神戸芸術工科大学SD研修をやってきた3

神戸シリーズ第7話目の手羽です。

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これも経緯を簡単に書くと。
「せっかくなんだからグループワークショップをやりましょ!」と提案させてもらったんです。
「2時間しゃべろ」と言われたらできなくもないけど、聞きっぱなしの研修って全然今どきじゃないし。

でも参加者が80人と聞いて、その気持ちはぐらつきました。
グループワークショップは1チーム5,6人ぐらいがちょうどいいと思ってるので、それだと12チームになる。
チーム数が多くなるってことは
・最後の発表時間を1チーム3分としたらそれだけで40分近くかかり、「終わりだるみ」する。
・発表時間に時間が割かれ、ワークショップ本体の時間が減ってしまう。1時間ちょっとじゃ多分物足りない。
(「1,2チームだけ発表」って手もあるけど)
・12チームの島を作るとなると、結構なスペースが必要
・人数増やして1チーム10人にしたら、今度は発言しない人が出てくる(満足度が下がる)
てこともあり、グループじゃなくて個別ワークショップの方がいいのかも、と個別ワークショップバージョンの企画書も作りました。
でも芸工さんの意向が「普段話さない人と意見交換の場にしたい」ということだったので、グループワークショップでいくことに。
これは確かにそうなんですよね。
学内職員研修って「自分の知識を高める」のも大事ですが、「この人はこういう考えを持ってる人なんだな」「こういうのに興味を持ってるんだなあ」「へー。そういう情報もあるんだ」「この人は『べき論・そもそも論者』なのか」と知れる方が今後の自分にとっては大きく。
普段一緒に仕事で話をしてても見えない部分がかなりあり、知識を高めるだけであれば外でできますから。

なので1チーム10人にする代わり、普段だとその場でグループ内進行役を決めてもらうんだけど、係長職クラスを各グループ内の進行・仕切り役として入ってもらうことにしました。

始まってすぐにわかったのは、「ああ。研修慣れされてるな」ですね。
CS(顧客満足)研修・マナー研修などを普段からされてるそうで、「よし。10人でも大丈夫」と確信しました。


さて、グループワークショップのテーマは何にしたかというと、これです。

ワークショップの目的は2つあり、
(1)「芸術系大学らしさ・神戸芸工らしさ(特徴・強み)」の共有
(2)特徴・強みをいかした企画の提案



(1)「芸術系大学らしさ・神戸芸工らしさ(特徴・強み)」の共有
 「芸術系大学らしい」 「神戸芸工らしさを表している」と感じるモノ・コト・ヒトをブレインストーミング(ブレスト)しながら、キーワードを考えてもらいました。

ポイントは「特徴・強み」ってところ。
これが企画会議であれば、強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威 (Threats) のいわゆるSWOT分析をやってもらうところですが、「2時間の研修」なので「強み」に絞りことに。

どの大学・組織でもそうですが、「強み」よりも「弱み」や「否定意見」の方が多く出るもんです。
ディベート研修をやると大抵肯定派より否定派の方が勝ちますし(笑)
例えば「学園祭でお酒は必要である」をテーマにディベートすれば、みんな「ルールを守る範囲ならお酒ぐらい、いいんじゃね?」と思ってはいるんだけど、現状の問題を抱えつつ肯定するにはどうしても精神論的な話になり、現状問題を指摘できる否定派の方が論理的に聞こえ有利になりやすいんですよね。
あ、否定がいけないのではなく、「『否定する方が簡単」なのを知っときましょ」ってことです。

なので否定意見はあえて封印。
でも、「弱みも考え方によっては強みになるので、強みが思いつかない人は弱みを出してもいいですよ」という話はさせてもらいました。
一般的に考えれば「構内が汚い」はネガティブ要素なんだけど、芸術系大学であれば「学生が制作活動を活発に行っている証拠」でもあり、ポジティブ変換することができます。
広報の方が「うちの学園祭はアイドルとか来ないんですよ」とおっしゃってたけど、それはムサビも同じで(売れる前のパフュームが来たことがあるけどw)、むしろ「アイドルとか漫才師に頼らなくてもいいぐらい、膨大な『見せるモノ』がある」ことをムサビは売りにしています。
ある意味、これも「ネガティブをポジティブに変換してる」ってことですね。(ネガティブとは思ってないけど)
ぜひムサビの学園祭に来てください!!>広報の方


逆に、強みは弱みへネガティブ変換ができます。
神戸芸工さんは「学生数が少ないので、うちは少人数教育です!」を「強み」にしてるけど、果たしてそれが「強み」と言い切れるのか。
「美大のようなところだと、30人の違った意見と100人の違った意見、大学での学びとしてはどっちが今後の役に立つか?」という考え方もあります。

また、こちらをご覧ください。
恐竜の躍動感に感動!稲わらで作った「わらアート」の完成度がスゴイ - IRORIO(イロリオ)
[晩夏の田園風景飾る18点 武蔵野美大生、石岡の里山にアート 茨城 - 産経ニュース
東京の美大生、香川の島で創作活動 空き家などアトリエに - 産経ニュース
【茨城新聞】「笠間の栗」統一ロゴ 武蔵野美大チーム制作
黒板ジャック:児童ら「すごい」 美大生が長野の小学校で - 毎日新聞
全てムサビ生が関係してる、ほぼ同時期に日本中でやってる活動です。
これは大人数の大学だからできることであって(わらアートは50人の学生が参加してる)、学生数が少ないとここまでいろんな企画を同時並行的に進めることは困難・・・かもしれない。
「絵の描き方」を学ぶためには少人数の方がいいかもしれないけど、「社会へのチャンス」「大規模な企画」は仲間を集めやすい学生数が多い大学の方がある・・・のかもしれない。

あ。「いやいや。少人数っていうのは学生数に比べて教職員の数がって意味で」ってのはわかってて書いてます。あくまでも「考え方はいろいろありますよ。柔軟に考えましょ」の例なので念のため。

(2)特徴・強みをいかした企画の提案
んで、みんなで共有しただけじゃもったいないので、「特徴・強み」を使った企画提案をしましょ、と。
でもこれはあくまでも研修。
企画会議なら経費などを踏まえた現実味のある提案じゃないといけないけど、あえて「楽しい提案を優先して」とお願いしました。
やっぱり、楽しく仕事したいですからね(笑)


ちなみに「学生の満足度を上げるための提案」とかテーマを絞った方が企画を考えやすいはずです。
でも、
・いろんな部署・経験値の方がいらっしゃる
・提案の精度をあげるよりも、意見交換を重視
ということで、あえてざっくりなテーマ設定にしました。

予想どおり、あっという間に時間が過ぎ、模造紙にまとめてもらいます。

部長職クラスの方だけで1チーム作られてて、私は「アダルトチーム」と呼んでました(笑)
ちなみに正面に立ってる方が事務局長さんです。


そして、いよいよグループ発表!

どういう発表があったかは書きませんが、面白い提案がいくつもありました。
でも個人的に一番感心したのは、実はそのアダルトチームで。
「すごいなあ。うちの部長職がここまで提案できるかな・・」と思ったり・・・。


てなわけで、講演&グループワークショップもこれにて終了!!

でも、まとめに続くっ!!
いよいよ次回最終回!!!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。