【 #美大受験 2021】国公立芸術系大学の志願者数を調べてみた【東京藝大は?京都市芸は?】

2021年2月26日(金)

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2月25日に東京藝大が志願者数確定版を発表したので、主な国公立芸術系大学や美術系学部の志願者数推移表を作ってみました。
あ、各大学が発表してるデータには過去志願者数が入ってないんで、勝手に5年分ぐらいを追加した、いつものおせっかいな手羽オリジナル版です。

手羽が一人でチマチマ調べて作った表なので間違っている可能性が高いです。必ず正しい数値については公式サイトをご確認ください。会議資料に使ったり拡散してもらって全然いいんですが、間違いがないか今年の数字だけでもチェックしてくれるとすごくありがたいっす。
今日は美大受験生っていうより美大関係者向けの記事になっております(笑)


最初はなんといっても東京藝術大学でしょ。
今年はこういう結果に。

東京藝大が270人減で、とうとう2500人台に。
最初数字見てびっくりしちゃいました・・油画でさえ倍率が15.5倍なんだもん。


私立美大は受験生が減った理由を「他大学の日程とかぶった」「地元志向が強くなった」「入試制度に目新しさがなくなった」「ブランド力が下がってる」「今は景気が」「あっちには有名教員が」「施設が古くなった」「併願率が」「コロナで相談会ができなかった」「新学科なのに広報にお金をかけなかったから」といろいろ「言い訳」をつけることができます。

でも「学費が安く」「ほとんどオープンキャンパスや相談会、入試広報をやっていない」「学内併願も多様な入試方式もほぼない」「歩留まり率ほぼ100%」「日本全国でのブランド力が高い」な東京藝術大学の美術学部志願者数は、「東京藝大の志願者数」というより
●東京志向がある『素』の美術大学希望者実数
●「どうせ行くなら日本1の大学」というブルーピリオド的意識を持ってる全国の人数
●美術で食っていく覚悟をもつ18歳前後の人数
●それを理解・応援できる親の数(ここ大事)

と考えることができます。
また、東京藝大は定員の変更もあまりなく、学科の分類も「絵画」「彫刻」「デザイン」「工芸」「建築」「先端芸術」「芸術学」と他美大と比較しやすいカテゴリーになっているので、手っ取り早くカテゴリごとの希望者数変化を把握できるデータなんですね。
ちなみにイメージ的にそう見えないだけで、私大以上にいろいろ学内改革をしてる印象を手羽は藝大さんに持っています。(「文科省から言われて」も多々あるでしょうが)

その東京藝術大学の志願者数が10年前から68%に減ってるんです。20年前に比べると37%です。「37%減った」ではなく「37%になった」です。
データを見れば明らかなのに、昔ながらの藝大都市伝説があるんで、いまだに「藝大は4浪5浪が当たり前」「倍率50倍以上」「変態ばかり」と20年前の情報が現状のように語られているんです。
 
「20年前に比べて37%になった(昔ながらの)全体のパイを、20年前から定員を減らしていない(むしろ増えてる)美大でいつまで獲り合いますか?」という明快な話で、ちょうど今頃いろんな私立美大でやってるであろう「他大学と日程がかぶったから志願者が減った→来年は日程を変えよう」みたいな議論が本質ではないことがわかるはずです。
「釣りの日や仕掛けを変えたところで、その川には20年前より4割以下しか魚が残ってないし、さらに減りまっせ。でも釣り人の数は増えてますよ」って話で。

でも藝大信仰があるから、特に先生方にはこれが通じないんですよね・・。
東北芸工大の中山学長が「これまでムサタマを併願校・競合校と設定して入試内容とか検討してたけど、データ見ると全然併願してる人は少なく、圧倒的に地元の一般大学だった。イメージで語ってるだけで完全に戦略を間違ってた」とシンポジウムでおっしゃってたのと似てるかな。


他の国公立芸術大学の状況を見てみましょ。
まずは国公立5芸大の東京藝大以外。

大学WEBでは「5日17日時点」表示のままですが、確定してます。
全体だと104%だけど、総合芸術学科は私大だと定員割れしちゃう数字・・。

京都市芸も金沢美大さんも今の受験生は入学したら在学中にキャンパス移転するから、本当は志願者を大きく増やしたいところだと思います。といっても「それが面倒で減った」という分析もできない微妙な数字・・。

あ、国公立芸術大学は募集定員が私大に比べるとすごく小さいので、1人2人の志願者数変化で増減率が大きく変わってしまうことがよくあります。率の大小より推移を見た方がいいです。

国公立5芸大は入試部署でも調べてると思うので、ここからは手羽が気になってるところを。

筑波さんがすごい減ってるんですよ。入試制度が変わったのかな?ご存知の方教えてください。

旧 首都大学東京です。
微増したように見えますが、去年大きく減ってるので「より戻し」と考えた方がよさそう。

秋田美大さんは減少傾向に入ってるかな。

札幌市立デザイン学部は2021年度から後期日程を廃止したので、データとしては参考にならないかも。

九大さんは学科一括が増えてるんで100%超えてますが、各コースは減少してます。

佐賀大はここらで増やしたいところだったんですが。

長岡造形大は数年前から志願者速報を公開しなくなったけど、どうやら微減のようです。
「コロナの影響で安全志向・地元志向に」という話題をよく見るけど、これらのデータを見る限り、地元志向というほどでもないのかもしれません。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。