歴史と文化の詰まった欧州で、
ぜひ美術散歩を。
ヨーロッパはこれまでの歴史の中でたくさんの文化・芸術を育んできました。私たちが美術を学ぶときも、やはりその大半はヨーロッパの美術・芸術です。そしてまた、それらの深い歴史と文化が、言語化され、解説され、今もきちんと残されているという意味では、どんな地域よりも奥が深いように思います。
美術・芸術を学ぶ私たちこそ、教科書で学ぶのではなく、一度その街を訪れ、巨匠たちの作品を目一杯感じ、アーティストたちが暮らしみてきた世界と文化を、思いきり肌で感じたいですね。
① 歴史と必ず一緒に見たい欧州の芸術
欧州はローマ帝国から始まり、時代ごとにいろんな国が力を持ち、また支配された歴史を持ちます。ローマが力を持った時代、スペインハプスブルク家が力を持った時代、イスラムがスペインの方まで広く支配した時代もあり宗教的な文脈も複雑に絡んでいますし、フランスがナポレオン広い地域(現在のロシア方面まで!)を支配した時代もありました。また、階級社会のため、貴族が多くの絵師に絵を描かせていますよね。だから、ずっと昔の様子が絵を通して今に伝わっている。
建築様式も含め、残されているすべての芸術・文化に、そうした歴史や権力の背景があります。だから、欧州の旅は歴史や社会について学んでからいくと、美術館や歴史的建築物を見ても、「なるほど」という気づきが多い。比較的、作家がどうしてその作品をつくったのか、描かれているもののテーマなどは、こうした背景情報などを参考にすると読み解きやすいのではないかと思います。
数多くの著名作家を輩出し、美術の歴史を牽引してきたヨーロッパの国々。もちろん、見るべき作品はたくさんあります。ルーブル美術館や大英博物館のような大型の美術館だけでなく、アムステルダムのゴッホ美術館、パリのピカソ美術館、ニースのシャガール美術館など、作家の作品をコレクションして紹介している美術館も多く、それぞれの作家について深く理解を深めるのにも、もってこいです。
②たくさんの国が隣接している!
私がヨーロッパの魅力と思う大きなポイントは、小さな国がたくさん隣接していること。せっかく旅をするなら、いろんな文化に触れてみたい。それを叶えてくれるのがヨーロッパ。EU連合で国境を渡ることも自由にできるので、私は35日間で12カ国を回ることができました。国によって言葉が違い、食べているものが少しずつ異なり、歴史的背景や人種(ヨーロッパと一言に言ってもラテン・ゲルマン・ノルマンと人種が異なります)から人々の性格も違う。みんなラテン系のノリなのかと思えば、実は北欧へいくと、みんな日本人のようにシャイだったりするんです。中欧スロバキアへ行けば、未だに20年前の社会主義国の様子があちこちに見てとれる。昨今課題になっている通り、ヨーロッパに移民が多いことも、私たち日本人の感覚からすると、新鮮味がありますね。
ヨーロッパへの航空券は、旅行会社のキャンペーンなどを見逃さずにチェックしていれば、意外と安く手に入ったりします。同じヨーロッパ旅行でも、パリやミラノでお洋服やお土産をたくさん買う旅は、きっと社会人になったらもっと楽しめますから、ぜひ電車や格安航空券を活用して、たくさんの街を訪れ、それぞれの文化や芸術に触れる旅をしてみてください。
▼勝手に連載!「美大生は旅に出よう」
#01 「美大生は旅へ出よう!海外への旅をオススメする理由」
#02「美大生は旅へ出よう! お金はちょっとでも、ずっと豊かに旅はできる!」
#03「美大生は旅へ出よう! 見て感じて楽しむ 旅で出会う「美」~欧州編」
#04「美大生は旅へ出よう! 見て感じて楽しむ 旅で出会う「美」~モロッコ編」
#05「美大生は旅へ出よう! 見て感じて楽しむ 旅で出会う「美」~南米西側編」
#06「憧れのジブリの世界が現実に!? ジブリ好きなら一度訪れたい南米の森」
#07「絶景!フラミンゴの住む南米の砂漠街。サン・ペドロ・デ・アタカマ【前編】」
#08「絶景!世界一星の綺麗な南米の砂漠街。サン・ペドロ・デ・アタカマ【後編】」
編集者/メディエイター。美大での4年間は「アートと世の中を繋ぐ人になる」ことを目標に、フリーペーパーPARTNERを編集してみたり、展覧会THE SIXの運営をしてみたり、就活アート展『美ナビ展』の企画書をつくったりしてすごしました。現在チリ・サンチャゴ在住。ウェブメディアPARTNERの編集、記事執筆など。