【ビダモン】美大入試当日に関する10のアドバイス

仕事も完全に入試モードに入った手羽です。

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美大受験アドバイスシリーズをやっております。
【ビダモン】東京五美大一般入試スケジュールと受験生にアドバイス
【ビダモン】試験日の交通に関する7つのアドバイス


いよいよ明日からムサビ入試が始まるのでムサビ中心にアドバイスを書いてますが、他美大入試でも参考になるはずです。
今日は「家を出る前から会場に着く」までの話を。


(1)もう一度募集要項を確認しよう
家を出る前に(できれば前日に)、最低3箇所確認をしてほしい部分があって。
それは、「場所(会場)」と「試験日時」と「持ち物リスト(携行道具)」です。
極端な話、会場と日時と持ち物さえ間違ってなければ、あとはその場に自分さえいればどうにでもなります。「教室は暖かいからどうの」とか「空気が乾燥してるからどうの」とか「待ち時間がどうの」とか「鉛筆は」とか「絵の具は作ってもってけ」とかは、あくまでもオプション情報にすぎず、まずは「場所」「時間」「もの」、そして「自分」が正しい状態か確認を。

まずは試験日時
毎年1人ぐらいは日程を間違えてきちゃう受験生がいます。「誰かがそう言ってた」とか思い込み要素が大きいです。ちなみにうちの奥さんは日時間違えのスペシャリストで、これまでお葬式・友達の披露宴・保護者会の日を間違って行ったことがあります・・・。「知らない人のお葬式に参列しようとした」と書くと嘘くさいけど、これが実話だから困る。

次に試験会場
これも、「武蔵野美術大学」だから武蔵野市吉祥寺が試験会場だと思って吉祥寺校へ行っちゃう人が時々いて。また、タマビの統合デザインや演劇は普段の授業は上野毛キャンパスだけど、試験は八王子キャンパスなので気を付けないといけません。
女子美はコース・試験によって相模原キャンパスと杉並キャンパスに分かれますよ。

最後に携行用具(持ちもの)
これは後述します。

「調べるまでもない」かもしれないけど、もう一度最後に募集要項の確認ね。


(2)受験票があるか、もう一度確認しよう
受験票は大事なものなので、カバンにちゃんと入れたか、どこに入れたか最終確認を。ペラペラな紙切れだからあわてると鞄から探せず、試験が終わった後に「あ。募集要項の間に入ってた」「ジャンバーのポケットに入ってた・・なんでこんなところに・・・あの時は探しても見つからなかったのに・・・」と気が付くケースもよくあるんで、「どこに入れたか」が大事だったりするんです。
そして受験が終わっても、合格発表・成績開示などで必要なものだから、大事に保管しときましょ。

あ、そうだ。
今年からムサビはWEB出願になった関係で、受験票は郵送されず、自分でPDFをプリントアウトして会場へ持っていくことになりました(募集要項7ページ参照)。
3つポイントがあって、
●白い紙にプリントしよう。
●切り取り線で必ず切って持ってきてね(折るだけじゃダメ)
●プリントアウトせずにスマホで見せる・・・ってのもエコでスマートではあるけどそれはNGなので、必ず印刷したものを持ってきてね。

です。どうぞよろしくお願いいたします。
受験票のことは改めて後日書きます。


(3) 時計は必要!
普段はスマホで時間確認してるかもしれません。でも、試験時は携帯含め電子機器は電源切ってかばんの中に入れるよう指示があります。 どの大学もそうです。会場には時計がないこともあるんで、持ってなかったらコンビニとか100円ショップでいいから安い腕時計を購入しときましょ。学内でも売ってるけど、在庫切れになる可能性もあるんで。
家で使ってる目覚まし時計でもいいっちゃいいんだけど、音が響いちゃって、(場合によっては注意されるかも。


