【 #美大受験アドバイス 】補欠は例年何番まで繰り上げるのか?【タマビの過去6年補欠繰上数を調べてみた】

2024年3月4日(月)

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3月1日にタマビ補欠繰上が発表され、今日4日からムサビの補欠繰り上げが始まるから、東京の私立美大合格者が大きく動き出すタイミングになりました。
(次は東京藝大の3/14以降)
 
でも、補欠に関する情報って少ないんですよね・・。
合格者よりも情報が欲しいくらいなのに、例えばムサビが公式に出してる補欠に関係する情報は、募集要項P24
募集要項|18 補欠判定者に対する繰上合格について
ぐらいで、タマビに至っては募集要項P19に

と書いてあるくらい。
 
恐らく補欠者の誰もが思ってることは、
例年何番まで繰り上がるのか知りたいんだよっ!
でしょう。


でも、結論を書くと「全くわかりません」なんです。
すいません・・。
別に隠してるわけじゃなく、補欠繰り上げの仕組みを知れば、何故かはわかってもらえるはずなので、そのあたりを今日は書いてみます。
手羽も東京造形大で補欠を経験してるんで、繰り上げ待ちをしてる人の不安な気持ちはすんごくわかるので。 
 

 
意外と知らない人が多いんですが、私立美大の場合、合格したけど抜けていく人を見込んで合格発表の合格者数は定員よりも多めに出しています。
また、大学入試は何年もやり方や日程を変えないイメージを持ってる方もこれまた多いんだけど、私立大学はデータを分析し、毎年のように日程の組み合わせ・募集定員・方式・やり方、そして合格発表数を微妙にいじっています。
具体例を出していきましょう。
まずは、6年間のムサビ一般選抜一般方式合格発表者数推移です。

わざわざ表にする人がいないからわからないだけで、年によってこれくらい合格発表数は変わってるんです。
合格発表数が毎年違うから、繰上げ数も毎年変わる。
かなり簡単な仕組みです。

「昨年はどれくらい繰り上がったのか?」
「例年どれくらい繰り上がるものなのか?」
という問い合わせが毎年たくさんあるけど、昨年の状況がまったくあてにならない、そもそも「例年」というものが存在しないのが合格発表数であり、その典型例が補欠繰上げ数なんです。
  
「合格発表数は定員どおりにして欠員でたら補欠を繰り上げる」が一番簡単なやり方ですが、「補欠が繰り上がる」ってのは表面上「その学科を蹴った人の多さ→人気の無さ」に見えるので、あんまり繰り上がると今度は「あの学科、人気がないんだね・・」と思われてしまう可能性があるんですよ。
例えば、定員が同じ30名のA学科・B学科があるとして、
●A学科は合格者30名出し、補欠繰上げが15番まで回った。
●B学科は合格者50名出し、補欠繰上げが5番まで回った。

となった場合、実はA学科の方が歩留まりはいいのだけど、見えやすい数字が補欠繰上り数だから「B学科の方が蹴る人が少ない→人気がある」と感じる人が多い、と。

また、去年の映像学科合格者数を見てみると、募集人員より1名少ないですよね。
昔だと「定員割れだ!!」と騒いでたはずですが、これは総合型選抜、帰国生・外国人入試で入学定員を確保できてるから一般選抜を減らした、と考えられます。
 

次に、タマビ一般選抜一般方式の過去6年の補欠繰上げ数を見てみましょ。
タマビさんは過去3年の補欠繰上数を公開しています。

補欠者が欲しい情報は確実にこのデータだけど、この数字を見たところで読み取れるものが残念ながら全くないんです。表を作っておいてなんですが。
 
さっきの話の続きで、情報デザインコースを見てください。
この数字だけパっと見ると「前年より全然繰り上がってない!人気が上がったんだなあ」と思っちゃうけど、前年予想以上に繰り上げることになったから2023年度は合格者数を多めに出しただけかもしれないんですね。
逆のパターンが工芸学科で、2022年度は6人ぐらいで済んだから2023年は少なめに合格者を発表したら25人まで繰り上がってしまった・・かもしれない、と。
  
毎年数字が変わる理由は、
●同じ学科を一般方式と共通テスト方式の両方受験してる人がどれくらいいるか?(方式併用)
●工デと空デ両方合格した人がどれくらいいて、どちらを選択するのか?(学内併願)
●ムサビ基礎デとタマビ統合デザイン両方合格した人はどちらに行くのか?(他大学併願)
●総合型選抜でどれくらい確保できてるか(他選抜方式との兼ね合い)

な傾向が年によって異なるからです。
昔は一般選抜の試験方式は1個しかなかったけど、今は「共通テスト●方式」とかいろんな併用方式が増えたので、更にわけがわからなく・・・動きが読みにくくなってます。

そして、「タマグラが第1志望だけど補欠5番で全然回ってこない、第2志望のムサビ視デは合格」というケースの場合、ムサビに学費を払い込んだ3月下旬にタマグラ補欠繰り上げが回ってきたら、その人はどうするか、という「繰り上がった時期」も関係します。
入学金も払ってアパートも決めたから断るか、全部捨ててでも第1志望のタマグラに行くか・・これは人ぞれぞれですよね。相談する相手やその時々によっても変わるはずで、いろいろな事情や経済状況、心情、タイミングの連鎖が関係するのが補欠繰上げなのです。
 
「多く入学させちゃってもいいじゃん。倫理的な問題はあっても大学経営上悪いことじゃないでしょ?」と素人考えで思いますが、収容定員上限(超過率)に関する文科省のペナルティがあるから、最近は入学定員ぴったりぐらいにならないといけないんです。
なので最近は 「〇〇学科は去年手続き率が悪かったから多めに合格者発表したけど、辞退者が少ないなあ・・あと3人くらい辞退してくれないと困るんだけど・・」という嬉しい悲鳴のケースもちょこちょこ出てきてます。
どれくらい合格者数を出すかは、大学と受験生との「かけひき」と言えるんですね。


まとめると。

状況が毎年全く違うし、毎年適正になるよう修正されてるのが合格発表数だから、「どれくらい補欠が繰り上がるかは誰も全くわからないし、過去の数字も全くあてにならない」

例えるなら、去年の繰り上がり数を調べるのは「今日の天気を知りたいから、去年の同じ日の天気予報を見る」ようなもの。でも、天気だと「10月10日は天気の特異日」があるように「統計的に過去10年で見ると・・」が言えなくもない。
「トレンドが関係してて、年々ベストになるよう人の手によって調整されてるもの」という意味では天気より過去のデータが当てになりません。どちらかというと「今日のテレビが何をやってるか知りたいから、去年の同じ日のテレビ欄を見る」が近いかな。
「過去の補欠繰り上げ数」はそれくらいのレベルの数字だと理解していただければ。

 
以上、補欠は出所がはっきしない不確かな情報が毎年SNSで出回りやすいので、公式情報以外は信じない方がいいっすよ、の手羽がお送りいたしました。
繰り上げを回すために、このタイミングでその大学のネガティブな話題を出す人もいたりします。
 
ちなみにこの美大受験シリーズは毎年アクセスが多いし、年々美大生から「受験時代は手羽さんの記事が参考になりました」と言ってくれる機会が増えてるんだけど、なぜか他の記事よりもSNSであまり拡散されないんです。
手羽はこれを「受験生の闇」と呼んでます(笑)

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。