【 #美大受験2025 】美大実技試験当日でも確実に点数を上げられるたった1つのアドバイス #美大入試

2025年2月3日(月)

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美大受験生へのアドバイスをお答えする恒例の「#美大受験」シリーズ。

#美大受験 では、ムサビまたは関東美大の一般選抜を具体例で使ってますが、基本的にはどの美大受験にも参考になるはずです。
これまでの話はこちらから▼
東京五美大2025入試日程から言えるたった1つのアドバイス
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ムサビ実技試験で絶対に忘れちゃいけないものを1つ断言します
*間違った情報を書いている可能性もあるので、募集要項等大学公式情報で必ずご確認ください。

いよいよ明日からムサビ入試がスタートします。
なので今日は美大入試の最大の特徴である「実技試験」について、前日、いや当日に聞いても点数アップに役立つアドバイスをお送りします。
それはひとつだけ。
 
問題文をちゃんと読もう。

・・え?「それって学科試験のアドバイスじゃないの?!」ですって?
とんでもない。これほど実技試験で超実用的で、即効力があり、簡単に得点を稼げる方法は他にないんですよ。

これには2つの意味があります。

一つ目はそのまま、「『条件』も含めて問題文だからしっかり読んでね」という意味。
例えば例年、タマビのグラフィックデザインやムサビ視覚伝達デザイン学科等の試験問題は「条件」「設定」が多く書かれてます。これをよく読んでないと痛い目を見ることがあるんですよ。
 
去年のムサビ視覚伝達デザイン学科「デザイン」を例にしましょう。

去年の出題は紙粘土が配付され、「他者とあなたとの関係性をモチーフからのイメージを使って色彩構成」「プラス20字以内で、そんな関係性を書いたか説明」でした。
 
ムサビ視デは条件に書いてあるとおり、塗っていない余白は「白色」扱いされますが、タマビグラフィックや工デ「デザイン」は余白を白く塗らないと「未完成」とみなされれます。同じような試験なのに「白」の扱いが違うんですね。「ちゃんと試験問題を読まないとダメ」のいい例
(「去年の入試は」です。今年はどうなるかもちろんわかりません)
 
また、条件の中に「答案用紙は縦横自由」とありますが、映像学科の感覚テストを見ると、

「答案用紙は横長で」と書いてあります。
入試年・受験学科科目によって紙の縦横指定は違うので、「縦長で」と言われてるのに読み飛ばして縦位置で描くと・・というわけ。
 
去年だと、デザイン情報学科「デザイン」もいい例になります。

モチーフがウッドブロックで「実際に叩いて奏でる音の特徴を」とあるから、試験中ポコポコ音がしてたそうです(笑)
面白いのはそこではなく、「出題意図と評価のポイント」を読むと「ウッドブロックは左右で音の高さが異なり、その違いを形や色で捉えたものを高評価にした」とあるんです。
そう、単純に音が出るイメージを描くだけではダメで、左右の音の違い、つまり「音の特徴」を描かなくちゃいけなかったんですね。
これが「問題文をちゃんと読もう」のひとつめの意味です。
 
「条件もよく読もう」と書いてきたけど、建築学科「鉛筆デッサン」なんて、

完全文系な手羽には、何を書いてあるかよくわからない。もう条件2を読んだところで「うがああああ」と叫びたくなる。多分理解するのに1時間ぐらいかかりそうな気がする。
なおかつこの立方体はコンクリート素材をイメージして描かなくちゃいけないのです。
 
でも試験時間3時間以内で、ちゃんとこの問題文を理解し、鉛筆デッサンできた人が建築学科に入ってるってことなんですよね。
すごいよなあ・・・。


「問題文をちゃんと読もう」の意味の2つ目を説明する前に、まず「モチーフ」という言葉を解説します。
 
美術用語としての「モチーフ」は主に2つの意味があります。
1つ目は「絵や彫刻で再現される観察される対象」。多くの方がイメージする「モチーフ」はこれじゃないかしら。これを仮に「モチーフA」とします。
2つ目が「題材や動機」という意味で、違う単語だと「テーマ」「きっかけ」。
あくまでもそこに存在するのは「きっかけ」であり、そこからどう発想を展開させたかの着眼点・発想力などを見るもの。これを仮に「モチーフB」としましょう。
 
で、去年の工芸工業デザイン学科「鉛筆デッサン」をご覧ください。

「目の前にあるものをじっくり観察して、どれくらい質感などを忠実に描けるか」を問うオーソドックスな問題で、多くの方になじみのある、すぐに想像できる美大実技入試らしい「モチーフ」といえます。
つまりこれは「モチーフA」パターン。


