【 #美大受験2023 】国公立芸術系大学の志願者数を調べてみた【東京藝大は?移転する京都芸大と金沢美工は?】

2023年2月24日(金)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

美大受験生の疑問にお答えする恒例の「#美大受験」シリーズをお送りしてます。

#美大受験では、ムサビまたは関東美大の一般選抜を具体例で使ってますが、基本的にはどの美大受験にも参考になるはずです。
これまでの話はこちらから▼
東京五美大2023入試カレンダーからわかるたった1つのアドバイス
ムサビの実技試験で絶対に忘れちゃいけないものを1つ断言します
美大実技試験直前での効果的なたった1つのアドバイス
美大入試で家を出る前に確認すべき情報と持ち物は?
学科試験前日に聞いても役に立つアドバイスを1つだけ
2023年度東京4美大一般選抜志願者数から言えるたった1つのアドバイス
【番外編】ChatGPTにムサビとタマビ、どっちがいいか聞いてみた
今年最後の受験アドバイスは「指はどこから曲がるか?」の一択で。
*間違った情報を書いている可能性もあるので、募集要項等大学公式情報で必ずご確認ください。


東京藝大の志願者数確定版が発表されたので、主な国公立芸術系大学や美術系学部の一般選抜志願者数推移表を作ってみました。
各大学が発表してるデータには過去志願者数が入ってないんで、勝手に数年分を追加した、いつものおせっかいな手羽オリジナル版です。

手羽が一人でチマチマ調べて作った表なので間違っている可能性が高いです。
必ず正しい数値については公式サイトをご確認ください。会議資料に使ったり拡散してもらって全然いいんですが、間違いがないか今年の数字だけでもチェックしてくれるとすごくありがたいっす。
また、一般選抜のみで総合型選抜などは含まれてないのでご注意を。
今日は美大受験生っていうより美大関係者向けの記事になっております(笑)


最初はやっぱり東京藝術大学ですね。

私立美大は受験生が減った理由を「少子化」「他大学の日程とかぶった」「地元志向が強くなった」「今は景気が」「あっちには有名教員が」「学科名が分かりにくい」「施設が古くなった」「併願率が」「コロナで例年の相談会ができなかった」「広報が宣伝してくれない」と、いろいろ「自分ではない何かが原因」にすることがよくあります。

でも、「学費が安く」「ほとんどオープンキャンパスや相談会、入試広報をやっていない」「学内併願も多様な入試方式もほぼない」「都心」「歩留まり率ほぼ100%」「日本全国でのブランド力が高い」な東京藝術大学の美術学部志願者数は「東京藝大の志願者数」というより、
●東京志向があり、かつ実技力を求める『素』の美術大学希望者実数
●「どうせ行くなら日本1の大学」というブルーピリオド的意識を持ってる全国の人数
●美術で食っていく覚悟をもつ18歳前後の人数
●それを理解・応援できる親の数(ここ大事)

と考えることができます。

また、東京藝大は定員の変更もあまりなく、学科の分類も「絵画」「彫刻」「デザイン」「工芸」「建築」「先端芸術」「芸術学」と他美大と比較しやすいカテゴリーになっているので、手っ取り早くカテゴリごとの希望者数変化を把握できるデータなんですね。

おまたせしました。2023年度の数字はこうなりました。

全体で約170人増。
去年から油画人気が高くなっていて5年ぶりに1000人越え。東京の私立美大も油絵・油画系は大きく増えてるから、やっぱりブルーピリオドの影響は確実にありそうですね。
気になるのは工芸。他の学科はこの数年増えたり減ったりを繰り返してるけど、唯一2017年からずっと減少が続いています。私立美大も工芸系は最近減少傾向にあるんですよね・・。


では他の公立芸術大学の状況を見てみましょ。
まずは国公立5芸大の東京藝大以外。

去年はメディア映像ができたから人数が増えたように見えただけで実質マイナスだったけど、今年は全体で約6%増。
 
気になるのは今年キャンパスを移転する2大学。
まず京都市立芸大さん。

デザイン科が大きく数を増やしてますが、全体では想像してたより増えてない印象。

次に金沢美大さん。

ファインアート系を中心に減ってます。
デザイン系を改組するので、「ご祝儀」としてもう少し増えてもいいはずなんだけど。
2大学とも「新しいキャンパスでの一期生」よりも「入学してすぐにキャンパス移転で面倒なタイミング」と捉えられちゃったのかな。この2大学はこの数年間は要チェックですね。

沖縄県芸さんは今回の調査では一番減少率が高かったです。
ただ、国公立芸術大学は募集定員が私大に比べるとすごく小さいので、1人2人の志願者数変化で増減率が大きく変わってしまうことがよくあります。率の大小より推移を見た方がいいです。


国公立5芸大は入試部署でも調べてると思うので、ここからは手羽が気になってる大学を。
あ。あくまでも手羽の個人的な感想です。

最近減少傾向にあって、とうとう200人を切ってしまいました。
 

旧 首都大学東京です。去年ちょっと減ったのでより戻しかな。
 

千葉大さんも「85%になった」というより、より戻しと考えた方がよさそう。
 

京都工芸繊維さんは後期日程をやめたので56%という数字になってますが、前期比較だと50人増です。ただもう少し増えてもよさそうな気も。
 

静岡文化芸術大さんは、手羽が集計を始めてから初めて700人を切りました。
 

佐賀大さんは盛り返してきた印象。
 

未来構想デザインとかすごく面白そうなことやってるんだけどなあ。。
 

アキビさんは前期・中期日程ともに13%増。
 

数字だけ見ると「2年ぶりに100人を切った」となりますが、この人数での9人減は誤差の範囲じゃないかと。

岡山県立大は2021年にデザイン学部を改組したばかりなのでもう少し様子を見てみないとなんとも。
 

去年大きく減っちゃったので、より戻しと考えた方がよさそう。
 

公立化で志願者が増えた大学として有名な長岡造形大学。
公立化2年前の全志願者数(総合型選抜や学校推薦型選抜等を足した数)は定員(230名)ギリギリの239名しかいなかったのに、公立化年は1310人と劇的に増え、2020年には公立化以降最多の1289名に達しました。なので大学公立化を検討する時に必ず成功事例としてあげられる大学なんです。
今回の入試では全体で4%増ですが、建築・環境デザインの減り方がちょと気になります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。