美大に入学される方の疑問に答える「ビダニュー」シリーズをお送りしています。
これまでの話はこちら。
■【ビダニュー】美大新入生の疑問に答えます。まずは「どこに住むか?」
今日は自宅通学組の「大学まで毎日通えるか?」という不安にビダニュー。
・・まだビダニューの使い方がフワフワしてるけど、おいおい固めていきます・・。
「全国から受験生が集まるムサビとタマビ」と言われたりもしますが、実際は関東圏の学生さんが約7割を占め、関東外は3割ぐらいなんです。
タマビの去年の統計データを見ると、
■2015年度 多摩美術大学 美術学部一般入学試験結果資料[出身都道府県]
東京・神奈川だけで5割超えてるでしょ?
逆に京都の大学は「京都出身者は1,2割で、他は府外」という傾向にあるので、「県外から集まっている」という意味では東京より京都なんですよね。
関東組も遠い人はアパートを借りるので、ムサビ学生実態調査によるとアパート組と自宅通学組はだいたい半々。その自宅通学組のさらに約半分は2時間ぐらいかかって通ってます。
東京の美大では地方組の「どこに住むか?」より、むしろ自宅組の「毎日通えるか?」の方が悩ましい問題なんです。地方組は大学のそばに住めるけど、実家組は家から通わないといけないんで。
ちなみにこう書くと「最近は地元志向だし」「地方の人が昔より減った気がする」という声が必ず出てきますが、調べてみたらこの割合は20年前ぐらいからほぼ同じでした。関西出身者が減ってはいるけど「激減」と言い切るには少ない変化で。「最近は地方出身者が減った」という印象の多くは「東京に来て方言を使う人が減ったから」じゃないかと推測してます。手羽が学生の頃はバリバリ「●●じゃけんのー」と広島弁を使う人がいたりしたけど、最近はあんまりいませんね。微妙にイントネーションが違ってて「あ。この人は東北の人かな?」と感じることがあるけどそんなもんで。普段は標準語だから東京の人だと思ってたら、ワークショップで子どもと話す時に急に関西弁になってしまう学生さんを知ってます。「子ども目線になって、素の自分を出しながらできるだけ優しく」と思うと方言に戻っちゃうんでしょうね(笑)
話を戻して。
デザイン系だと学年が上がれば大学へ行くのは週2日、場合によっては教授に見てもらう1日ぐらいでよくなるかもしれません。後は自宅作業というケース。でもファインアート・クラフト系だと基本はアトリエ・工房での制作なので、4年間毎日大学へ通うことになります。
またファイン・デザイン関係なく1,2年頃まではほぼ毎日大学に通わなくちゃいけないんじゃないかな。英語とか哲学とか一般教養科目もあるし。
手羽の彫刻学科同級生に神奈川の七里ケ浜から毎日3時間かけて通ってる人がいました。
彫刻は9時からモデルさんのポーズが始まるけど、彼は必ず遅刻せずに第1ポーズからいましたね。 (卒業制作中はさすがに大学近辺にアパートを借りてたけど)
何でもそうですが、後は本人のやる気次第だと思います。
ちなみにムサビ職員には神奈川の相模原、千葉の我孫子、埼玉は大宮、山梨県の大月から毎日通ってる方がいるので、このあたりまでは通えなくない距離と言えるかも。大変だと思うけど・・。
あ、極端な例ですが、「栃木県宇都宮から通ってる」と言ってた学生さんが昔いました。
宇都宮から新幹線使ってムサビまで約3時間かかるけど電車代が往復約8000円なので、月に10日程度しか大学に行かないんだったら生活費込みで考えるとアパート借りるよりも安上がりってことですね。
リニアが橋本駅に止まるようになったら、品川~名古屋間が40分12000円ぐらいなので「名古屋から通ってます」というタマビ生が出てくるかも。
ただ、美大は帰る時間が遅くなることが多いです。
「制作」「課外講座」「新入生歓迎コンパ」「サークル活動で」とかは想定内かもしれません。でもグループワークやってると他の学生さんと時間が合うのが授業後なので、「5限後からミーティング」なんてことも頻繁に出てきます。 発表直前だと深夜まで誰かの家で・・なんてケースも。
「美大は毎日文化祭直前」という表現が一番わかりやすいかもしれません。
そういうことも踏まえて通学体制を考えていただければ。
「授業後も忙しい」はアルバイト探しにも関係してて。
「アルバイトしないと生活できない」という事情は当然あると思うけど、特殊な美大のタイムテーブルに慣れるまで・・・せめて連休に入るぐらいまでは(できれば夏休み前まで)、平日夕方からのアルバイト、「午後6時からバイト」とかはできるだけやめといた方がいいです。
一般大卒の親御さんでは多分全く想像できない世界でして。
続くっ!!ではビダニュー!
・・・うーん、まだ使いどころがわからない・・
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。