【 #美大受験2023 】補欠は例年何番まで繰り上げるのか?【タマビの過去5年補欠繰上数を調べてみた】

2023年2月28日(火)

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ムサビとタマビの1次学費納入期限が今日28日までで、まもなく補欠の繰り上げがスタートします。
 
でも、補欠に関する情報って少ないんですよね。
例えばムサビが公式に出してる補欠に関係する情報は、募集要項P25
募集要項|18 補欠判定者に対する繰上合格について
ぐらいで、タマビに至っては募集要項P19に

と書いてあるくらい。

恐らく補欠者の誰もが思ってることは、
そうじゃなくて、例年何番まで繰り上がるのか教えろ!
でしょう。

でもずばり結論を書くと「全くわかりません」なんです。すいません・・。
別に隠してるわけじゃなく「補欠繰り上げの仕組み」を知れば、何故かはわかってもらえるはずなので、そのあたりを今日は丁寧に書いてみます。
手羽も補欠を経験したことがあるので、繰り上げ待ちをしてる人の不安の気持ちはすんごくわかるので。 
 

意外と知らない人が多いんですが、私立美大の場合、合格したけど抜けていく人を見込んで合格発表の合格者数は定員よりも多めに出しています。
また、大学入試は何年もやり方や日程を変えないイメージを持ってる方もこれまた多いんだけど、私立大学はデータを分析し、毎年のように日程の組み合わせ・募集定員・方式・やり方、そして合格発表数をいじっています。

具体例を出していきましょう。
まずは、5年間のムサビ一般選抜一般方式合格発表者数推移です。

わざわざ表にする人がいないからわからないだけで、年によってこれくらい合格発表数は変わってるんですね。合格発表数が毎年違うんだから、繰上げ数も毎年変わる。かなり簡単な仕組みです。

「昨年はどれくらい繰り上がったのか?」
「例年どれくらい繰り上がるものなのか?」
という問い合わせが毎年たくさんあるし、ネットでもだいたいはその話題だけど、昨年の状況がまったくあてにならない、そもそも「例年」というものが存在しないのが合格発表数であり、その典型例が補欠繰上げ数。

 
「合格発表数は定員どおりにして欠員でたら補欠を繰り上げる」が一番簡単なやり方ですが、あんまり補欠が繰り上がりすぎると「逃げられてる=人気がない」と思われてしまう可能性があって、ほんと難しいんです。
 
次に、タマビ一般選抜一般方式の過去5年の補欠繰上げ数を見てみましょ。
親切なタマビさんはムサビと違って過去の補欠繰上数を公開しています。

ほら。年によって全然違うのがわかるでしょ?

で、さっきの話の続きで、グラフィックデザインと統合デザインを見てください。
この数字だけパっと見ると「前年より全然繰り上がってない!人気が上がったんだなあ」と思っちゃうけど、実は前年より合格者数を多く出してるだけかもしれないんですね(例えばです。人気が上がってるのは間違いない)
逆のパターンが情報デザインコースかな。

補欠者が欲しい情報は確実にこのデータなはず・・だけど、この数字を見たところで読み取れるものが残念ながら全くないんです。表を作っておいてなんですが。
 
毎年数字が変わる理由は、
●同じ学科を一般方式と共通テスト方式の両方受験してる人がどれくらいいるか?(方式併用)
●工デと空デ両方合格した人がどれくらいいて、どちらを選択するのか?(学内併願)
●ムサビ基礎デとタマビ統合デザイン両方合格した人はどちらに行くのか?(他大学併願)
●推薦入試でどれくらい確保できてるか(他入試との兼ね合い)

な傾向が年によって異なるからです。
昔は一般入試は1個しかなかったけど、今は「共通テスト●方式」とかいろんな併用方式が増えたので、更にわけがわからなく・・・動きが読みにくくなってます。

そして、「タマグラが第1志望だけど補欠10番で回ってこない、第2志望のムサビ視デは合格」というケースの場合、ムサビに学費を払い込んだ3月下旬にタマグラ補欠繰り上げが回ってきたら、その人はどうするか。入学金も払ってアパートも決めたから断るか、全部捨ててでもタマグラに行くか・・これは人ぞれぞれです。
相談する相手やその時々によっても変わるはずで、いろいろな事情や経済状況、心情、タイミングの連鎖が関係するのが補欠繰上げなのです。
 
「多く入学させちゃってもいいじゃん。倫理的な問題はあっても大学経営上悪いことじゃないでしょ?どーんと合格出しちゃいなよ」と素人考えで思いますが、入学者数上限(超過率)に関する文科省のペナルティがあるから、特に最近は入学定員ぴったりぐらいにならないといけないんです。
なので最近は 「〇〇学科は去年手続き率が悪かったから多めに合格者発表したけど、辞退者が少ないなあ・・あと二人くらい辞退してくれないと困るんだけど・・」という嬉しい悲鳴のケースもちょこちょこ出てきてます。
どれくらい合格者数を出すかは、大学と受験生との「かけひき」と言えるんですね。

まとめると。

状況が毎年全く違うし、毎年適正になるよう修正されてるのが合格発表数だから、「どれくらい補欠が繰り上がるかは全くわからないし、過去の数字も全くあてにならない」なんです。

 
調べても時間がもったいないし、不安な状態で絵を描いても全然ダメなので(手羽がそうだった)、時間がある方は各学科がやってる学外卒展や五美大展、普通の展覧会や映画を見に行ったり、「もがいても仕方がない時間」を逆手にとった方がいいですよ。人生でそう経験できる時間じゃないしね。


以上、補欠は出所がはっきしない不確かな情報が毎年SNSで出回りやすいので、公式情報以外は信じない方がいいっすよ、の手羽がお送りいたしました。
繰り上げを回すために、このタイミングでネガティブな話題を出す人もいたりします。
ちなみにこの美大受験シリーズは毎年アクセスが多いし、年々美大生から「受験時代は手羽さんの記事が参考になりました」と言ってくれる機会が増えてるんだけど、なぜか他の記事よりもSNSであまり拡散されないんです。手羽はこれを「受験生の闇」と呼んでます(笑)

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。