手羽、デザイン・ラウンジをおおいに語る

2020年9月2日(水)

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2020年12月に武蔵野美術大学デザイン・ラウンジを閉所して市ヶ谷キャンパスへ機能移行するのを機に、「これまでの研究・活動を振り返って検証を行おう!」ということで、デザイン・ラウンジに関係していただいた方々へのインタビューシリーズが行われています。
スペシャルインタビュー2020 第一回「デザイン・ラウンジと津村耕佑」
スペシャルインタビュー2020 第二回「デザイン・ラウンジと美術大学の社会連携」
スペシャルインタビュー2020 第三回「デザイン・ラウンジと学生ワークショップ」


  • デザイン・ラウンジの空間デザインを担当頂いた空デの津村先生


  • 公開講座「トップデザインセミナー」シリーズを企画してもらっていた基礎デの宮島先生


  • 最初の子ども向けワークショップを企画してくれた視デ卒の一森さん

はい。デザイン・ラウンジの初代アシスタントディレクター山下くんと手羽です。
インタビュー中の様子はこちらをご覧ください。
デザイン・ラウンジの歴史と活動を振り返ってきた

8月は「オーキャンナビ」(公開終了)と「きはらラジオ」、そしてこのインタビューと手羽がちょこちょこ登場する機会があったけど、全部たまたまで。ない時は全然ないのに、重なる時は重なるのはなんででしょうね。


立ち上げ経緯とこれまでの活動を説明するのがこのシリーズでの私たちの役割なので、できるだけ全体を網羅的にしゃべりました。このために過去の資料とメールを全部あたったので大学史史料室で使えたら使ってください(笑)

以下、公開されたインタビュー記事を引用しながら補足していきます。

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―――2012年4月のデザイン・ラウンジ開室までの準備は、どのように進んでいったのでしょうか?

手羽:デザイン・ラウンジをどのような場所にするか検討・決定する「デザイン・ラウンジ運営推進検討委員会」の発足が2011年12月7日で、開室目標日が翌2012年4月1日とかなりタイトなスケジュールでした。名称や空間デザイン、サインやロゴマークのデザイン、スタッフの人選や什器の発注等、開室までに必要なことを実質3ヶ月程度で全て用意したんです。

開室ギリギリの頃まで机や椅子などが揃っていなかったので、家具が到着するまではキャンプ用の椅子で仕事したりしましたね。ネットワーク業者さんは、設定作業を床にPCを置いてやっていたくらいです・・。
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2010年9月10日に(当時)デ情の長澤先生から「デザインハブへの入居打診があった」とメールで連絡あって、その夜に長澤先生の個人研で井口先生と3人で秘密会議をやったのが始まり。で10月15日に井口先生と二人でミッドタウンとデザインハブへ初視察。手羽にとって「初六本木」でもありました。
つまりラウンジ・プロジェクトはちょうど今年で10年ってことなんです!

急いで学内向けの資料を作って、2011年1月理事会で入居承認をもらい、4月に教授会で報告して、可能性を検討する第1回の検討委員会が開催されたのが2011年5月18日。
「この方向ならいけるだろ」と答申を出し、名称や室内空間等具体的な中身検討や実際に運営していく運営推進委員会の第1回が開かれたのが2011年12月7日。
開所は2012年4月1日と決まってたから、実質3ヶ月ぐらいで計画と発注・納品を全部やったことになります。今考えるとすごいペース。よくやったよなあ・・。

これは壁を工事してる時の写真。
ミッドタウンは大きな工事は夜間しかできないので、この頃は昼間仕事して、家に帰って仮眠して、深夜12時ぐらいに六本木へ行く、ってのを何度かやりました。
家具類は開所式ギリギリ、もしくは4月以降納品だったから、


  • 1か月ぐらいキャンピングセットで仕事したり、業者さんには床で設定作業をしてもらったのもいい思い出


  • 開所前にやった六本木アートナイト2012の時ももちろん机も椅子もなく、みんな床に座って(笑)

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手羽:名称については、色々な候補が出たんですよ。私は、六本木の「6」と、6つの活動趣旨を有する意味をかけて「ムサビ シックス」という案を出しました。没になりましたが・・。
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では、手羽が作った当時の企画書をお見せしましょ。初公開!

