発表。
というわけで、まず合格された方へのアドバイスをお送りします。

なにはともあれ、
合格おめでとうございます!

今は「やった!!!よーし、大学行ったらいろんな授業を受けて、たくさん友達作って、サークル入って、彼氏見つけて、美術館とかギャラリーにもあちこち行って。あ、でも授業ついていけるかな?みんな自分よりうまかったらどうしよう・・そして学食を一緒に食べてくれる人いるかな・・・」とワクワクとドキドキで胸が押しつぶされそうな時期なんじゃないでしょうか。
「美大に合格した人へ」ではこのあたりのことをシリーズで書いていきます。


■美大は忙しい

美術大学は好きな絵だけを描いていればいいハッピーな大学なイメージありますが、「実技だけを勉強するわけでなく、英語など教養科目も普通にある」ことが意外と知られていません。
通常の大学の授業+実技授業と考えた方がいいんです。美大といっても大学なんで(笑)

更にデザイン系学科の1年は課題が多い。
ハチクロみたいな世界は期待しない方がよくて、タマグラやプロダクト、ムサ視デ・デ情の授業内容を聞くと「え。それじゃ寝る時間も遊ぶ時間もなくね?・・」と正直思いますもん。
クリエイティブイノベーション学科の入学生も覚悟しといた方がいいし、大学院クリエイティブリーダーシップコースは・・書いていいのかわからないけど、忙しくて二人やめました。会社を。
1年前期ぐらいまで・・授業のペースに慣れるまでは余計な予定を入れない方がいいかもよ。


■やる気のある人はもっと忙しい

ムサビで有名な社会連携といえば、やはりグッドデザイン賞も受賞した旅するムサビプロジェクト、略して旅ムサでしょう。
黒板ジャックも旅ムサの一つで、夏休み、春休みは全国飛び回って活動をしています。あ、京都造形さんが「旅するキャンパス」を始めましたね。

で、信じられないかもしれませんが、旅ムサって単位とは関係ない自主課外プロジェクトなんですよ。さらに信じられないと思いますが基本的に交通費などは自腹なんです。ようやく最近は先方からお金が出るようになってきたけど。


他にも新潟でのわらアートだったり、ミッドタウンワークショップ企画運営

東京工業大学との合同ワークショップ「コンセプト・デザイニング」だったり、ムサビ学生広報局など。ムサビだけじゃなく、タマビだとアートラボはしもと等の活動がそうだし、東京藝大の「とびらプロジェクト」もそうですね。
「やる気がある人向け」にいろんなチャンスを大学は用意してるし、CIの学生さんがやってるボノボノスなんて完全な学生さん主体の自主活動。
みんな通常授業だけでも忙しいはずで、本当に偉いなーと感じてます。


■「大学は放任主義」という解釈は正解であり間違い

昔のような大学の完全放任主義はこのご時世許されません(笑)
「え?大学が今はそこまでサポートしてあげるの?」と思えるようなこともやっています。
でも、やはり根本の「大学ではサボるのも頑張るのも自分次第」という姿勢は変わっていないと思います。もう少しちゃんと書くと、「選択肢やチャンスがたくさん用意されてる。どれを選ぶかは本人の自由と責任」かな。自由には責任がついてくるので。

先生に指示されたものだけを「処理」して卒業に必要な最低限の単位だけ取っていけば、とりあえず卒業はできます。でも、それだけだと恐らく「美大っていろんな面白い出来事が起きると思ってたけど、予想よりつまらなかった。ムサビはクソ」ときっと感じるはず。
ちなみに就活用のポートフォリオを作る時に、授業でしか作品を作っていない人は多分スカスカになります。課題は毎日大変だけど、多くは考えてる時間や調査・ディスカッション・習作だから、「アウトプット」として人に見せられるような3年間の授業内作品数って意外と少ないんですよね。
就職を考えてる人は、課題も大事だけど授業外の活動もすんごく大事。


■大学を少しだけ信じてみよう
「大学がつまらない」と感じるのは、もしかしたら、もしかしてだけど、あなたのアンテナが弱いせいかもしれません。

片山先生の特別講義『instigator』の登壇者は誰もが知ってるような著名人ばかりですが、例えば、公開講座 2017「Creative Innovation」に登壇してもらった濱口秀司さん。
「日本初の企業内イントラネットの共同考案・構築」「USBフラッシュメモリーのコンセプトを世界で初めて考案した人」で、いやらしい話、濱口さんの講演は参加費7万円でも100席ぐらいは軽く満席になります。(手羽が今まで聞いたプレゼンの中で確実にTOP3に入る面白さでした)

