美大受験生の疑問にお答えする恒例の「#美大受験」シリーズをお送りしてます。
#美大受験では、ムサビまたは関東美大の一般入試(AOや推薦入試じゃない入試)を具体例で使うことになりますが、基本的にはどの美大受験にも参考になるはずです。
これまでの話はこちらから▼
■東京五美大2022入試カレンダーからわかるたった1つのアドバイス
■コロナ対応の入試変更点は重要な情報だから、マメにチェックしよう
■ムサビの実技試験で絶対に忘れちゃいけないものを1つ断言します
■美大実技試験でのたった1つのアドバイス
*間違った情報を書いている可能性もあるので、募集要項等大学公式情報で必ずご確認ください。
明日はムサビ、明後日はタマビの学科試験日だから、恐らく日本の私立美大入試で一番受験生が多く一斉に登校する日でもあります。
なので、今日は試験当日最後に確認してほしい情報、それと傾向用具(持ち物)について書きます。
一見基本的なことで馬鹿らしく思うかもしれないけど、念のためにね。
家を出る前に(できれば前日に)、各大学の募集要項で最低3箇所確認してほしい部分があります。
それは、「試験日時」と「場所(会場)」と「持ち物と携行道具」です。
それと今年はコロナ対応の注意点・変更点も大学公式WEBサイトで必ず。
タマビさんが2月2日に追記を出してたりするし、必ず最新の情報をゲットしてください。
まずは「試験日時」について。
毎年1人ぐらいは日程を間違えてきちゃう受験生がいます。ほんとに。
ちなみにうちの奥さんは日にち間違いのプロフェッショナルで、結婚式・告別式それぞれ前日に行ったことがあります。前日だからまだよかったけども。
次に「場所(会場)」。
数年に一度ムサビ吉祥寺校に間違って行っちゃう受験生がいるんです。これもほんとに。
ムサビの一般選抜は全部鷹の台キャンパス(大阪会場もあるけど)、タマビは演劇舞踊コース以外は八王子キャンパスでして、タマビの統合デザイン学科やムサビのクリエイティブイノベーション学科受験生は間違っても上野毛キャンパスや市ヶ谷キャンパスに行かないでね。
逆に女子美は志望学科によって会場が相模原キャンパスか杉並キャンパスか違うからかなり注意しないとまずいです。
「そんな大事なこと間違えるわけないっしょ(笑)」と思うけど、思い込みってほんとにあるし、親から「武蔵野っていうんだから武蔵野市でしょ」と言われて信じてしまうケースもあります。大人の方が思い込みが強いもんで。
特にこの2年は来校型イベントがほとんどなく、大学へ行く機会が少なかったから間違える人が例年より増えるかもしれません。
時間と場所といえば。
東京4美大の周りには暖を取れるところが何もなく、といって早く大学に着いても構内には入れません。
例えば、ムサビの募集要項P19「受験上の注意」にこう書かれてます。
「入試は万が一のことを考えて、早め早めの行動を取れ!」と高校や予備校の先生、親御さんからさんざん言われてると思います。
もちろん早めの行動をする気持ちは大事だけど、現実問題として、早く来すぎちゃうと寒い中正門前とかで立ったまま長い時間待つことになっちゃうんです。
また、モチーフがセットされてるアトリエだと試験監督が来るまで教室は開場されないんで、入構できてもアトリエの前でじっと待つことになるんです。美術予備校だと構図のいい場所で描くために早く行って席取りするかもしれないけど、入試ではそれはありません(アトリエ試験ではだいたいはくじ引きで場所が決まります)。
タマビさんも「8時30分より開門しますが、試験場への入場は9時30分からとなります」とアナウンスを出してるくらい。
大学にかなり早く着きそうだったら、駅前に複数ファーストフードがあるような大きな最寄り駅・・ムサビだとJR国分寺駅や立川駅、タマビや東京造形だと橋本駅や八王子駅等で時間調整ステイした方がいいです。感覚的には試験1時間前についてれば十分ぐらいな感じかな。
ここからは3つ目の「持ち物や携行道具」について4つアドバイスを。
一番伝えたい「カルトンorパネルは忘れちゃダメ」はもう書いたので、それ以外で。
(1)受験票を持ってるか、どこにいれたか、家を出る前にもう一度確認しよう
受験票をちゃんと持ったか、そして「どこに入れたか」の最終確認をしましょ。
あわてると鞄から探せず、試験が終わった後に「あ。募集要項の間に入ってた」「ジャンバーのポケットに入ってた・・あの時は探しても見つからなかったのに・・・」と気が付くこともよくあるんで、「どこに入れたか」も大事だったりするんです。
最近はどの大学もWEB出願になり、自分で受験票をプリントアウトする形になってきました。
ただ、普通のコピー用紙に印刷するとペラペラになって、そのままカバンに入れるとグチャグチャになっちゃうのよね。
それもあって、A5orA6サイズの硬質カードケースに受験票を入れてる方をこの数年よく見かけます。
これだと他とゴッチャになることもなく管理がしやすいし、何より折れ曲がらないのでスマート。
最初見た時は簡単なことだけど頭いいなーと思いました。ぜひ真似してみて。
ちなみに受験票は「A4の白い紙にそのままプリント(拡大縮小したらダメ)」「スマホで見せるのはダメ。印刷したもの」でよろしくお願いします。
イーゼル試験の時はイーゼルに立てかける人が多いからか、受験票を試験後に忘れて帰る人が多いです。ほとんどのムサビ受験生は複数日使うものだし、受験が終わっても受験票は合格発表・成績開示などで必要なものだから、忘れずに持って帰って大事に保管しときましょ。
(2) 時計は必要!
