【神戸シリーズ最終回】他美大でSD研修をやる4つのメリット

神戸シリーズ第9話目の手羽です。

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前回までの話はこちら
大手前大学メディア・芸術学部オープンキャンパスに行ってきた
神戸芸術工科大学オープンキャンパスに行ってきた1
神戸芸術工科大学オープンキャンパスに行ってきた2
【白すぎる】姫路城に行ってきた
神戸芸術工科大学SD研修をやってきた1
神戸芸術工科大学SD研修をやってきた2
神戸芸術工科大学SD研修をやってきた3
神戸芸術工科大学SD研修をやってきた4

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予定では4話ぐらいで終わらせるつもりだったんだけど、ずいぶん長くかかっちゃった・・。
最後にまとめを。


この講義とワークショップで芸工職員さんに感じてほしいなーと思ってたことが4つありました。
それは、この記事で書いた学生生活・国際交流課・Sさんからの「芸工で講演することによる手羽のメリットはなにか?」への答えでもあります。

(1)「美大ってなんなのか?」を世の中に知ってほしいから。
いくら私達が「美術やデザインってすばらしいんですよ!」と叫んでもほとんど効果はありません。
「そうだよね。自分達のことだから必死だよねwww」で終わり。
また、美術の大事さを伝えたいあまり、「美術とは特別なものなんです!」とこれまで美術関係者が言い過ぎてしまった感もある。
普通の人が「美大って絵を描いてるだけだと思ってたけど、いろいろやってるのね」「なんだ。美大での学びって普段の生活とつながってんじゃん」と少しでも多く気が付いてくれないといけない。

意外と驚かれるんですが、美大職員の多くは「一般大学出身者」なんです。
考えてみりゃ当然で、ムサビも9割は早稲田とか慶應出身者。東大卒もいます(笑)
この存在、面白いと思いません?
学生やOBOGはもちろん100%だけど、高校美術教員や実技系大学教員・助手も9割ぐらいは芸術系大学卒業生なわけで、「大多数が美大外の美大関係者」という立場は事務職員だけなんですよ。
「一番身近な『世の中の人』」であり、面接で「御校の教育理念に共感し」「これからの作家を応援したい」とかありきたりなことを適当に言って就職したかもしれないし、姉妹校からの異動で嫌々やってきた方かもしれないけど、少なくとも最近まで美大とは関係なかったけど、「美大を理解しよう」「理解しなくちゃな」と思ってる人達。
「世の中に伝えるのも大事だけど、まず手っ取り早いのはこの人達だな」と気が付いたわけで(すいません。表現悪くて)

美大事務職員が「美大とは絵を描き方を学ぶところ」ぐらいの知識ではなく、「美術・デザイン・美大の本質的な学び」を理解し、大学の同窓生とかに話してくれたなら。
(私達だと同級生や知り合いの多くは美大OBなので意味がないんですw)
美大職員が「美大好き」「美大の理解者」 「美術・デザインの翻訳者」になってくれたなら。
まずは「美大ってなんなのか?」を考えてくれるようになったなら。
私なんかよりも大きな声の「美大スピーカー」になるはずで。
「美大の味方を少しでも増やす」のが手羽のやってる活動なので、これが一つ目のメリット。


(2)もはや1大学の問題ではないから。
来年の受験生獲得は各美大で解決すべきことだけど、10年後の美大受験生獲得は1大学の問題ではありません。いやらしい話だけど正直な話。
中長期的に見た美大の抱える問題は初等中等美術教育等の抱える問題と多くかぶっており、10年後の受験生を獲得したいのなら(ご飯を食べたいなら)、ライバルでありつつも必要な部分では手を結んだ方がよくね?と思っています。特に例の件は、とっくに1美大の話じゃないですよね。
「美大をつなげる」のがやはり私の活動なので、これが二つ目のメリット。


(3)情報を発信するために情報が欲しいから。
遠回しに書かなければ、手羽はブログのためのネタが欲しいんです(笑)
たかだか神戸芸工さんで3時間講演しただけで9日分のネタができましたから(キリッ)。

