【ビダモン】美大の募集要項で妄想する

武蔵美の磁場が好きな手羽です。

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今日はアドバイスではなく、息抜き記事。
ムサビ入試も学科試験A日程が終わり、一つ目の山を越えましたし。


手羽は大学の募集要項のある部分を見るのが毎年の楽しみで。
それはなにかというと、募集要項後半に必ず掲載されてる「願書記入例」です。

大学案内は広告代理店などを使って、オシャレで素敵な感じに作り上げてますが、入試要項は入試課から受験生への事務連絡に過ぎず、余計な情報を掲載しないでシンプルで見やすく作るのが常。公立大学だと「これ、ワードで作ったでしょ?」なものもあったりします(私立美大はちゃんとデザイナー入れてることが多いです)
でも、その中の「願書記入例」だけは名前だったりキャラクター設定だったり、唯一入試課スタッフのクリエイティブ性・遊び心を垣間見ることができるんです。
「大事な入試情報だからふざけすぎず、でも柔らかさを出すためにまじめすぎず、伝えたいことをちゃんと伝える」のバランス感覚が非常に要求される部分でもあり。ふざけた名前や写真を使ってたりすると「ああ。この大学は空気読めない若手職員がこういうことしちゃって、それをちゃんと指導できる人が上にいなくて、記入例の重要性を感じてない大学なんだなあ」とわかったりもしちゃう。

てなわけで、この願書記入例から見える人物像を勝手に掘り下げて妄想してみましょう、という企画です。
皆さんもマンションのチラシを見ながら「自分だったらここにテレビ置いて、こっちにソファ置いて・・・」と、いろいろ妄想してたりしませんか?手羽もよくやります。今日のムサビ受験生にわかるように書くならば、映像学科の感覚テストみたいなもんです(違う)

なにはともあれ、ひとつやってみましょう。

京都造形芸術大学さんの募集要項を見てみます。願書記入例は募集要項38ページにありますね。
そこには
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京造 花子(キョウゾウ・ハナコ)
1997年10月6日生まれ。京都市在住
私立瓜生山学園高等学校美術科卒業見込み
「 現代美術・写真」と「こども芸術」コースを志望
父の名は京造太郎

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てな感じで、生年月日、住所、高校名、父親の名前などなど結構詳細な情報が手に入ります。
このキャラクター設定から「京造花子」さんの人物像を妄想膨らませながら掘り下げてみる、と。

では、ハナコさんの心にダイブしてみましょう。
名付けて、ビダイブ!!


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私は、北白川大学教育学部美術科にAO入試で合格してました。父の太郎もすごく喜んでくれたけど、特に何かがやりたいというわけでもなく、「なんとなく将来は美術の先生でも」が正直な進路理由です。
そんなある日、美術科の同級生から「ハナちゃん、今度の日曜、京都造形で秋のオープンキャンパスがあるんだけど一緒に行かない?大学決まったからどうせ暇なんでしょ?去年高校に講演会で来てくれた人にも会えるらしいよ」と誘われたんです。
「講演に来てくれた人」とは京都造形の吉田大作編集長。
高校で話を聞いた時、心にざわつくものがあって、もっと詳しく聞きたいと思ったけど美大の進路は考えてなかったんで、サインだけもらってそれ以上の行動はしませんでした。そして友達と軽い気持ちで京造のオーキャンに行き、吉田編集長の話をあらためて聞いたら、そこには涙を流してる自分が座ってました。「夢や目標を実現するために大事なことは何か」「美術を通して社会を生き抜くために必要な意識は?」など「ああ。私が学びたいことって本当はこれなんだ」と気づかされたんです。


てな感じです。
「北白川大学」とか「秋のオープンキャンパス」とか記入例にある単語を踏まえつつ、どこまで妄想できるかがポイント。これが手羽の発明したビダイブなのです。ルールがわかってきましたか?


ちなみに吉田編集長・・じゃなくて吉田事務局長が作ってる「ユメミルタイムデザインノート2016―2017」が販売スタートしました。
単なるスケジュール帳ではない、あらゆる人々が自らの夢や目標を実現する上で立ちはだかる「時間に関する問題」を解決するためのツール。2/7現在、人気で一時的に在庫切れになってます。

amazonで手に入るので購入してね。あ、一緒にムサビ日記を買っても別にいいよ★


じゃ、次に京都造形さんの姉妹校である東北芸術工科大学さんの募集要項でビダイブしてみます。
願書記入欄は68ページにありますね。

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芸術 幸太郎(ゲイジュツ・コウタロウ)
1997年12月1日生まれ。山形市在住
山形県立上桜田高等学校卒業見込み
第1希望工芸、第2希望プロダクトデザイン、第3希望彫刻、第4希望テキスタイル、第5希望企画構想
試験科目は鉛筆デッサンを選択

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ふむふむ、いろいろ妄想が膨らんできましたよ。
よし!コウタロウくんの心にダイブ!!ビダイブ!!!


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小さい時から「将来は実家のサクランボ農家を継げ」と親に言われてたから、自分もそのつもりでいた。でも転換点は中2の時に起きた東日本大震災。震災9日後に救出された高校生が警察官に「芸術家になりたいです」と語った記事を読んでとても感動した。自分がアートやデザインの世界へ行けないのは親のせいじゃない、違う、自分の意思次第なんだ、と気づかされた出来事だった。
すぐに親に「芸術の勉強をしたい」と伝えたら、「美大なんて卒業しても仕事がないでしょ!」と猛反対された。でも説得を続けたら「幸太郎の意思が固いのはわかった。県でTOPクラスの上桜田高校に合格したら美大進学を認めてやる。どうしても芸術をやりたいならそれくらいの覚悟はあるだろ?」と言われ、必死に勉強し上桜田高校に入学できた。同じ頃、救出された高校生が東北芸工に合格したことを知って自分のことのように興奮した。

高校に入ってすぐに芸工予備校という美術予備校に通い鉛筆デッサンにあけくれる毎日。ラグビー部との両立が大変だったけど、ラグビー部顧問でもある担任も応援してくれ、なんとか二つとも続けることができた。
高3の夏、秋田で開催された美大合同進学説明会にムサビの手羽さんが来てて、「いつもブログ読んでます!やりたいのはプロダクトと工芸です!」と伝えたら、「だったらムサビの工芸工業デザインに行くしかないっしょ。このふたつができるのは日本でもムサビ工デぐらいだよ。君みたいな人のためにあるような学科だよ」と言われてちょっと心がぐらついたけど、東北芸工一本に絞った。どうしても彼が行った大学で一緒に勉強したかったのだ。


手羽がイメージする芸術幸太郎くんはこんな感じかなあ。
ちなみに去年は「芸術新太郎」くんなので、年子設定も考えたけど辻褄があわなくなるからビダイブでは触れませんでした。ええ。毎年チェックしてますよ(笑)
しかし苗字が「芸術」って、もう少し苗字っぽいものは思いつかなかったんだろうか・・せめて「東北芸太郎」とか。(それもまんまやね)

 
以上、ビダモンシリーズ前半飛ばし過ぎてもう入試ネタがないからこんなユルいネタを書いてるのかって言われると、そういうわけではないこともないかもしれない手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。