【手羽の卒展旅シリーズ8】女子美プロダクト・東北芸工・京都造形東京会場の卒展も行ってきた【東京4美大合同企業説明会も】

2019年3月3日(日)

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五反田駅で降りて、東京デザインセンターでやってる女子美術大学プロダクトデザイン専攻 卒業制作展 2019にチェックイン!!

いやー、お腹いっぱい。でも久しぶりに歩き回って疲れた・・。
「名古屋で靴に穴が空いちゃって、栄駅前のABCマートで靴を買う」というハプニングもありながらの旅でした。


翌日の2月25日(月)午前9時。
手羽は

東京都美術館にいました。
「都美館を目的に上野」ってのも久しぶりだなあ・・だいたいは藝大での仕事のついでだし。もしかすると五美大展担当だった時以来かもしれない。


  • 都美館ではいろいろやってて、

東京都専門学校アート&デザイン展などもやってましたが、目的はこちら。

東北芸術工科大学 卒業・修了展[東京展] !
芸術学部美術科と大学院の卒業・修了制作選抜展です。
2013年頃から都美館でやるようになったんだけど、まだ一度も行ったことなかったからこの勢いで。


  • 「女子高校生や現代人をモチーフにした仏像」っていうのも今のトレンドではあるんですが、これを陶で作るのは相当大変だったはず

久しぶりに大きな穴の有孔パネルの都美館展示を見たせいもあるんだけど、昔の五美大展を思い出しますね。良くも悪くも昔ながらの美大展示。ま、五美大展はほぼ同じスペースに100人以上が展示してたから伝説の「4段掛け」なんてことが起きてましたが。

地下のギャラリーも使ってて、そっちは立体メイン。

立体は好きな作品が多かったです。

ちなみに東北芸工さんは意欲的に作家活動をしている卒業生へ展示費用や広報活動を支援し、東京の銀座界隈複数のギャラリーで参加作家の展示を同時開催する企画
TUAD ART-LINKS 2019
も同じ時期にやってます。

次に向かったのは東北芸工の隣でやってる京都造形芸術大学の・・・あ、内容に入る前にこれを書いておかないと。

以下、過激な感想が含まれてますので、そういうのが嫌いな人はここで退出願います。
(トリガー警告←最近覚えた単語なので使ってみた)

KUAD ANNUAL 2019 宇宙船地球号です。
一言で説明すると「東北芸工の姉妹校である京都造形芸術大学の卒業制作選抜展」なんですが、ステイトメントの冒頭にはこう書かれてます。以下大事なので赤文字で引用。
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 私立大学の約4割が定員を充足できず、 その状況は芸術大学も同様です。 いま、芸術を大学で学ぶ意義が社会から問われていると言っても過言ではありません。
 京都造形芸術大学では、 そうした現状を踏まえて、 改めて芸術教育の成果発表ともいえる卒業・修了制作展のあり方を問い直しました。本展 「KUAD ANNUAL 2019 宇宙船地球号」 においては、 個人的な興味・関心から生まれる一方向的なメッセージに留まらず、 歴史・文化・社会・政治を複層的にリサーチし、 未来の可能性を芸術的視点から提案する作品を展示します。
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とても卒業制作展の解説文とは思えない文章だけど(笑)、こういうところが京都造形さんらしさかもしれません。今年は主語が取れてますが、去年は、
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多くの芸術大学の卒業 制作展では、学生の個人的な興味・関心の中から生まれる、一方向的なメッセージの提案に留まった作品ばかりが溢れているのが現状。
===

とはっきり書いてあったくらいで。

単なる自己満足だけで作られた学生作品の展示をただ陳列するだけのではなく、昨年度同様森美術館のチーフ・キュレーターである片岡真実先生にキュレーションをお願いし、24組32名の学部生・大学院生へ制作指導を重ねた展覧会・・がちゃんとした説明になるのかな。

教育的なアプローチだと芸術学系の学生さんにキュレーションをやらせた方がいいんじゃなね?と思ったりもするけど、「指導」がポイント。
そう考えるとと、メインビジュアルや会場に入って一番最初の作品が

学生作品じゃなくヤノベケンジ先生の作品なのも納得がいきます。
どうしても「なんで学生作品が最初じゃないの?」と思っちゃうけど。

東北芸工とは対照的に、照明を落とした今どきの現代アート系展示。
なんとなく先ほど紹介したステイトメントは「他美大に」というより、姉妹校で同じタイミング・隣の会場で展覧会をやってる東北芸工さんに喧嘩を売ってるような気も・・。
この企画展内容だと、(東北芸工のあてつけじゃなければ)都美館よりもスパイラルとか3331とか・・ちょっと狭いかな・・横浜赤レンガ等空間自体が面白い会場の方が向いてたかもしれませんね。

誤解のないように書くと、これまでの卒業制作展アプローチで考えるからモヤモヤしちゃうだけで、こういう展覧会もアリだと正直感じました。

リサーチの過程を展示するのはデザイン系だと普通だけど、ファインアートの学外展ではあまり見ないことでこれは面白い方法。「そこを言葉で語るのはどうか?」という議論もありますが、多くの一般来場者にはより作品に興味を持てる情報でもあります。
また、複数の企業から「協賛」を取って実施してるんですよ。機材や学生さんの宿泊費とか協賛で対応したのかな?ファインアート系だと「ひも付き」になるのを嫌がる学生さんや教員もまだ多く、あっさりとやってのけるのはさすが。こういうのは外からの視点がないとできないことで。
「古い美大の考え方からの移行」であり、コピーで使ってる「実験と冒険に満ちた企画展」に偽りはありませんでした。



てなわけで、これにてほんとに3日間の卒展シリーズは終了。
いろんな美大卒展を見てきたけど、印象に残ってるのは、やっぱり空間的にも面白かった愛知県芸さんかな。

都美館に来たら、必ずやる儀式、

恩師の最上先生の作品に挨拶をして上野を出るのであった。 一旦終わり。


そうそう。
いろんな美大といえば、昨日はムサビの体育館アリーナで行われた

初めての試みとなる東京4美大合同企業説明会に行ってきたけど、

こんなに他美大生がムサビに来るとは思ってなくて。
ある大学さんは3年生の40%以上が参加したそうです。むしろムサビ生が少なかったりして(笑)

以上、手羽が一番感動したのは、大学関係なく就職課スタッフが協力しながら学生さんに対応してたことな手羽がお送りいたしました。関西の美大だと考えられないだろうけど、五美大展で構築された文化かもしれません。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。