自然も文化もビビッドで鮮やかな国、モロッコ。
とにかく面白かったのは、文化も宗教も気候も違う北アフリカモロッコの旅。ドバイで乗り継ぎ、22時間くらいかけて到着したその地は、北はポルトガル・スペインまで海を挟んですぐという、ヨーロッパにとても近いアフリカ大陸最北端。南はサハラ砂漠ととても乾燥しており、それゆえ主な名産はオリーブとオレンジでした。
①アーティストの惚れ込んだ地
このモロッコ、実はアンリ・マティスが惚れ、イブ・サンローランが愛し晩年を過ごしたとも言われる、アーティスト・デザイナーがうっとり惚れ込むの色彩感覚豊かな地。人々のその豊かな色彩感覚で、街には美しい色があふれています。個々人のセンスの話だけではありません。
首都マラケシュはかつて建てられた土の建物の色、ピンクの建物が並び、町中ピンク色。なんと、法律でそう決められているのだそうです。さらに、ピンクだけではありません。かつてスペインからの移民が多く住み着いたと言われる北の街シャウエンは、街の人が好んで街じゅうを青にしてしまいました。少し南に進んだフェズという古都は、8世紀から続く旧市街がすべて黄色の建物で埋め尽くされています。
これらはヨーロッパやアメリカでも見ることのできない、少し奇抜で、だけど居心地の良い、異国感を感じられる街並みです。
②乾燥地帯ならではの文化
乾燥地帯ということもあり、砂漠に進むと井戸を引くお兄さんに出会いました。彼、もちろん言葉は通じないのですが、丁寧に案内をしてくれました。砂漠に水があるの?砂漠というだけでも驚きなのに、そこにある人間の生活する知恵には驚きました。
そう、南へ車で10時間以上、そこには巨大な砂漠サハラ砂漠が広がっています。もちろん、せっかくモロッコへ行くのなら、都会ばかりでなくがんばって砂漠まで行ったほうがいい。観光地化されつつありますが、それでもサハラ砂漠の奥深くへラクダで進み、キャンプで一晩過ごす。いかに月が明るいか、星が明るいか、そして太陽が昇るのが美しいか、砂漠を駆け抜ける風、柔らかくひんやり冷たい砂を、肌で感じるのは涙ものです。
③スパイスたっぷりな食文化
食べ物はというと、タジン料理。毎日タジン鍋が出てきます。毎日、毎日。現地の人に言わせると、今日は海鮮タジンだ、今度は野菜のタジンだと、趣向を変えているようなのですが、日本人にとってその微妙なスパイスの違いはわかりません。正直、全部一緒。しかし、どうやらひとつひとつ違う料理のようなんです。タジンに使われるスパイスを見に行くと、何種類あるか数えられぬほど、鮮やかに並んでいました。
③代々受け継がれる職人芸
その色彩感覚と器用さは様々な工芸品に現れています。そのひとつがモロッコの伝統的なタイル。地域地域によって柄も色もことなるのですが(先ほど紹介したマラケシュとフェズでも、それぞれその特徴は全く異なります)、いずれも手作業とは思えない細かさ。単調でシンプルなものから、入り組んで細かい細工のものまで。見ている私たちを飽きさせません。
アフリカといっても、ヨーロッパの文化が深く入り込んだ北アフリカならでは。いろんな文化が混じり合い、モロッコオリジナルの文化になっているよう。まだまだ近代化が進んでいないこうした地域の文化は、きっとたくさんのインスピレーションが生まれることでしょう。
▼勝手に連載!「美大生は旅に出よう」
#01 「美大生は旅へ出よう!海外への旅をオススメする理由」
#02「美大生は旅へ出よう! お金はちょっとでも、ずっと豊かに旅はできる!」
#03「美大生は旅へ出よう! 見て感じて楽しむ 旅で出会う「美」~欧州編」
#04「美大生は旅へ出よう! 見て感じて楽しむ 旅で出会う「美」~モロッコ編」
#05「美大生は旅へ出よう! 見て感じて楽しむ 旅で出会う「美」~南米西側編」
#06「憧れのジブリの世界が現実に!? ジブリ好きなら一度訪れたい南米の森」
#07「絶景!フラミンゴの住む南米の砂漠街。サン・ペドロ・デ・アタカマ【前編】」
#08「絶景!世界一星の綺麗な南米の砂漠街。サン・ペドロ・デ・アタカマ【後編】」
編集者/メディエイター。美大での4年間は「アートと世の中を繋ぐ人になる」ことを目標に、フリーペーパーPARTNERを編集してみたり、展覧会THE SIXの運営をしてみたり、就活アート展『美ナビ展』の企画書をつくったりしてすごしました。現在チリ・サンチャゴ在住。ウェブメディアPARTNERの編集、記事執筆など。