【 #美大受験 2021】補欠は例年何番まで繰り上がるのか?(タマビの過去3年繰上数を調べてみた)

2021年3月4日(木)

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ムサビとタマビの補欠繰り上げが始まったので、今日は補欠繰上げについて書きましょ。

合格や不合格よりも情報を欲しいのに、情報がほとんどないのが補欠なんですよね。
例えばムサビが公式に出してる補欠に関係する情報だと、
2021年度学生募集要項 P19「補欠・繰り上げ合格」
2021年度 一般選抜 補欠繰上状況一覧
■3月4日(木)以降の繰上について
・3月4日(木)以降、欠員が生じ次第、随時繰り上げを行います。
・対象者へ個別に連絡が取れるまでお電話致します。webページへの受験番号の掲示などはありません。電話の不通を理由に繰上合格が次点の方へ移ることはありませんが、極力本学からの連絡に応答いただきますよう、ご協力をお願いします。
・期間は3月末日までを予定しておりますが、変更する可能性もあります。全学科において繰上を終了した場合は、速やかにこのサイトにてその旨をお伝えします。
・繰上状況は年度ごとに異なるため、過去の繰上数は公開しておりません。お問い合わせにもお答え致しかねますので、予めご了承ください。


大事なことが書かれてはいるけど、ちょっと「知りたいのはそこじゃない」感がしません?(笑)

恐らく誰もが思うこと、欲してる情報は、「例年何番まで繰り上がるのか?」でしょう。
でも先に結論を書くと、「全くわかりません」なんです。
あ、ムサビ公式と同じこと言っちゃった。
でも別に隠してるわけじゃなく、「補欠繰り上げの仕組み」を知れば例年の数字が全く参考にならない情報だとわかってもらえるはずなので、そのあたりを丁寧に書いてみます。


以前書いた通り、合格したけど抜けていく人を見込んで合格発表の合格者数は定員よりも多めに出します。年によって人気度だったり併願率が違うので、どれくらい多めに合格者を発表するかは当然学科によって違うし、年によっても変わるもの。
「去年はいっぱい繰り上がったと思ったら今年は数番で止まった」の理由は、もちろん「人気度が変わったから」もありますが、「今年は去年より合格者をたくさん出したから補欠が繰り上がらない」可能性が高いんです。

「大学入試は何年もやり方や日程を変えない」イメージを持ってる方が意外と多いんだけど、それはセンター試験(共通テスト)とかそういうもので、私立大学は過去データを分析し、毎年のように日程の組み合わせ・募集定員・方式・やり方・合格発表数をいじっているんです。

ムサビ一般方式の過去4年の合格発表者数一覧を作ってみました。

わざわざ表にする人がいないからわからないだけで、年によってこれくらい合格発表数は変わってるんです。
合格発表数が毎年違うんだから、繰上げ数も毎年変わる。かなり簡単な仕組みです。

「昨年はどれくらい繰り上がったのか?」
「例年どれくらい繰り上がるものなのか?」

という問い合わせが毎年たくさんあるし、ネットでもだいたいはその話題だし、手羽も補欠経験者なので聞きたい気持ちも痛いほどわかるけど、昨年の状況がまったくあてにならない、そもそも「例年」というものが存在しないのが合格発表であり、その典型例が補欠繰上げ数なんですね。

 
それを証明できるのが、タマビの過去3年の補欠繰上げ数一覧です。

親切なタマビさんはムサビと違って過去3年分の補欠繰上数を公開しています。
ほら、年によって全然違うでしょ?
補欠者が欲しい情報は確実にこれなはず・・だけど、この数字を見たところで読み取れるものが残念ながら全くないんです・・。

状況が毎年全く違うし、毎年適正になるよう修正されてるのが合格発表数だから、「えーと、過去3年の繰上げ数はこうだから平均が●ってことか」「去年はああだったのに●●学科が全然繰り上がらない!」と考えたところで全く意味がなく。
唯一「ほら、年によって全然違うでしょ」がわかるだけかな?
 

 
例えば、
●同じ学科を一般方式と共通テスト方式の両方受験してる人がどれくらいいるか?(方式併用)
●工デと空デ両方合格した人がどれくらいいて、どちらを選択するのか?(学内併願)
●ムサビ基礎デとタマビ統合デザイン両方合格した人はどちらに行くのか?(他大学併願)

な傾向が年によって微妙に異なります。
また、「タマグラが第1志望だけど補欠10番で回ってこない、第2志望のムサビ視デは合格」という人がいた場合、ムサビに学費を払い込んだ3月下旬にタマグラ補欠繰り上げが回ってきた場合どうするか。入学金も払ってアパートも決めたから断るか、全部捨ててタマグラに行くか・・これは人ぞれぞれ。
相談する相手やその時々によっても変わるはずで、いろいろな事情や経済状況、心情、タイミングの連鎖が関係するのが補欠繰上げ。今年はコロナも直接・間接的に関係するはず。
なので、どれくらい合格者を出して、補欠を発表するかはかなり難しく、ある意味大学と受験生との「かけひき」と言えます。


最後にもうひとつ、今度は2020年度タマビ一般方式の募集人員・合格者数・入学者数を見てみましょう。

面白いことに気が付きません?
募集定員より入学者数が少ない学科がいくつかあるんです。

昔だと入試がシンプルだったのでこの表だけ見たら「定員割れしちゃってんじゃん。タマビも落ちたな(笑)」と思うはず。
でも今はいろんな入試方式があるんで、「計画的に一般方式の入学者数を減らして、他方式や他選抜から取ってるんだろうなあ」てなことが読み取れます。
ここからも年によって合格者数・補欠繰上数の傾向が全然変わることがわかってもらえるんじゃないでしょうか。
 

この「いろんな入試方式が増えた」がほんとクセモノで、昔より大学側も読みが難しくなりました。
「思ってたより辞退が出ちゃった」も困るんだけど、「想定してたよりも辞退者が少なかった」場合も定員厳格化があるので困ったことになるんですわな。最近このケースをよく聞くようになりました。
併願率500%の近畿大学さんとかどうやってるのか、派手な広報戦略よりもそっちを聞きたい。。


まとめます。

例えるなら、去年の繰り上がり数を調べるってのは「今日の天気を知りたいから、去年の同じ日の天気予報を見る」ようなもの。でも、天気だと「10月10日は天気の特異日」があるように「統計的に過去10年で見ると・・」と言えなくもない。
「トレンドが関係してて、年々ベストになるよう人の手によって調整されてるもの」という意味では天気より過去のデータが当てになりません。どちらかというと「今日のテレビが何をやってるか知りたいから、去年の同じ日のテレビ欄を見る」が近いかな。
「去年の補欠繰り上げ数」はそれくらいのレベルの数字だと理解していただければ。
 

例年といえば、情報が少ないせいもあり、補欠は出所がはっきしない不確かな情報が毎年SNSで出回りやすいです。くどいですが、公式情報以外は信じない方がいいっす。
あ、SNSといえば、この美大受験シリーズは毎年アクセスが多いし、年々美大生から「受験時代は手羽さんの記事が参考になりました」と言ってくれる機会が増えてるんだけど、なぜか他の記事よりもSNSであまり拡散されないんです。
手羽はこれを「受験生の闇」と呼んでます(笑)


以上、人間ってそういうもん、の手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。