美大に合格した人の4つの悩みに答えます【両方合格したけど、どっちに行こうか?】

2023年3月7日(火)

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美大受験生の疑問にお答えする恒例の「#美大受験」シリーズをお送りしてます。

#美大受験では、ムサビまたは関東美大の一般選抜を具体例で使ってますが、基本的にはどの美大受験にも参考になるはずです。
これまでの話はこちらから▼
東京五美大2023入試カレンダーからわかるたった1つのアドバイス
ムサビの実技試験で絶対に忘れちゃいけないものを1つ断言します
美大実技試験直前での効果的なたった1つのアドバイス
美大入試で家を出る前に確認すべき情報と持ち物は?
学科試験前日に聞いても役に立つアドバイスを1つだけ
2023年度東京4美大一般選抜志願者数から言えるたった1つのアドバイス
【番外編】ChatGPTにムサビとタマビ、どっちがいいか聞いてみた
今年最後の受験アドバイスは「指はどこから曲がるか?」の一択で。
国公立芸術系大学の志願者数を調べてみた【東京藝大は?移転する京都芸大と金沢美工は?】
補欠は例年何番まで繰り上げるのか?【タマビの過去5年補欠繰上数を調べてみた】
美大に合格した人の4つの悩みに答えます【現役でもついていけるか?】
*間違った情報を書いている可能性もあるので、募集要項等大学公式情報で必ずご確認ください。
 

 
合格された方の悩みで多い4つの悩み
1.現役で受かったけど、ついていけるだろうか?
2.両方合格したけど、どっちに行こうか?
3.学科試験のみ入試で合格したけど、入学して実技についていけるか?
4.入学式は何を着ていけばいいか?

について、あくまでも手羽の個人的な考えとして答えています。
 

2.両方合格したけど、どっちに行こうか?
なんともうらやましい悩みですが、「貴方の価値観次第」としか言いようがなく。
いろいろ調べた上で受けた大学なら、最後の最後は親や友達や講師やネットの意見じゃなく、「オープンキャンパスでこっちの大学の雰囲気がなんとなく合いそうだったから」「五美大展で好きな作品が多かったから」「家から近いから」とか、自分とのフィーリングで決めていいと思ってます。
「自分の中のモチベーション」に相談した方がよく、最後は自分の運や縁を信じるしかありません。
「ちゃんと情報を調べろや!」と普段は言ってますが、最後の最後はそんなもんです。

その答えを知ってる人はいないし、そもそも答えがないし、「あっちの大学にしろ」と言う人の情報もどこかから聞いた「噂」がベースだったり、随分前の情報やイメージだったりするわけで。
手羽の情報だってもちろんそうです。時々指摘を受けてこっそり修正してたりするし。

 
ただ、ひとつだけ忠告するなら。
大学選択理由が「親友の●●さんが行くから私も」「大嫌いな▲▲さんが行くから嫌」はかなり危険です。なぜなら大学に入るといろんなヒトとデキゴトに出会うので、興味をもつ対象や考え方自体お互いに変わる・・というか大学に入って変わらない方が変なんですよ。
 

ムサビ視デ卒の森影さんは、学生時代に空デ卒でフードクリエーター・パン職人の三田 真由さんに出会い、「ものづくり」の広さを知ります。
 
No.50 加藤 優子[祭り専門家/(株)オマツリジャパン 代表取締役]

油絵学科OGの加藤さんにいたっては、油絵を描きたくて油絵学科を選択したはずですが、就職した漬物メーカーを退職して起業し、今や売上1億の会社社長になってます。
森影さんと加藤さんが入学前に今の仕事をほんの少しでもイメージしてたかっていうとそれはありえなくて、状況変化で興味も仲間も全然変わるし、人生わからないもんなんです。
 
3ヶ月もたてば大親友だった友達が違う友達と行動するかもしれないし、画塾時代は嫌いだったけど毎日付き合っていくうちに「ああ。こういうやつだったんだ」と理解するかもしれないし(そういうケースの方が親友になる可能性あり)
これは「彼氏が●●大学に行くから私も」も同じ。大学に行けばきっともっと素敵な恋愛に出会いますよ(責任は一切取りませんが)
 

 
そして2大学の選択の場合、「東京と地方、どっちの大学に行くべきか?」という悩みもあるはず。
結論は「それぞれいいところも悪いところもある」「どこが良い学び場かは自分の意識次第で変わる」だと思ってますが、あえて書くなら「金銭的な問題でなければ、若いうちに東京で勉強した方がいいよ」と、手羽は答えます。
 
いくつか理由がありますが、1つだけ書くなら「クリエイティブ系事業所数の多さ」が挙げられます。

これは熊本の予備校説明会で使ったデータなので熊本・大分比較になってるけど、圧倒的にクリエイティブ系の会社や本社が東京は多い。
「このオンラインの時代に場所はあんま関係なくね?」と思っちゃうけど、会社があるってことは仕事があるってことで、仕事があるってことはクリエイターも仲間も理解者も多く、クリエイティブを認める風土があるってことなんですね。また、美術館やギャラリーなどの文化施設が圧倒的に多いのも東京の特徴です。
 
上京へのハードルのひとつに「東京って犯罪が多くて怖いし、人が冷たそう」があるかもしれません。手羽もそうでした。
東京の情報は全国に発信されやすいので、そのイメージが生まれやすいのもあるし、確かに人口が多いから「犯罪件数」だとどうしても多くなっちゃいます。

これも熊本で使ったデータですが、住宅侵入盗犯の遭遇件数だと東京が高くなるけど、遭遇は実は東京よりも熊本の方が上にくるんですね。
あ、手羽は田舎が嫌いで嫌いで東京に出てきた人間だから、これに関してはすごく偏った考えを持っています。東京に都合のいいデータだけお見せしてるので話半分ぐらいで聞いてもらうのがちょうどいいのだけど、「思ってるほど東京は危険じゃないよ」ってことだけ理解してもられば。
 
そして東京は外から人が来ることを前提にコミュニティが作られているので、「人に冷たい」ではなく「相手を尊重してる」という解釈が正しいんじゃないかと思ってます。「多様性を受け入れる」という意味では地方より東京の方が高いし、「多様性」「寛容」って「身内にする」ではなく「他人を他人として受け入れる」ことなのかな、と。
「よそ者を排除せず、多様な文化や価値観を受け入れる寛容性」が高いのが東京で、クリエイティブやイノベーションには必要な要素なんですよね。

アートやデザインは、観察・企画(発想)・調査・実践(制作)・発表・フィードバックが必要です。
「のんびりした環境で1人で作品作りたい」「地方でその文化を勉強したい」てことならわかるんだけど、「たくさんいろんな種類の人、今まで会ったことがないような人と直接関係を持つ」「クリエイティブな土壌がある場」「様々な場やシーンを調査し発表する、見てもらう(いわゆる刺激)」を求めるなら・・他の学びはわかりませんが、アートやデザインを学ぶのであれば、それが金銭的な比較でなければ東京なのかな、と。


続くっ!!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。