手羽のジレンマ

18日は熊本でムサタマトークの手羽です。えーと・・・見事に台風とぶつかりそうなんですけど・・・。

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最近ネットで話題になった「木こりのジレンマ」という話はご存知ですか。

ビジネス関連本の「時間管理」「生産性」「効率性」で語られてる話で、細かく書かれてるのはこちらかな。
木こりのジレンマ - ホリスティック・ライフ・デザイン・ラボ

いろんなバージョンが存在するんですが、共通してる部分はこういった内容です。

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旅人が森の中を歩いていると、刃こぼれしたノコギリで忙しそうに木を切る木こりを見つけました。
しばらくその様子を見ていた旅人が指摘します。

「刃を研げばきっと楽になりますよ」

すると木こりはこう答えます。

「そんな事をしている暇なんてない」

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エクセルで1000セル関係するようなものだと迷わずマクロ組むけど、100,200ぐらいだと「・・・えーい、手打ちでやっちゃえ!」とやりだして、途中で「ああ。やっぱりマクロ組んだ方が早かったなあ(涙)」と後悔すること、よくあります。ソフトをバージョンアップした方がいろいろできるんだけど、使い慣れてる方が楽だからそのまま、ってのもこのケースに入るかな。

この木こりに対し「社畜かよww」というコメントがよくついてるんだけど、手羽はこれを最初に見た時、「これだけの情報ですべてを判断するのは難しいんじゃないか。むしろ旅人、お前はどうなのよ?」と思ったのです。


バージョンによっては旅人が「ノコギリの刃を交換すれば楽になりますよ」と指摘してたり、道具が「斧」だったりします。でも、木こりが使うようなノコギリや斧って、ダイソーで買ってくるようなものではなく、よほどのことがなければ交換せずに「研いで」使ってるはずなのよね。簡単にカッターや包丁のように「交換すれば?」「研げば?」と言えるようなものではない、と想像できる。
木工や木彫やってる学生さんだとノミを研ぐことは日常じゃないかしら。手羽も学生時代ノミを研いでました。斧やノコギリとなると研ぐのも一苦労です。ノコギリの刃を研ぐ・・・大変だから手羽は絶対にやりたくないなあ・・・。そして森の中だと研ぐ道具もないだろうから、おそらく山を下りて・・・となってしまう。

いや。そもそもプロの木こりがボロボロの刃のまま森の中に入るもんだろうか。
旅人が木こりに出会った時間が朝だったら「え。刃を研がずに森に入ったの?それは木こりのプロとしてどうなの?」という指摘はできるかもしれないけど、夕方であれば朝からずっと作業をしてた可能性が高い。「よっしゃ。もう一本切ったら山下りて酒飲むべ!」とラストスパートで頑張ってる時に、わけわかんないやつが突然やってきて、切り株に座りながら「刃を研いだ方がいいんじゃね?社畜かよw」と指摘されたら「うるせーよ!こっちは朝から頑張ってるんだよ!」とそりゃ怒ります(笑)
「あと何本切ればいい段階なのか」の確認をせずに指摘した旅人の方が疑問で。
なんとなく「知能派」の旅人の方が木こりという「労働者」よりステージが上のように、ブルーカラーとホワイトカラーの関係のように扱われてる印象があるけど、未確認の状態でそんなことを指摘する旅人の能力は高くないんじゃないかと。


そして、指摘したのが「旅人」というのが、この話の最大のポイントだと思ってます。
つまり完全な第3者視点であり、最大の他人事。そういう人から指摘されれば「あ、そうですね。ご指摘ありがとうございます」と感じるかもしれないけど、もし指摘したのが友人だったら。
「わかったよ。わかったから見てないでお前も一緒に木を切ってくれない?」だし、「じゃオレの代わりに山下りて刃を研いできてくれない?往復2時間かかるけど。研ぐのに1時間かかるけど」だし、「てかお前、手に電動ノコ持ってんじゃん!」と言いたくなるのが普通じゃないかしら。「批判はいいからさ」ってやつ。

このたとえ話から「がむしゃらにやらずに作業効率を常に求めましょう」とも読み取れるし、「どういう視点で指摘するか?」「木を切るにも能力がいるけど、指摘するのにも能力が必要」とも感じ取れる。
そう考えると、真逆のスタンスの「伝えたいこと」が想像できちゃう例え話って完成度が高くないんじゃないのかな、と。
そもそも、この話のタイトルは「木こりのジレンマ」で表現できてるのか?と思ったりもしますが。木こりはジレンマだとは思ってないわけで、「山嵐のジレンマ」とはちと違う。



何が言いたいかというと、がむしゃらに作ってたムサタマトークのデータがさっき消えましたよってことを言いたくて(涙)
調子が乗ってきてガンガン作ってたら保存するの忘れてて(涙)
パソコン固まって再起動したら1日前の状態で(涙)
ちゃんとマメに保存しないとダメだよね(涙)
旅人が朝の5時、手羽の書斎に突然やってきて「そろそろ保存した方がよくね?作業効率下がるよ」と指摘してくれたらどれだけよかったか、心の中の旅人が欲しかったというグチでここまで書きました。

そして、このブログを書いてる時間があれば少しはデータ作れたよね?って話で、手羽のジレンマ。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。