公開講座 2018「Creative Innovation」に登壇してもらった山口周さんは、もうあちこちに引っ張りだこになってますね。あ、気が付きました?今だから言えますが、2017年前半にはCreative Innovationのコンセプトはだいたいできてたんです(笑)
そして、

公開講座2019「スタートアップにとってのデザインとアートの意味」に登壇された孫泰蔵さんは、世界を代表する連続起業家であり、IT 関連スタートアップを多く成功させた投資家です。
「お金を出してでも孫さんの前でプレゼンしたい」という人が日本にどれだけいることか。

でも、多くの美大生や美大関係者にしてみれば、美大カテゴリーとは少し違う人たちだから「濱口?!誰それ?!」「孫泰蔵?!」なはず。(山口さんは業界で有名になっちゃったけど)
教授たちが「この人の話を学生さんたちに聞かせたい!」と呼んだ人たちなわけで、リリ―フランキーやムロツヨシな「会ったら友達に自慢できる著名人」もいいけど、名前を知らないからといって、課外講座などにいかないのはちともったいないのです。「あなたのアンテナ弱くて名前を知らないだけ」なのかもしれない。
そうそう。デザイン・ラウンジのイベントによくSFCやタマビの学生さんが来るんですよ。「よくアンテナ張って参加してるなあ」と。


「やらない・やれない・やりたくない」は本人判断だからまだいいんだけど、これだけいろんな手段でアナウンスしてるのに「知らなかった」という人にはどうしたらいいのか・・・これが私たちの永遠の課題で。

大学側の情報発信方法ももちろん関係してるけど、「知らなかった」という人の多くが『大学は何もやってくれないもの』というフィルターが入ってしまってる可能性が高く。
大学のことが嫌いでもいいので大学に興味を持つ、30年前ぐらいに構築された「大学・美大のイメージ」を少し外す、「もしかしたら大学はいろいろやってくれてるかもしれない」と少し思ってみる、つまり大学にアンテナを張ると、きっと自分にとっていいことが起きるはずです。

何を隠そう、手羽は2年生まではそんなにムサビが面白いと思ったことがなく、授業外の活動も全然やらなかったタイプでした。芸祭期間も旅行期間だと思ってたし。
そもそも彫刻学科は第1希望じゃなかったし、彫刻にそんなに興味がなかった(えっ)

彫刻を面白く感じるようになったのは3年生からで、大学職員になって初めて「あ。こんなにいろんな人が授業外で活動してたのか」「大学っていろいろやってあげてたのね」「教授は授業以外も学生さんのために動いてたんだな・・・」と気がつきました。
「そのことに早く学生さんに気が付いてほしい。知らせたい」ってのが今の手羽のモチベーションにつながってるのかも。
あ、ちなみに卒業生の多くが「座学の教養科目授業をちゃんと聴講しとけばよかった(涙)」と言いますね。学生時代は社会での教養科目の必要性に気が付かないもんで。


まとめます。
■美大はリア充じゃないともったいない。


  • 山崎先生のfacebookから。個人的にこの写真が好きでして

「リア充」って何もしてない人側からの視点になってて、ちゃんとやってる人をバカにしてる感じがしません?リア充という言葉のせいで動きにくくなってるし「なんか、これリア充っぽいですね。てへへ」って謝ったり。
「美大生はみんなリア充ですよ。なんかそれが問題あんの?なんでそっちのやらない人側のペースに美大生も合わせなくちゃいけないの?」と。

春休みは大学でいろんなイベントをやってるから、入学するまでにそういうところに参加してモチベーションをあげていくのもいいですよ。
Creative Technology Forum 2020 Vol.1(開催延期)
とはいっても、今年は開催延期になったりするから豆に情報をしてないとダメ。


一方で、やり過ぎると悪いこともありまして・・・って話はまた今度。
続くっ!!



以上、リンクロウが入る大学が入学式中止を早々と発表したけど、「でも、『コロナで入学式が中止になった学年』と記憶に残るってことだよね」と言ってた手羽がお送りいたしました。
このポジティブさは誰に似たんだろ・・。
そしてこれで4月1日まで大分にいる理由がなくなった・・。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。