(4)「早めすぎる行動」もつらい
「受験なんだから早め早めの行動を」と言われるだろうし、私もそう思います。
ただ、ムサビ正門が開くのがだいたい8時半頃なので、それ以前だと寒い中外で待つことになります。早く構内に入れてあげたいんだけど、モチーフの最終確認が終わるまでは誰も入れられないんですよ。7時ぐらいからポツンと正門前で待ってる方がいるんですが、さすがにこれは早すぎでして。あの時間だと、ムサビの周り(鷹の台駅周辺も)はお茶を飲むところも何もないし、暖を取れるところもなく。
なので、「8時半ごろにムサビに着く」「8時には国分寺駅をクリアしてる」ぐらいの目標がちょうどいいかもしれません。


(5)ムサビ実技はカルトン(パネル)が必要
ムサビ入試の携行用具では、これだけわかってもらえてればいいくらい。
「受験生は何を一番忘れてくるか?」の質問には即答できます。それはカルトンまたはパネルです。

カルトンとは「デッサン用の画板兼紙ばさみ」のことです。 詳細は造形ファイルで説明されてるのでそちらをご覧ください。
カルトン | 武蔵野美術大学 造形ファイル
ちなみに一般的にはカルトンとは「レジの小銭置き」を表します。ちなみにちなみにカルトンはフランス語が由来なんですがcartonは英語読みでカートン。 「タバコの1カートン」のカートンです。

数的には受験票・時計を忘れてくる人が多いけど、最悪それらはなくてもなんとかなるもの。 でもカルトンやパネルを忘れちゃ試験で絵が描けない。

というのも、「家に忘れちゃった」ではなく「大学で配られる」「貸してくれる」という思い込みで忘れてきちゃうのよね。 多くはタマビ入試や他大学試験とゴッチャになってるケース。
カルトンやパネルを用意してくれる大学、イラストボードまたは水張りされたパネルを回答用紙とする大学がありますが、ムサビ実技入試で配られる回答用紙はすべて「紙」です。 木炭用紙だったりケント紙だったり。

ムサビ募集要項P27「携行用具」をご覧ください。

ことごとく「パネルまたはカルトン[51㎝×66㎝以上]、画鋲またはクリップ」と書かれてますよね。
そういうことです。

忘れた場合、ムサビはカルトンやパネルの貸し出しを一切行っていないので、世界堂さんに買いに行ってもらうことになります。 「基本的には貸してない」ではなく、「貸し出していません」の手羽ブログでは珍しい超断定形です。過去も貸し出したことは一度もありません。
毎年、試験開始直後、「あれ。パネル貸してくれないの?」とその段階で気が付き、世界堂へパネルを買いに走っていく受験生が後を絶たなくて・・。

1回の試験のためにパネルを購入するのって、ちょっともったいなくない?
カルトンを忘れると、お金的にも時間的にも精神的にも非常にロスになるので気をつけてね。 予備校講師やお母さんや友達の
「きっと忘れたら貸してくれるだろう」
「昔は貸してたと思う」
「去年誰かが貸してくれたって言ってた」
「確か水張りされてるんじゃない?」
「国分寺から無料シャトルバスが出てるはず」
な不確かな情報に惑わされないでね。

はい・・・手羽はムサビ入試の時、実家からカルトンを持ってくるのを忘れた人間です(涙)
前日、(当時)立川の世界堂で購入しました・・。


(6)ムサビ4号館下パン屋は営業してません
ムサビにはおいしいおいしいパン屋「EMU」があるんだけど、入試時は営業してません。
え?パン屋が営業してるかどうかがそんなに大事かって?
終日試験の受験生はお弁当を持ってくるよう募集要項に書いてあるので(学食もやってます)、普段の入試日ではそんなに大事ではありません。でも、デッサン試験日ではすごく意味があって。

木炭デッサンでは食パンをケシゴムとして使用するんです。食パンの白い部分をちぎって、こねて、ネリケシのようにして使うの。この文明の進化した現代、「この後スタッフがおいしくいただきました」と必ずテロップで出ちゃう時代でも普通にパンを画材として使ってます。 他に代用品がないので。
おっと、やっぱり造形ファイルで細かく説明してくれてますので参考に。
木炭画用消し具(食パン・布) | 武蔵野美術大学 造形ファイル
造形ファイル、便利だなあ。こんな素晴らしいものを大学で作ってるってすごいなあ(宣伝)。

