【美大4年生必見】手羽の卒業制作30ヶ条 制作編3

2018年11月22日(木)

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卒展出品経験と教務課時代の卒展担当経験、あちこちの美大卒展を見る趣味から、教育研究効果・美術的評価ではない視点の
「卒展ではこういう部分を気を付けるといいよ」
「卒業制作で陥りやすい点」

等テクニカルなアドバイスを30ヶ条にしてまとめました。多分一番欲しているのは精神論ではなくこういう話なのかな、と。
ムサビ生向きな内容になってますが、他美大の方、また卒展以外でこれから展示を考えてる人にも参考になると思います。

これまでの話はこちら。
【美大4年生必見】手羽の卒業制作30ヶ条 準備編1
【美大4年生必見】手羽の卒業制作30ヶ条 準備編2
【美大4年生必見】手羽の卒業制作30ヶ条 場所決め編
【美大4年生必見】手羽の卒業制作30ヶ条 制作編1
【美大4年生必見】手羽の卒業制作30ヶ条 制作編2


制作編その3です。


20.制作場所と人は確保してる?


  • 平成29年度ムサビ卒展風景。白い線はムサビ史上一番大きな作品

それまで大きな作品ばかり作ってたのに、卒制ではすごく小さな作品を作った手羽の同級生がいました。理由を聞いたら「卒制ぐらいは自分一人でセッティングできる作品作りたくて」と言ってたっけ。

こういうこともありますが、多くは卒制で気合入れて大きなものを作りたくなるもの。
でもそれを作る場所があるのか、そしてそれを搬出できる出入り口があるかは事前に確認しましょ。
大きい作品作る時は学外に場所借りて制作してる人もいます。

彫刻学科の場合は自分一人で動かせない作品を作ることが多いので、制作や搬入出では「ギブアンドテイク」の風習が残っています。 「君のも手伝うから、僕のも手伝ってね」という暗黙の。これは卒展だけでなく、普段からこういう関係で制作してるので当然な世界なんです。 (工デのクラフト系も同じような感じかな?)
彫刻学科の学生がおおざっぱなようでいて意外と時間に厳しいのは相手のため、というよりも自分のためでもあるんですね。

でも普段からそういう関係ができてないデザイン系の学生さんが卒制で大きな作品を作りたい場合はどうしたらいいか。
同級生はみんな同じようにせっぱつまってるので、「準備・撤収も含め人の確保をどうするか」という問題は早めにクリアにしておきましょう。 サークルの後輩とかね。そして「手伝いますよ」と言ってるムサビ生は多分時間通りには誰も来ないので、そのことも計算に入れときましょう(笑)

そうそう。
卒業制作で「これから展示だ!」と工房から作品を出そうとしたら、大きすぎてドアから出なかった後輩がいました。これほんと。結局泣く泣く作品を切ってドアから出したんだけど、ちゃんとドアの幅・高さ含めて搬出ルートを確認した上で制作しましょ。


最近思うのは、アジア1の工房を持つ彫刻学科は年々作品が小さくなる傾向にあるし、逆にあまり制作場所がない空デが巨大化してるのを見てると、よく「パンは器のサイズにしか膨らまない」と言われるけど、そうでもないんだろうなあ、と。



21.自分で作る必要はない


  • 平成29年度ムサビ卒展風景。みんなを見守るパンダ

「制作場所もないし、手伝ってくれる人もいないけどどうしたらいいの?」と嘆くあなた、答えは簡単です。
自分で作らず外注しちゃうか、卒業制作展に出さなければいいんです(びしっ)

自分で作ることによって得られることがあるんで教育効果的にはそれがいいんですが、実はシラバスには「卒業制作は全部自分で作りなさい」とは書かれていません。自分でしっかり考えたアイデア・コンセプトを本当に精度の高い表現で見せたければ本当は外注した方がいい。
どうしても周りの状況から自分で、そして大きな作品を大学で作らなくちゃいけない雰囲気になりがち、それが絶対条件に思いがちだけど、そんな必要は全くなく。すごく簡単なことだけどこれに気が付いてない方も多いです。

ただ、外注となるとお金がかかるんで、そこで「3.やっぱりお金って大事」になるわけです。
あ、一応シラバスや研究室からの配布資料を確認してください。制作状況確認も履修条件に含まれてると一概にそうとはいえなくなります。
「卒業制作展に出さなければいい」については、展示編で書きます。



でもなにより手羽が伝えたいのは、

22.どんな形であれ完成させる


  • 平成29年度ムサビ卒展風景

これ大事。とっても大事。

卒展2日目でも作業してる人がチラホラいるのがムサビの卒展で・・・。
「間に合わなかった」のは問題外として、「悪い部分に気が付けば、展覧会中だろうが関係なく追究するのが本当のクリエイターだ!!妥協はしたくない!恥ずかしいものは見せたくない!」という考えはすごく理解できます。
でも今できる限りの完成形態を「期日」に見せるのが大事で、納得してなくてもそれを発表しなくちゃいけないのが「今の自分の実力」であり、「自分の作品に対する責任」であり。

また、個展であれば知ったこっちゃないけど、合同展覧会で「会期中に展示場でお店広げて作業してる風景」ってのは学生さんが思っている以上に見栄えがいいものではありません。
ムサビは講評直後に展示、または展示中に講評するスケジュールなので、「教授から指摘されたことをすぐに修正してるんです。ある程度は見逃してください」というのが元卒展担当の気持ちではありますが、修正作業するのは会期時間外とか人のいない時にやってほしいなあ、と・・・。


次は展示編です。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。