・・・ちょっとそれはぶっちゃけすぎですね。
ちゃんと書くと、「情報は自然と入ってくるものではなく、発信することで入ってくる」と信じています。
例えばもう4年も活動してるのに「公開講座ってやってるの?どの部署がどこでやってるの?」と聞いてくるムサビ職員が本当にいるんだけど、「あ。この人に情報を渡しても活かしてくれないだろうな」とやっぱり思いますもん。プレゼントと同じで、喜んでくれたり使ってくれそうな人にプレゼントを渡しますよね。情報も同じで。

美大のことを考えるには、他美大さんの情報が欲しい。そのために美大の情報を流す・・・というサイクルでやっており、うーん、うまく言えないけど「自分の活動に得だ(価値がある)から」なのかな。
「敵か味方か」で選択すると結局「自分に都合がいい人」ばかり選んでしまうことになる。
「味方だけど得しない人」や逆に「敵だけど価値を出してくれる人」もいるわけで、「自分にとって価値があるかどうか」で判断したいな、と。
もちろん仕事では、価値がないと感じてもやらなくちゃいけないことはありますけどね。それは仕事ですから(涙)
これが3つめのメリット。
これで神戸芸工さんルートができたということです(笑)


(4)こんなやつが他美大にいることを知ってほしい
手羽というより、この研修を学内で提案された片山さんの意向なんですが(笑)

他人事ではなく自分事で捉え、「大学が何もやってくれない」で終わるのではなく「あ。自分でやればいいんじゃね?」とシャドーワークをしてる人間が東京にいる・・・ってことを知ってほしかった。んだそうです。
ケネディ大統領の演説で「国が何をしてくれるかではなく、自分が国に何ができるかを考えなさい」という名言があるけど、基本はここですよね。

それで関西の美大職員さんが「これは頑張らねば!」と動いてくれたなら、関東の美大職員も「こっちも頑張らないと!!」と盛り上がるはずで、美大自体にいい状態になる。
これが4つ目のメリットです。



「偉そうなこと語ってるけど、んじゃ、お前の大学はどうなんだよ」と突っ込まれるとギャフンですが、ま、そういう気持ちで講義とワークショップを行いました、ということでまとめにさせてください。

最後に。
芸工さんは「事務職員研修」とおっしゃってたのに、頑なに「SD研修」と手羽がタイトルつけてたのには理由が実はありまして。
「(美大)教育の質的転換に関する他大学等の取組事例の紹介」ということで「本年度に教育の質的転換に関するSDを実施していますか?」に「1 実施している」でチェック入れられるかな、と思いまして。
もう至れり尽くせりでしょ?(笑)
あ、わかる人だけわかってください。


研修が終わり、興奮した状態で新神戸駅に向かうと

台風の影響で下りの新幹線は広島どまりになってたけど、上りは30分の遅延こそありつつも動いてた。あぶなっ。
「JRガンバレ!雨男なんかに負けるな!!」と祈りつつ、無事に東京へ戻ることができました。
「さ。レポートを書くか」と神戸芸工さんのWEBに行ったら見れなくて、「変なこと書かれないように手羽のIPアドレスにブロックかけたのかな?」と疑ったりもしたけど(計画停電でWEBサーバが落ちていた)、これにて神戸レポートも終了といたします。


今回私に声をかけてくれた教務課の片山さん、それを了承された事務局長、部長職の皆さん、そして付き合っていただいた職員の皆さん、素敵で貴重な機会を与えていただき本当にありがとうございました!


以上、「神戸芸工といえばカメレオン!」と紹介したこの作品だけど、

「これ、カメレオンじゃなくカエルです」と指摘を受けた手羽がお送りいたしました。
・・・疑うことなくカメレオンだと思ってた・・・人間の思い込みってすごいなあ・・・でもそれよりもっとちゃんと作ろうよ(人のせいにする)

あ。そうそう。
12月某日に某所で恒例のアレをやることになったので(昨日連絡が入ったw)、楽しみにしててください。
詳しくは後日。

ちょっと休憩したら、しばらくやってなかったアレをやりますよ。


今日のまとめ
●関係が構築できたから、これで遠慮なく神戸芸工さん叩きができる(どんな理屈?)

よし、手羽美術大学★開設の野望がまた一歩近づいた!!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。