ムサビシックス!
GINZA SIXとか全然知らない頃にひらめいたから、先見の明がありますな。
・・・河野くんとか木反橋くんあたりから「今と全然発想が変わらないじゃないですか」と言われそう・・・。
名前が「デザイン・ラウンジ」に決まって、ほんと良かったと思ってます・・。

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手羽:企業や自治体、個人から、色々な持ち込み企画の相談がありました。デザイン・ラウンジのような場所があると、やっぱり学外との繋がりが広がっていくんだなあと実感しました。初期の頃で言えば、ムサビ建築学科の卒業生から相談のあった、太刀川英輔氏による「デザインの文法―ひらめきを生み出す思考」や、多摩美術大学の卒業生による勉強会「折詰め会」などの企画実施が代表的です。
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ブログもそうだけど、まさしく「発信するから情報が集まる」で、ラウンジという場所を作ることで卒業生やタマビOG、企業さんから持ち込み企画がいくつもありました。
初年度から毎月やってるタマビOG主催の「折り詰め会」は

ラウンジが閉室する時にはちょうど100回にいってるはず。表彰状もの。

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手羽:デザイン・ラウンジのディレクター井口博美教授(当時)は、「ここでは社会と大学のつながりを第一に、ムサビだとかムサビでないとかにはこだわらず、実験的な場にしたい。」と言っていたんですが、まさにこれらの企画がそうでした。開室して間もない頃に、こういった持ち込み企画の相談があったのはありがたかったです。
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折り詰め会もそうだけど、「ムサビとかどうでもよく、むしろいろんなところと協働して『これからのデザイン』をどんどん発信していこう」というのがラウンジの主コンセプトにありました。

その証拠に、デザイン・ラウンジ初回の企画は2012年4月18日に開催された「PROVOKE デザイン・インフォマティックス・フォーラム 」で、ラウンジとして一番最初の記念すべきゲストは

(当時)タマビの情報デザイン学科の須永剛司先生ですからね(笑)
せっかくの大学としての晴れ舞台だから、普通ならムサビ関係者とゲスト著名人でやりそうなものだけど、あえてタマビの先生をお呼びしたことに、「ムサビとかタマビとか抜きにデザインのことをちゃんと発信していかないとやばいよね」というラウンジの趣旨がこめられ、それを一貫して通してきたことがわかってもらえるはずです。
ぜひ次入居される団体さんにもこういう感じの企画を立ててもらえれば、と願っております。

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手羽:東京ミッドタウン・デザインハブの皆さんからの評価が高かったのは、「ラーニング・アーキテクチャー2015|建築、学びの冒険─大学の建築設計課題の動向展」でしょうか。この展示では、ムサビの建築学科が中心となって、様々な大学での建築の課題を紹介しましたが、東京ミッドタウン・デザインハブで2018年から開催している、様々なデザイン系課題を紹介する展示「ゼミ展」の着想になったと聞いています。
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展示自体は正直地味な展覧会でしたが、デザインハブ関係者から「ムサビさんにこういうことやってほしかったんです」と言われたのが、通称「建築展」の「ラーニング・アーキテクチャ」展でした。

このフォーマットがベースとなって行われるようになったのが「ゼミ展」で、今年度もまもなく開催されます。
東京ミッドタウン・デザインハブ第87回企画展「ゼミ展2020 見のがし卒展」

●会 期:2020年9月8日 (火) -9月27日 (日) 11:00-19:00 *月曜休館/各期の最終日は17:00まで
●会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
●主催・企画・運営:東京ミッドタウン・デザインハブ(構成機関/公益財団法人日本デザイン振興会、公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会、武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ)
●参加校と開催日程
●第1期:9月8日(火) – 9月13日(日)
・多摩美術大学 生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻及び大学院美術研究科デザイン専攻テキスタイルデザイン領域
・武蔵野美術大学 造形学部 基礎デザイン学科
●第2期:9月15日(火) – 9月20日(日)
・九州大学 芸術工学部 未来構想デザインコース
・東京造形大学 インダストリアルデザイン専攻領域
●第3期:9月22日(火) – 9月27日(日)
・東京大学 工学部 社会基盤学科 交通・都市・国土学研究室
・東北大学 都市・建築デザイン学講座/都市・建築計画学講座

大学によって会期が違うのでご注意ください。

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手羽:ある日、「旅ムサ」の企画ってグッドデザインだなとひらめいて、課内打ち合わせで「グッドデザイン賞に挑戦してみない?」と告白したのが始まりです。「旅ムサ」のどこがデザインなのか?いうのは、東京ミッドタウン・デザインハブでの活動や、デザイン・ラウンジでの実験的なデザインの取り組みを見てきたおかげであり、デザイン・ラウンジをやっていなければ、エントリーの発想は生まれてなかったと思います。
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布団の中で「あれ。旅ムサってグッドデザインなんじゃね?」とひらめいて、翌日スタッフに「グッドデザインに申請してみない?」と相談したんです。
それまで旅ムサはファインアートの切り口で良さを説明してきたけど、「デザインの切り口の方が良さや意義を説明しやすい」という発想は、デザイン・ラウンジの活動をやってなかったら絶対にひらめかなかった。

