【ビダニュー】知らない暗黙のルールはある

マッドマックスすぎるタマビ生の皆さんもご卒業おめでとうございます、な手羽です。

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美大生としての心構え、というかこういう考え方もあるよ、って話をお送りします。
気楽にエッセイとしてお読みくださいませ。


誰かが「はい。今日からこれね!」と決めたものではなく、使ってる人たちの「こうだといいよね」な気持ちが同調し、いつのまにか発生・拡散された暗黙のルール、マナー、エチケットがあります。

典型的なのは車関係。
「サンキュ!」って時にハザードを2回点滅させたり、クラクションを「パっ」と鳴らすことがあります。警察は推奨してなく、厳密には違法行為の可能性があるんだけど、全国的に広がってる暗黙のマナーの一つ。
高速道路の追い越し車線を法定速度で走ってたら、後ろの車が「おめー、チンタラ運転すんなよ。そこどけよ!」という意味で右のウインカーをチカチカさせることがあります。手羽も深夜の東名高速でトラックにこれをやられてビクビクした経験あり・・。
車は声を出して直接相手に「ありがと!」「ちょっと入れてほしいんだけど」「あぶねっ!」と言えないので、暗黙のコミュニケーション方法が構築されやすい世界なのかもしれません。

手羽が東京で車を運転するようになって、一番感心したのが首都高速の合流ですね。
渋滞時での合流は、交互に車を入れてあげる「暗黙のルール」があるんです。
区内ナンバーだったらほぼ100%の車が交互に入れてくれます。白塗りベンツとかトラックとか一見怖そうな車も。「あれ。この車は譲ってくれないなあ・・」って時は、だいたい千葉とか都外のナンバーかおばちゃん。田舎の高速だとこういうマナーはあまりないようで、恐らくですが渋滞が多い首都高だから生まれたマナーなんじゃないかと。
高速だけでなく東京の大きな道路だと「合流での交互譲り合い」はよく見かけます。

手羽はこの暗黙のルールを最初知らなくて。
「入れてやるもんか!」な狭い気持ちでいたけど(笑)、3回譲り合い合流を経験しちゃうと「あ。たまたま親切な人がやってくれたんじゃなくて、そういう暗黙のルールがあるのか。なるほどなるほど。いいんとちゃう?」と感じ自分もやるようになりました。多分ほとんどの人が「誰かに教わったわけでなく、いつのまにかやるようになったマナー」じゃないかな。
教習所で「譲り合いの精神で」「かもしれない運転」を習うけど、それを具体的にドライバーたちが実行し、わかりやすくマナー化された例なのかもしれない。

ただポイントは、「知らない人は知らない」ってことかもしれない。
「暗黙の」なんだから、気が回らない人は気がつかないし、だいたいそういう人は「そんなの教わってないから知ってるはずないでしょ!」と逆ギレするタイプが多いかもしれない。「自分が悪いわけじゃない。世の中だ」で怒るタイプかもしれないかもしれない。
・・・うーん、「かもしれない文章」ははっきりしないからやめよう・・。


この話から言いたいことが2つ。


一つ目は、「知らないルールやマナーがいっぱいあるのは当然」ってこと。
その世界に入らないと知らないマナーなんてたくさんあります。
例えば、うちの子どもの小学校では「子どもが友達の家へ遊びに行く時は必ずお菓子を持っていく」というお母さんたちが決めた「暗黙のルール」があるんです。面白いでしょ?
でも、外国出身のお母さんがそれを知らなくてお菓子を持っていかせなかったのね。それでそのお母さんがハブられそうになって、あわててうちの奥さんが教えたことがありました。暗黙のルールの怖いところは「知らない人への対応方法」まで決まってなく、知らない人に対しすごく冷たい。そういうネガティブな話題がみんな好きだから、お母さんたちの集団だと「あそこのママは子どもにお菓子も持たせない。やっぱり外国人のママは」と影ですんごい言われてしまう。「なんでその人が知らない可能性を考え、教えようという発想がないんだ?」と思うんだけど、狭い世界では起こりがちな話です。

これは大学も同じ。
新入生が知らない暗黙のルールやマナーがあるのは当然で、そんなのは徐々に覚えればいいだけ。怖がる必要ないし、知らなくて怒る必要もない。「ひとつこの社会を学んだ」で終わらせましょ。
ムサビだとなんだろ?学食やエミュウの並び方は初めての人はわからないかもしれないね。
そして昔からいる人は「暗黙のルールは狭い社会でのルール。新しくその社会に入った人は知らないのは当然」ってことを前提に行動すべき。



ふたつめは「理不尽に感じる暗黙のルールも結構ある」ってこと。
さっきの「お菓子を持っていくルール」もよくよく考えれば理不尽な話で、「子どもの世界にそんなルールはいるのか?」と思ったりもするんだけど、恐らく以前親御さんどうしでトラブルが発生して生まれたものだと推測できます。
一見理不尽に感じるかもしれないけど、何かの経緯で生まれたものなのだから理由があるかもしれない、という視点で「暗黙のルール」に付き合うことが大事。その理由がなんなのかよく考えて改善すればいいわけで、最初から全否定するのは・・・どうなんだろ。
もちろん理由自体が古いものになってたり既に解消されてたりする可能性もあるわけでそういうのは修正すればいいんです。ただ暗黙のルールは修正するのに時間がかかるけど。
そして気を付けないといけないのは、その理由がデマである可能性も結構あるってこと。怒ったはいいけど、そもそもそんなこと決めてなかったりね、これもよくある話で。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。