普段はスマホで時間確認してるかもしれません。手羽もそうです。
でも、試験時は携帯含め電子機器は電源切ってかばんの中に入れるよう指示があります。 どの大学もそうです。会場には時計がないこともあるんで(ムサビはないです)、持ってなかったら100円ショップでいいから安い時計を購入しときましょ。
ムサビだと学内の世界堂でも買えるけど800円ちょいします。結構高い・・。
でも「コンビニにありそうで置いてないものの代表」がこの時計で、手羽も試験日に時計を忘れて何件かコンビニ回って探したことがあるんだけど、全然置いてないんですよね。
(3)お弁当を忘れずに
午前・午後と終日学内で試験を受ける時、タマビムサビ東京造形は学外へ出ることはできません。昼食は学内で取るしかないので、必ずお弁当を持ってきてください。
例年だと学食で食べれたんだけど、今年は感染予防の観点から学食は営業しておらず、自席や昼食会場で黙食してもらうことになってます。
ちなみにタマビムサビ東京造形の周りにはコンビニがないので駅近くで購入するしかないです。
ムサビ受験生のために、鷹の台駅近辺のコンビニマップを作ってみました。
鷹の台駅前のファミマはつぶれちゃっいました(涙)
ちなみに東京造形大は学内にデイリーヤマザキ、タマビとムサビはセブンイレブンがあるけど、売り切れの可能性もあるんで外で買ってきた方がいいっすよ。
木炭デッサンの人は食パンの購入も忘れずにね。
ちなみに昔売店が「食パン販売してます」という張り紙を出してるのを見て、一般大卒スタッフが「受験生のために食パンじゃなくて焼きそばパンとか置いてあげればいいのに、ムサビって優しくないよね」と文句言ってる人がいたけど、受験生のために食パンじゃないとダメなんです(笑)
「え?消し具で食パン?!」という人はこちらをご覧ください。
■木炭画用消し具(食パン・布) | 武蔵野美術大学 造形ファイル
うん。造形ファイル便利。
これだけ文明が進歩しても、木炭デッサンの消し具がいまだに食パンっていうのもすごい話なわけですが。
あ、ムサビ内のパン屋エミュウは営業してません。
(4)ガラガラの紐はしっかりと結ぼう
普通の人には何のことかわからないけど、美大受験経験者には100%「うんうん、そうだよね。とっても大事」と通じる言葉。
美大の実技試験は絵具に筆に水入れ、定規、コンパス、パネルと荷物が大量になるので、画材・道具類は工具箱に入れ、それらをまとめてハンドキャリーで運ぶことが多く、ガラガラ音がすることからハンドキャリーを「ガラガラ」と呼んでいます。
手羽が受験の時、ガラガラを引っ張ってる自分に「なんか美大受験生みたいだな」と思ったのをはっきり覚えてます。
ちなみに鷹の台に長くお住いの方は「ん。朝からガラガラうるさいな。。。あ。ムサビさんの入試なのか。そんな季節か」とわかるそうです。
ただ、紐の結びが甘いと崩れちゃうんです。一度だけならまだしも、何度やっても崩れちゃうのよね、これが(涙)自分もムサビに行くまでに4回ぐらい荷物が落ちちゃったなあ。
「時間のロス」「画材を大事にしろ」とかじゃなく、荷物が崩れるたびにテンションも下がるのよね・・。
なのでテンション下げないためにも「これでもか!」ってくらいきつく縛りましょ。
長い間、美大受験生は荷物崩れに悩まされてたんだけど、この10年ぐらいで、
キャリーケースを使ったパターンが出てきました。キャリーケースなら荷物崩れは100%起きない。
最初見た時に「これに気が付いた人、天才か!」と思ったもんです。
キャリーケース派は一気に増え、今はガラガラよりもキャリーケースを使ってる人の方が多いと思います。
