美大受験生の疑問にお答えする恒例の「#美大受験」シリーズをお送りしてます。
#美大受験では、ムサビまたは関東美大の一般入試(AOや推薦入試じゃない入試)を具体例で使うことになりますが、基本的にはどの美大受験にも参考になるはずです。
これまでの話はこちらから▼
■東京五美大2022入試カレンダーからわかるたった1つのアドバイス
■コロナ対応の入試変更点は重要な情報だから、マメにチェックしよう
■ムサビの実技試験で絶対に忘れちゃいけないものを1つ断言します
■美大実技試験でのたった1つのアドバイス
■美大入試で家を出る前に確認すべき情報と持ち物は?
■学科試験当日に聞いても役に立つアドバイスを1つだけ
■入試の朝、中央線が止まった。さてどうする?
■手羽のブルーピリオド-入試でこんなことが起きた-
■タマビ入試の雪対策を勝手に考えてみる
■2022年度東京4美大一般選抜志願者数が言えるたった1つのアドバイス
■倍率は全然信用できないって話 1 #募集定員と合格者数のトリック
■倍率は全然信用できないって話2 #併願のトリック
■タマビとムサビの合格発表日にやるべきこと【受験番号がわからない時は】
■美大に合格した人へ6つのアドバイス その1【動いてる人は動いてる】
■美大に合格した人へ6つのアドバイス その2【リア充で何が悪い】
■補欠だった方へ【何番まで繰り上がるのか?】
*間違った情報を書いている可能性もあるので、募集要項等大学公式情報で必ずご確認ください。
2月24日に東京藝大が志願者数確定版を発表したので、主な国公立芸術系大学や美術系学部の一般選抜志願者数推移表を作ってみました。各大学が発表してるデータには過去志願者数が入ってないんで、勝手に数年分を追加した、いつものおせっかいな手羽オリジナル版です。
あ、手羽が一人でチマチマ調べて作った表なので間違っている可能性が高いです。必ず正しい数値については公式サイトをご確認ください。会議資料に使ったり拡散してもらって全然いいんですが、間違いがないか今年の数字だけでもチェックしてくれるとすごくありがたいっす。
また、一般選抜のみで総合型選抜などは含まれてないのでご注意を。
今日は美大受験生っていうより美大関係者向けの記事になっております(笑)
最初はやっぱり東京藝術大学を見てみましょう。
私立美大は受験生が減った理由を「他大学の日程とかぶった」「地元志向が強くなった」「今は景気が」「あっちには有名教員が」「施設が古くなった」「併願率が」「コロナで相談会ができなかった」「広報が宣伝してくれない」と、いろいろ「自分ではない何かが原因」にすることがよくあります。
でも「学費が安く」「ほとんどオープンキャンパスや相談会、入試広報をやっていない」「学内併願も多様な入試方式もほぼない」「都心」「歩留まり率ほぼ100%」「日本全国でのブランド力が高い」な東京藝術大学の美術学部志願者数は「東京藝大の志願者数」というより、
●東京志向がある『素』の美術大学希望者実数
●「どうせ行くなら日本1の大学」というブルーピリオド的意識を持ってる全国の人数
●美術で食っていく覚悟をもつ18歳前後の人数
●それを理解・応援できる親の数(ここ大事)
と考えることができます。
また、東京藝大は定員の変更もあまりなく、学科の分類も「絵画」「彫刻」「デザイン」「工芸」「建築」「先端芸術」「芸術学」と他美大と比較しやすいカテゴリーになっているので、手っ取り早くカテゴリごとの希望者数変化を把握できるデータなんですね。
おまたせしました。数字はこちらです。
減少が続き去年2500人台に突入しちゃったけど、今年は全体で170人増。
注目すべきは油画の100人増です。タマビや東京造形大も増加してるので「今年は全体的に油画系が好調だった」とも言えるけど、やっぱりブルーピリオドの影響も少なからずあるんじゃなかろうか。
ちなみに昨日から油画の1次試験素描が始まりました。
受験番号によって試験日が昨日か今日になる仕組みで、昨日はトランプを箱で配り「『裏・表』をテーマに描きなさい」という問題だったそうです。
他の公立芸術大学の状況を見てみましょ。
まずは国公立5芸大の東京藝大以外。
全体では47人増となりますが、あらたにメディア映像ができたからで実質ではマイナス。
全体では16人増。
2023年にキャンパス移転だから、来年度入学する学生さんは1年だけ今の学び舎を経験する貴重な学年ですね。
金沢美大さんも2023年度中にキャンパス移転します。
なので本当はこのあたりで志願者を大きく増やしたいところだったと思います。
沖縄芸大さんもマイナス。
全体的に国公立五芸大は東京藝大以外不調な感じ。
あ、国公立芸術大学は募集定員が私大に比べるとすごく小さいので、1人2人の志願者数変化で増減率が大きく変わってしまうことがよくあります。率の大小より推移を見た方がいいです。
国公立5芸大は入試部署でも調べてると思うので、ここからは手羽が気になってるところを。
後期日程が2000年には200人いたのに今回100人切りました。
旧 首都大学東京です。
去年はより戻しがあったけど、今年の減り方はちょっと気になりますね。
千葉大デザインは徐々に数を増やし、前期・後期をやってた2017年の志願者数にかなり近づきました。
京都工芸繊維さんは前期日程の減りが大きいですね。
デザイン後期は73名増。
佐賀大はプラスマイナスゼロ。
個人的に気になってるのが未来構想デザインで、今年は増加してます。
アキビさんは合計数は去年とほぼ同じ。
札幌市立デザインは2021年から後期日程をやめてます。
岡山県立大は2021年にデザイン学部を改組したばかりなのでもう少し様子を見てみないとわからないけど、工芸工業デザイン学科の30名減が目立ちます。
今回手羽が気になったのはこの2校。
2022年度から従来のコース所属制を廃止しオープンコース方式に変更する富山大芸術文化学部。
自分がその時やりたい領域を自由に行き来できるってのは売りに思えるんですが、今回の志願者数だけ見るとあまりいい結果が出ませんでした。でもこういうのは数年見てみないとわからないものなので。
公立化で志願者が増えた大学として有名な長岡造形大学。
公立化2年前の全志願者数(総合型選抜や学校推薦型選抜等を足した数)は定員(230名)ギリギリの239名しかいなかったのに、公立化年は1310人と劇的に増え、2020年には公立化以降最多の1289名に達しました。なので大学公立化を検討する時に必ず成功事例としてあげられる大学なんです。
総合型選抜などは順調そうですが、今年は一般選抜が4年ぶりに700名を切ったので動向を気にしてた方がよさそう。
最後に手羽は集計はやってないのだけど、今後押さえておきたいところを Kei-Netでピックアップしておきます。
■宮城大学事業構想学部
■叡啓大学ソーシャルシステムデザイン学部
■芸術文化観光専門職大学
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。