次に去年の油絵専攻の油絵試験をご覧ください。

問題文はたった1行「モチーフを自由に描きなさい」

でも、この「自由に」がとってもクセモノで。
目の前に静物が組まれてるから 「見たまま」を描いてしまいそうですが、「自由に」から「目の前のものは『きっかけ』でしかなく、その空間やそこで起きてる現象や印象を自分なりに整理し解釈し発展させ、それを自分なりに再構成して自由に表現しろってことだな」と読み取らないといけないんです。
つまり「モチーフB」パターン。
参考作品を見ればこの意味がわかるはずで、よくもまあ、同じモチーフであれだけのアイデアが思いつくもんです。
 
ちなみにこの試験、「今のムサビ油絵学科らしいなあ」と手羽が感じたことがあって、それは出題者がどういう意図でその出題を出したか解説し総評する「出題意図と評価のポイント」です。

「どのようなモチーフが出てきても描き方が決まっているような作品は消極的に見え、一方、まとまらなくても試行錯誤しながら新しいものを見ようと試みているように見えた作品は評価を集めた」
とあります。
美術予備校で指導された通りに描いた「まとまった」作品より、多少乱雑になっていても新しいものを発見しようとチャレンジした作品の方が教員の評価は高かった、ということなんですね。
必ずしも上手な作品が高得点になるわけじゃない。
というわけで、「問題文をちゃんと読もう」の2つめの意味は「問題文に隠されたヒントを探し、そこから自分なりに発想を広げよう。」。
  
美大の実技入試はこう考えた方がいいです。
「最初の課題」「教員からのメッセージ」
 
実技入試は「この出題をあなたはどう解釈し、表現しますか? → 私たちはそれを理解できる(超える)、それを表現できる人材が欲しいんです → そういう人のためのカリキュラムを用意してます」なメッセージが込められていて、そのまま3つのポリシー(アドミッション・カリキュラム・ディプロマ)になってるんですね。
相談会で「タマグラとムサビ視デの違いは?」とよく聞かれるけど、実は学科の理念の違いが一番手っ取り早くわかるのが、実技試験とその出題意図だったりします。

話をアドバイスに戻して。
 
「問題文をちゃんと読もう」を言い換えると、一つ目は「出題意図から離れないため」であり、二つ目は「どこまで離れられるかを探るため」です。
ちなみに逆にどうにでも取れる問題文はどう解釈してもいいと言われてます。
去年の空間演出デザイン学科「デザイン」の出題はこうだったんですが、

「ユーモラス」をどう解釈するかの説明がないので、自分なりに感じる「ユーモラス」を自由に展開し、むしろ出題者の想定を超える作品を作ってほしい、という意図があるはずだから、そういう時はふりきっておもいっきりやっちゃってください。・・責任は取りませんが(ぼそっ)
 

ちなみに、これまで紹介してきた問題文の「条件」にちょこちょこ「画面の裏面に上を示す矢印を描きなさい」と書いてあるのに気が付きました?

ムサビ実技試験独特の条件で、いわゆる「天地矢印」ってやつです。
これを書き忘れる方がぼちぼちいるんですが、備考ではなく「出題条件」にある以上、矢印を書いてなかったら「課題違反」になる可能性があります。
 
実力で点が低いのはあきらめがつくけど、こんなことで減点されるのってもったいないし、悔しいですよね?
ここからも問題文をちゃんと読む大事さがわかっていただけんじゃないでしょうか。
 

 
文部科学省が「思考力・判断力・表現力の育成が大事だ」と言い出して、いろんな大学でそれらをみるための試験を導入しようとしてますが、美大実技入試は昔から「思考力・判断力・表現力」をみる試験をやってるんです。
すごいでしょ?

ちなみに、ムサビでは学科試験は解答用紙」、実技試験は答案用紙」と言葉を使い分けています。
ここからも美大入試のポイントがわかって、面白くなるでしょ?
 
 
以上、昨日は誕生日だった手羽がお送りいたしました。
普段は奥さんから「唐揚げは4個まで」と言われてるんだけど、誕生日は年に1度無制限で食べていい日でして、昨日はおなかいっぱいに唐揚げを食べました。ま、年のせいか薬のせいかわからないけど、前ほど食べられなくなってるのが悲しいけども。

ところで2月2日に積雪予報が出てるのを見て、もう30年ぐらい忘れてたことを突然思い出しまして。
自分が生まれた日は朝から雪が降ってて、それから毎年2月2日は雪が降ってたから(真実はわかりません)、実家に住んでる頃、親からずっと「イチロウの誕生日には毎年雪が降る」と言われてたんです。
「あ。これが雨男の原因なんだな」と。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。