【 #美大受験2025 】美大に合格した人の6つの悩みに答えます【現役・学科試験のみ合格でもついていけるか?】

2025年3月5日(水)

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美大受験生へのアドバイスをお答えする恒例の「#美大受験」シリーズ。

#美大受験 では、ムサビまたは関東美大の一般選抜を具体例で使ってますが、基本的にはどの美大受験にも参考になるはずです。
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*間違った情報を書いている可能性もあるので、募集要項等大学公式情報で必ずご確認ください。


タマビムサビの補欠繰上も始まり、いろんな選択を迫られている頃かもしれません。
合格された方の悩みで多いのはこの6つじゃないかな。
1.現役で受かったけど(学科試験のみで合格したけど)、ついていけるか?
2.両方合格したけど、どっちに行こうか?
3.第1志望は不合格、第2志望に合格した場合どうするか?
4.国公立と私立、東京と地方、海外、どこがいいか?
5.人とのコミュニケーションが苦手だけどやっていけるか?
6.入学式は何を着ていけばいいか?

 
それぞれにあくまでも手羽の個人的な考えとして書いていきます。


1.現役で受かったけど(学科試験のみで合格したけど)、ついていけるだろうか?


  • 多摩美術大学

手羽も現役でムサビ彫刻学科に入学しましたが、同級生に2浪・3浪・4浪がゴロゴロいる時代で、現役生は30人中5人ぐらいしかいませんでした。
 
しかも、この記事で書いたように手羽は油絵学科が第1希望だったから彫刻の勉強は全くしてなかったんですよ。ぶっちゃけ入学するまで水粘土で作品を作ったことも触ったこともなく。むしろどっちかといえば立体は興味がないというか苦手な方で、学科の点数と、たまたまその年からスタートしたモデルデッサンで受かったような状態で・・。
なので最初はかなり苦労しました。
でもなんとかやれるもんで、3ヶ月もすれば現役も浪人も関係なくなるし、3年の時には彫刻の面白さがわかり、卒業する頃には菊練りができるようになったし、溶接資格も取りました。
 

・・・というか、そもそも「現役で入ってもやっていけるか?」って悩みは、美大マンガの見すぎですね(笑)
まずはこちらのデータをご覧ください。
タマビ、東京造形大・東北芸工大・ムサビの合格者の現役比率です。

旺文社さんのデータで、現役率を公開してるのがこの4美大ぐらいだった。
あ、大学が出してる数字と少し違うから、あくまでも参考に。
 
合格者データで見ると、タマビは6割弱、ムサビ・東京造形大が7割弱、東北芸工大にいたっては85%が現役生なんです。
なおかつこれは一般選抜のデータであって、推薦入試はほぼ100%現役生だから、全体でみるともっと現役生の割合が高くなるはず。
 
次に東京藝大。
最近は合格者現役率を公開してないので(どこかにあったら教えて)、2022年度データになりますが、

2022年度の東京藝大美術学部の志願者/入学者の卒業年度のデータです。 
よく「東京藝大に合格するには4浪、5浪当たり前」と言われてますが、現役と1浪を足すと実は5割を超えるんです。2浪も入れれば7割超えます。あの東京藝大でも。
もちろん学科で倍率は全然違って油画を目指すとそれなりの覚悟がいるけど、数字上では東京藝大入るのに(東京藝大のブランドを得るのに)「4浪5浪は当たり前」は過去の話なんですね。
こういうデータを見ずにそれが現状のようにいまだに語られているだけ。
 
そして、これは芸術系大学独特の判断基準とも言えますが、採点者は「実技力はまだ低いけど、この人は”何か”持ってる(伸びしろがある)」と高評価にすることがよくあるんです。一般大学の入試では絶対にありえない話(笑)

それがはっきりと書かれてるのが入学試験問題集にある「評価のポイント」です。
ムサビの油絵学科油絵専攻のページを見てみましょ。


 
続いて工芸工業デザイン学科。


後半部分を読むと、両学科とも「手慣れた絵よりも試行錯誤やその人らしさ、自ら思考した形跡がある作品が高評価だった」と書かれてます。
入試である以上基礎実技力点は存在しますが、プラスアルファは「その人の秘めた何か」だったりするわけで。
教員が感じるこの「何か」の違いが各大学・各学科の違いでもあり、「何故実技がめっちゃ上手な浪人生じゃなく、現役のあなたが高評価だったか」を考えてほしいな、と。

 
学科試験のみで合格した人も同様で、本人が実技力が足りないと感じれば頑張るしかないのですが、相談会では「基礎デザイン学科は50年前から学科試験のみ入試をやってます。問題があればとっくにやめてます」と伝えています。
今のデザイナーや作家に求められてる「フラットに物事を考える力」は実は現役生や学科試験で合格された人の方が高いかもしれません。
  
ちなみに最近は総合型や学科試験のみ合格で実技力の不安な方が美術予備校の春期講習などに通うケースもボチボチでてきてます。デッサンで得られる観察力や構図力は無いよりあった方がいいので、どうしても不安な人はそういう手もありますよ。


続くっ!


以上、昨日通信教育課程の卒業制作展を見てきた手羽がお送りいたしました。会場内撮影NGなので写真はないけど。
多くの方が自分で学費を出し、働きながらこのレベルの作品を仕上げてるわけで、ほんと脱帽もの。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。