美大受験生の疑問にお答えする恒例の「#美大受験」シリーズをお送りしてます。
#美大受験では、ムサビまたは関東美大の一般入試(AOや推薦入試じゃない入試)を具体例で使うことになりますが、基本的にはどの美大受験にも参考になるはずです。
これまでの話はこちらから▼
■東京五美大2022入試カレンダーからわかるたった1つのアドバイス
■コロナ対応の入試変更点は重要な情報だから、マメにチェックしよう
■ムサビの実技試験で絶対に忘れちゃいけないものを1つ断言します
■美大実技試験でのたった1つのアドバイス
■美大入試で家を出る前に確認すべき情報と持ち物は?
■学科試験当日に聞いても役に立つアドバイスを1つだけ
■入試の朝、中央線が止まった。さてどうする?
■手羽のブルーピリオド-入試でこんなことが起きた-
■タマビ入試の雪対策を勝手に考えてみる
■2022年度東京4美大一般選抜志願者数が言えるたった1つのアドバイス
■倍率は全然信用できないって話 1 #募集定員と合格者数のトリック
■倍率は全然信用できないって話2 #併願のトリック
■タマビとムサビの合格発表日にやるべきこと【受験番号がわからない時は】
*間違った情報を書いている可能性もあるので、募集要項等大学公式情報で必ずご確認ください。
昨日はムサビとタマビの一般選抜合格発表日でした。
というわけで、まず合格された方へのアドバイスをお送りします。
なにはともあれ、
合格おめでとうございMAU!
4月から美大ライフが始まるわけですが、落ち着くまでは大変な日々が続きます。
特に地方から上京して1人暮らしを始める人は、アパート探し、アパート探しのためのホテル確保、家財道具の準備、引越し、電気・水道等の契約等など山のようにやることが出てきます。
とりあえずこの土日ぐらいはのんびりした方がいいけど、徐々に上京モードに切り替えて行きましょう。やっぱりいいアパートから埋まっていくので。あ、東京藝大受験がある人はもうひと踏ん張り!
今は「やった!!!よーし、大学行ったらいろんな授業を受けて、たくさん友達作って、サークル入って、彼氏見つけて、美術館とかギャラリーにもあちこち行って。あ、でも授業ついていけるかな?みんな自分よりうまかったらどうしよう・・そして学食で一緒に食べてくれる人いるかな・・・」とワクワクとドキドキで胸が押しつぶされそうな時期なんじゃないでしょうか。
「美大に合格した人へ」ではこのあたりのことをシリーズで書いていきます。
■美大は忙しい
美術大学は好きな絵だけを描いていればいいハッピーな大学なイメージありますが、「実技だけを勉強するわけでなく、英語や哲学など教養科目(座学)も普通にある」ことが意外と知られていません。
構造は「通常の大学の授業+実技授業」と考えた方がいいんです。
美大といっても大学なんで(笑)
あ、ちなみに卒業生の多くが「座学の教養科目授業をちゃんと聴講しとけばよかった(涙)」と言います。学生時代は社会での教養科目の必要性に気が付かないもんで。
更にデザイン系学科の1年は課題が多い。
ハチクロみたいな世界は期待しない方がよくて、タマグラやプロダクト、ムサ視デ・デ情の授業内容を聞くと「え。それじゃ寝る時間も遊ぶ時間もなくね?・・」と正直思うし、クリエイティブイノベーション学科の入学生は相当覚悟しといた方がいいです。
なので1年前期ぐらいまで・・授業のペースに慣れるまでは余計な予定を入れない方がいいかもよ。
■知らないところで動いてる人は動いてる
ムサビで有名な社会連携といえば、やはりグッドデザイン賞も受賞した旅するムサビプロジェクト、略して旅ムサでしょう。
メディアでよく紹介される黒板ジャックも旅ムサの一つで、最近もNHKで紹介していただきました。
■卒業祝う「黒板アート」に登校の生徒驚く 東海村の中学校|NHK 茨城県のニュース
で、信じられないかもしれませんが、旅ムサって単位とは関係ない自主課外プロジェクトなんですよ。さらに信じられないと思いますが基本的に交通費は自腹(ようやく最近は先方からお金が出るようになってきました)。
コロナでこの手の活動が難しい状況が続いてますが、それでも夏休み、春休みは全国飛び回って活動をしています。
授業外の活動ってことだと、新潟でのわらアートだったり、恐らくまだ他美大ではやっていないスタートアッププログラムだったり、新しいところだとこの2つもそうですね↓
■マルトモ 産学連携でかつお節とだしを未来につなげるデザイン開発を模索-武蔵野美術大学、大日本印刷とデザインワークショップを開催! Z世代の新たな発想で、これまでにない新商品開発を目指す
ムサビだけじゃなく、タマビだとたまクリエイティブギルドや統合デザイン学科の「in」といった学生有志の活動体があって現在デザインハブで展示してるし、東京藝大だと「とびらプロジェクト」なんかが授業外の活動。
大学では「やる気がある人向け」に授業内外でいろんなチャンスがあるわけですが、みんな通常授業だけでも忙しいはずなのに、本当に偉いなあ。。
また、自主的にコンクールに出してる人もいて、
■羽部空海さんが国際青年デジタルアート展 映画部門にてグランプリ受賞
映像学科3年生がグランプリを受賞してるし、タマビでは
■テキスタイルデザイン学生が靴のアワードでグランプリを受賞 | 多摩美術大学
テキスタイル2年の学生さんがやはりグランプリを受賞してたり、「知らないところで動いてる人は動いてる」のがわかると思います。
■「大学は放任主義」という解釈は正解であり間違い
大学は高校よりもかなり自由です。
昔のような大学の完全放任主義はこのご時世許されなくて、昭和世代の手羽からすると「え?大学がそこまでサポートしてあげてるの?ちょっと過保護すぎない?!」と思えるようなことも今はやっていますが、やはり根本の「大学ではサボるのも頑張るのも自分次第」という姿勢は変わっていないと思います。もう少しちゃんと書くと「選択肢やチャンスがたくさん用意されてる。どれを選ぶかは本人の自由と責任」かな。自由には責任がついてくるので。
先生に指示されたものだけを「処理」して卒業に必要な最低限の単位だけ取っていけば、とりあえず卒業はできます。でも、それだけだと恐らく「美大っていろんな面白い出来事が起きると思ってたけど、予想よりつまらなかった。ムサビはクソ」ときっと感じるはず。
ちなみに就活用のポートフォリオを作る時に、授業でしか作品を作っていない人は多分スカスカになります。課題は毎日大変だけど、多くは考えてる時間や調査・ディスカッション・習作だから、「アウトプット」として人に見せられるような3年間の授業内作品数って意外と少ないんです。
就職を考えてる人は、課題も大事だけど授業外の活動もすんごく大事ですよ。
続く!
以上、この時期になると先輩ヅラして語りたがる大人がでてきてウザイよね、とわかってるけど語ってしまう手羽がお送りいたしました。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。