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手羽:初年度に、デザイン振興会の方から「単にムサビの学生さんの作品を展示するだけではダメですよ」とアドバイスを頂いたことがありました。言われたときはドキッとしましたが、新しいデザイン領域の紹介や、デザインの歴史を検証するなど、東京ミッドタウン・デザインハブの「デザインの情報発信をする場」という場所性を改めて認識させられた出来事です。そして、六本木という場所に見合った展示のクオリティも担保しなければ・・と覚悟しました。
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すんごくその時の状況も覚えてて、「コンテンツがなけりゃ、学生さんの作品をちょちょーと置いてお茶を濁すか」ぐらいに少し考てたフシがあり、しょっぱなに「そういうことはまさかムサビさんはやりませんよね?」とビシっと言われたんです(笑)
なので、コンテンツのクオリティについてはかなり注意しつつ、といっても実験的な要素もいれていきました。

自分の中で思い出深いコンテンツは、アートナイトの


  • とりじんと

山田太郎プロジェクト
特に山田太郎プロジェクトは「六本木アートナイト」のコンテンツとしてビシッとはまった感触もありました。

これもブログと同じだと思っていて、「場」を作ることは比較的ハードルは低いのだけど、それを継続させる、「コンテンツを常に考える・発生させる」のがやはり大変。ネタ集めに卒展や芸祭を見るようになり(実際とりじんと山田太郎も芸祭と卒展で見つけた)、広報の頃でもそんなことはしてなかった(笑)

さらに思い出深いものだと、真っ先に思い浮かぶのは

この「あいさつランデブー」かなあ。
全然違うコンテンツ用にミッドタウンさんに学生さん達がプレゼンをやって、その時は没になったんだけど、ミッドタウンさんから「今度の秋にあのグループにパフォーマンスやってもらいませんか?どうも印象深くて」と言われて実現した例。


展覧会系だと、個人的には
【ソーシャルデザイン宣言】企(たくらみ)展オープニングレセプションに行ってきた

(当時)グリーンズ河野さんの協力のおかげで「ラウンジ企画でこういう展覧会をやりたい」ができた「タクラミ展」です。

ラウンジコンテンツではないところでは、

デザインハブでフットサル大会をやったのもいい思い出ですね。勢いでラウンジのユニフォームも作ったし。


あ、ラウンジといえば、
フェルトシールをはって親子バッグをつくろう!

9月5日にzoomを使った造形ワークショップがあります。
キットを事前に郵送するから今日ぐらいがギリギリ締め切りかな?
実質、このワークショップがラウンジの最後の造形ワークショップになるんじゃないかしら。


んで最後。

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手羽:新しいデザインへの熱量とムサビへの愛情がある井口先生と山下くんが最初に関わってくれたのがすごく大きいと感じていて、市ヶ谷キャンパスも愛情と熱量のある人がどうやって絡んでいくか、そして愛情と熱量のある人が生まれていくかがカギになると思ってます。特にこのコロナ禍では、「デザイン」や「場」の考え方も変化しないといけない状況にあり、それに対応できるのが「熱量と愛情のある人」じゃないかと。
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偉そうに語ってるから原稿では削ろうか迷ったんだけど、あの場でパっと出てきた言葉なので「多分正直な気持ちなんだろう」と残すことにしました。組織といえどもやっぱり最後は『人の気持ち』だよなあ、と。
少し補足すると、市ヶ谷キャンパスには熱量も愛情もたっぷりな方がそろってるのでそれ自体は全然心配してないんですが、その周辺の人がそれを理解し、熱量と愛情をもって育てることができるか、がポイントだと思っています。

ラウンジがそれなりの成果を残せたのも、井口先生と

この二人のアシスタントディレクターの熱量と愛情のおかげなので。(これが言いたかった)


以上、

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―――手羽さんのご家族には、デザイン・ラウンジの子供向けワークショップにたくさん参加して頂きました。毎年夏に、成長したお子さんに会えて楽しかったです。

手羽:家族で作った作品は、全て自宅のトイレに飾ってあります。
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これを読んだ人から「どんだけ広いトイレなんだ」と言われたけど、まさかトイレに

ワークショップで作ったこの作品も置いてるとは、とても言えない手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹と西原理恵子とみうらじゅんと羽海野チカと銀魂と合体ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し日夜奮闘中