画像はでっかいキャリーケースだけど、最近の美大受験生はもっと小さいのを使ってる人が多いですね。デザイン系実技だと持ち物でパネルが一番大きいから、それがギリギリ入るサイズを使ってる人が多いかな。
ただ、タマビや東京造形さんは舗装された道路しか歩かないけど、ムサビは「玉川上水遊歩道を徒歩」を公式ルートにしてるので、そこをキャリーでいくと歩きにくくてきっと泣きそうになるはず。
「そういう時は鷹の街道を通れ」とアドバイスする先輩や講師がいるかもしれませんが、鷹の街道は朝夕の交通量が多いわりに歩道が狭いから、慣れてない状態でキャリーケースと一緒に歩くのはかなり危険。
なので、ガラガラorキャリーケース組には、玉川上水まで来たら橋を渡ってすぐに右に曲がって舗装道路を歩くルート(右側に玉川上水を見ながら歩くルート)を個人的におすすめしてます。ガタガタがないのでキャリーをガラガラしながら歩きやすいです。
マップだと橋からずいぶん向こうにあるように見えるけど、実際は玉川上水沿い。
ただ2つ注意事項があります。
・このルートはときどき車が通るので歩きスマホは厳禁。
・右側をずっとチェックして歩道橋を超え、テニスコートが川向うに見え、小さな橋が出てきたらそれを渡ってください。それを見逃すとずいぶん遠回りすることになっちゃいます。この橋です↓
最後に。
受験生が多い学科試験日等には、いろんな勧誘行為が起きるはずです。
例えば、国分寺バス乗り場近辺や鷹の台だと上水公園、タマビだと橋本駅周辺やタマビ近くの空き地で大学職員っぽい人たちが
「はーい。武蔵野美術大学の受験生はここに並んでー。とりあえず名前と受験番号、保護者氏名、住所、連絡先を書いてくださーい。合格した時に必要になりますので。料金は●●円でーす」
と声をかけてくることがあります。
多くは「受験生っぽい人が並んでるし、なんか大学職員っぽい人が受験生って言ってるし、合格した時に必要って言ってるし、よくわからんけど並んでみるか」で行列が行列を呼ぶケースが多いよう。
はっきり言います。
大学関係者や大学委託業者が学外で名前や住所、電話番号、メアド等を聞いたり書かせたりすることは100%ないし、ましてやお金を徴収することは1000%ありません。
今時の合格発表は大学のサービスとして無料でWEBで確認できるし、合格書類は発表日すぐ送付されます。 「美大受験生」というグルーピングの個人情報をゲットできれば業者からすれば万々歳なので、今どきはお金を取らないかもしれませんね。
昔は「合格電報屋」と呼んでましたが今は「合格」という言葉を出さないケースもあり、手口が巧妙になってるので気を付けてください。
また、学校近くで美術予備校さんがパンフレットを配布したりもしてますが、これも当然ですが大学がお願いしてやってもらってるものではありません。
個人的には「ある程度仕方ないことだけど、近隣の方の迷惑にならないように立って、そして終わったらゴミをちゃんと拾って帰ってね・・もらったものを玉川上水遊歩道に捨てる受験生が多いから、それもできれば回収してほしいのだけど・・」とは思ってますが。
以上、毎年言ってるけど、そもそもみんなが言う「大学職員っぽい人」ってなんやねん、の手羽がお送りいたしました。
と言いつつ、文科省とかの説明会に行くと、駅から「あ。多分この人は大学職員だろうなあ」というのがだいたいわかるんですよね。
こんな感じの「中肉中背+メガネ+なで肩+ペットリな髪+自分の体型と合ってないヨレっとした紺スーツ+ネームホルダー」だと、ほぼ大学職員と確定してよくて。
・・って、いるなあ、こういう人・・あ、特定の人物ではなく想像上の人物なのでよろしくお願いいたします。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。