憧れのジブリの世界が現実に!? ジブリ好きなら一度訪れたい南米の森

世界には、日本ではまだあまり知られていない、人のつくった美しいものが溢れています。地球の裏側チリに住んで、あちこちに足を伸ばすと、いろんな感動に出合います。今回は、チリ人もみんなが唸るジブリの世界かのような、チリ人の愛する避暑地の森Huilo Huilo(ウィロウィロ)を紹介します。

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どうだ!ファンタジー溢れるチリの森・ウィロウィロ!
ナショナルジオグラフィックのお墨付きスポットでもあります。


ひさしぶりに記事を投稿します、今回もまた旅行の記事です。
タイトル見てクリックしたということは、みなさん「ジブリ」好きですね???

実は私は、ジブリ好きかというと、そうでもない‥‥んです‥‥(!)が、空港から3時間のドライブを経て、この建物が目に入った時に、心の底から「え、ジブリが現実に!」と目を輝かせたのは事実です。『ハウルの動く城』のようであり、『天空の城ラピュタ』のラピュタにも見えてくる‥‥、何となくかもしれませんが、いずれにしても夢の詰まった建物に思えませんか?


  • 森の中にいくつもある、不思議なカタチの建物。

建築のみならず、ナショナルジオグラフィックが毎年開催しているアワード「WORLD LEGACY AWARD」の自然保全部門で、2015年の今年も1位に輝いたスポットチリ南部の森、Huilo Huilo。かつて、林業でその森の生態系が壊されそうになった時期もありましたが、観光事業によって自然保全が守られた土地なのです。Huilo Huiloが良い事例となり、率先してパタゴニア地域の環境保全を唱えるお祭りなども開いています。
http://www.nationalgeographic.com/worldlegacyawards/winners.html



夢の世界は、地球の裏側に。

というわけで、この森は、チリ・アンデス山脈のパタゴニア地域の熱帯雨林に位置します。といっても、地球の反対側のことなので、「パタゴニア地域」と聞いても、アウトドアファッションブランドのパタゴニア社しか思い浮かばないという方がほとんどだと思うので、自作の地図で紹介します。

ご覧の通り、南米の西側に位置するチリ。首都サンチャゴまでは、アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリアなどで乗り継ぎをし、約27時間ほど。さらにそこから、南に飛行機で1時間、テムコ空港に降り立ちます。(もちろん間には乗り継ぎの時間も加わります‥‥気が遠くなりますね)テムコ空港から車で約3時間、最後の1時間は舗装されていない道をガタガタと進んだ山奥に、その森Huilo Huiloはあります。(ただ、ここ1年以内についに舗装されると現地の方はおっしゃっていました!)日本を起点に考えれば、そこはまさに地球の果てです。



Huilo Huiloがジブリっぽい理由は、1に建築、2に動物。

森のなかにあるということもあり、Huilo Huiloは夏も比較的涼しく、首都サンチャゴからも避暑地として多くの人が訪れます。もともと、わたしがこの地を訪れたのも、チリ人が声を合わせてオススメすることがきっかけでした。


  • ドーム型の建物の中は、こんな螺旋になっている!


  • ランプや階段、装飾などすべてが木の手作り品。

私の個人的な感想ですが、Huilo Huiloがジブリのフィクションの世界のように感じられる理由のひとつは、建築です。観光地としてはさほど広いエリアではありませんが、この森のなかに、木製でアットホーム、かつ物語の世界のような建物がいくつか並んでいます。いずれも、林業が産業だったHuilo Huiloの材木で作られています。ホテルに一歩踏み込むと、すべて木でつくられた暖かいぬくもり。レストランの料理は、地元で採れるイノシシやシカの料理が並びます。


  • たくさんいると聞いていたのに、会うのに30分かかったイノシシ。


  • お散歩をしていたら、向こうからやってきたのは、牛。

そう、Huilo Huiloのもう一つの目玉は動物たち。野生のシカやイノシシに遭遇することもありますが、わたしが一番驚いたのは、一本道の正面から、タグも付けていない牛が一直線に歩いてくることでした。(もしかすると放し飼いにしているだけのことかもしれませんが‥‥)



自然が作り出した、美しく鮮やかな寒色パレットをご覧あれ。

そのほかHuilo Huiloの魅力はいくつかの滝があること。北部の乾燥地帯と対照的に、南部がいかに森や水に恵まれた土地かを肌で感じられるのが、この滝でした。世界の有名な滝に比べると、とても規模の小さい滝ですが、小さいゆえに滝の麓の水がとても美しいこと。水の色なのか、森の色なのか、藻の色なのか、はたまた空の色なのか。自然の生み出した美しい青や緑のグラデーションは、人口では真似できない美しいビビッドな寒色のパレットでした。


  • 森の中を進んでいくと‥‥‥、


  • 補正なしでこの色‥‥!ウィロウィロの滝。

自ら水に飛び込みたくなるほど、絵画でしか見たことがない美しいブルーの水の中を、ボートで駆け抜ける。この水で体験するラフティングは感動モノでした。


  • ラフティングに挑戦。飛び込みたくなるほど綺麗な色の川。

観光地化することで自然が壊れていく例も多くあるかと思いますが、こうして自然を楽しむ観光地を、理解ある観光者と共につくっていけるのはとても素敵なことですね。いずれにしても、僻地に人が集まるということは、それだけ人の心を打つものがあるということ。そして、日本の森も同様にたくさんの美しさを内包していますが、気候などの関係で、その色や表情は、世界の裏側ではまた違ったものがあるということ。


  • 敷地内の森にある目標。

日本から訪れるには少し遠すぎて「ぜひ一度訪れてみてください!」と言うことがためらわれますが、だからこそ、こんな世界がリアルにあるよということを代わりにお届けできればと思います!

次回は同じくチリ、今度は北の地方の砂漠エリアを紹介します。


  • どうですか、ジブリっぽかったですか‥‥?

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OTONA WRITER

natsumiueno / natsumiueno

編集者/メディエイター。美大での4年間は「アートと世の中を繋ぐ人になる」ことを目標に、フリーペーパーPARTNERを編集してみたり、展覧会THE SIXの運営をしてみたり、就活アート展『美ナビ展』の企画書をつくったりしてすごしました。現在チリ・サンチャゴ在住。ウェブメディアPARTNERの編集、記事執筆など。