ムサビ入試の時、世界堂の前に「食パンあります」と張り紙が出るんですが、一緒に歩いてた職員が
「バターも塗ってなくて焼かれてない食パンじゃ誰も買わないでしょうに。だからムサビって不親切なんだよ。受験生のためならアンパンとか焼きそばパンを用意してあげりゃいいのに」
と文句を言ってたことがありました(実話)

いやいや、受験生のために食パンなの。アンパンじゃ全く意味がないの。ていうか世界堂で売ってる段階で画材だと気が付いてほしいのだけど。
せっかく学内にパン屋さんがあるのにデッサン日に営業してないのは、 例えるなら学内に生協があるのに鉛筆と消しゴムを置いてないようなもので、美大として恥ずかしいなあ、、と思ったりもするんだけど、試験教室の真下なので営業してません。ごめんなさい。
ま、 エミュウのパンをネリケシに使うなんて豪華すぎる気もするけどね(笑)
パンは駅前のコンビニとかで事前に購入しときましょ。


(7)学校に着いたらヘッドフォンを外そう。
電車遅延などで試験時間繰り下げが決まったら、誘導係や構内放送で時間変更されたことを頻繁にくどいほぞアナウンスするんだけど、聞いてない受験生がいるんですよ。 「あれだけアナウンスして聞いてないって、どういうことだ?!」と思うんだけど、それはヘッドフォンをしてるから。
大事な情報が流れてるかもしれないから、とりあえず大学に着いたらヘッドフォンを外すか、ボリュームを下げようね。


(8) 教室に着いたら、まずは受験番号の確認を!
ムサビは試験が始まる前に試験監督が「この教室は受験番号●番から●番までの教室です。ご確認ください」と伝えるようマニュアル化されています。でも、それでも気が付かない受験生がいまして・・。
試験が始まってから受験票のチェックを試験監督が一人ひとりしていくんですが、ガンガン描いてる時に、試験監督から「・・・あなた、ここじゃないよ(汗)」と言われ、あわてて教室を移動するケースが年に数件あります。この場合、移動して一から書き直しなんですよ。もちろん時間の配慮はありません。

必ず教室についたら入口表示でまず確認。
室内に入ったら室内黒板にその教室の該当番号が書かれてあるので、そこでも確認。
そして試験監督が入ってきたところでもう一度確認。
試験が始まってからもう一回確認・・・ぐらいのことはしてもいいと思います。
「え。そんなの当たり前でしょ・・」と思うかもしれないけど、意外と緊張しててできないもんなんです。


(9)試験が終わるまで学校から出れません

油絵学科や視デ等の終日試験パターン、午前学科・午後実技パターン、(午前デ情・午後基礎デ試験等の)併願パターン、これら全て試験が終わるまで学外に出ることができません。

つまり、1日学内で試験を受ける時は、昼食は学内で取るしかないので、一応学食も営業してるけど、できるだけお弁当を持ってきてくださいな。

ちなみにムサビの近くにはコンビニがないので、鷹の台駅前で購入した方がいいです。


でも、いろいろ言ってきたけど、一番いいたいのはこれです。
(10)振り向くな。前に進め
電車やバス、タクシーの中に荷物を全部忘れてきてしまう受験生も毎年何人かいます。
「大学につくまで気を抜いちゃダメでしょ!」と指摘するのは簡単なんだけど忘れてしまったものは仕方ない。

「受験票なくすなよ」「カルトン忘れるなよ」「時計は買えよ」「風邪引くなよ」「歯磨けよ」とカトちゃん的に書いてきましたが(受験生は知らない世代か・・)、もっと究極な話、「試験はその場に自分がいることが一番大事」なんです。
道具を忘れてもお金があればなんとかならないことはないし、受験票は会場で再発行できるし、最悪鉛筆1本と消しゴム、または絵具3色と筆があれば絵は描けます。「安全に気を付けながら時間までに会場へ着く」。それさえクリアできれば「後はどうにかなる」と割り切る気持ちも、ある段階では重要だったりするわけで。



明日は実技試験編をお送りします。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。