【美大4年生必見】手羽の卒業制作30ヶ条 制作編2

2018年11月18日(日)

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卒展出品経験と教務課時代の卒展担当経験、あちこちの美大卒展を見る趣味から、教育研究効果・美術的評価ではない視点の
「卒展ではこういう部分を気を付けるといいよ」
「卒業制作で陥りやすい点」

等テクニカルなアドバイスを30ヶ条にしてまとめました。多分一番欲しているのは精神論ではなくこういう話なのかな、と。
ムサビ生向きな内容になってますが、他美大の方、また卒展以外でこれから展示を考えてる人にも参考になると思います。

これまでの話はこちら。
【美大4年生必見】手羽の卒業制作30ヶ条 準備編1
【美大4年生必見】手羽の卒業制作30ヶ条 準備編2
【美大4年生必見】手羽の卒業制作30ヶ条 場所決め編
【美大4年生必見】手羽の卒業制作30ヶ条 制作編1


制作編その2をお届けします。


17.便利な道具と基本的な単語を知ろう
最新の便利な道具といえば、レーザーカッターや3Dプリンターがあるけど、それはまた後で書きます。
最近の便利な道具の典型例は、やはり「グルーガン」でしょうね。


「ホットガン」「ホットメルト」「ホットボンド」と呼ばれたりもします。

手羽の学生時代からグルーガンってあったけど、当時彫刻学科で使ってる人はほとんどおらず、特殊な作業時に使うとかそんなレベルで、知る人ぞ知る「工具」だったんです。
でも5年前ぐらいにデザイン系の学生さんが「それ、グルーガンで止めちゃえばいいじゃん」と軽く言ってて、さらにそれが周りに通じてるのを見てびっくりしました。「え。いつのまにそんな一般的な工具になったの?」と(笑)
ボンドだと時間がかかるところをグルーガンならすぐに固定できるから作業効率も上がるし、卒業制作レベルであれば仮止めにも本止めにも使える。100円ショップでも売られてるからすぐに手に入る。今はグルーガンの使い方を知ってるか知らないかで大きく作業が変わるはず。

手羽的には「養生テープ」は準備・制作・展示・梱包で使えるのでワークショップの時は必ず用意してるグッズのひとつ。マジックで名前をかけば名札代わりにもなるし(笑)


でも便利な道具や専門用語を知るのも大事だけど、基本的な材料等の名称は卒制前に知っておきたいところです。
例えば「垂木」。美大生なら一度は使う素材なはずだけど、名前を知らない人がたまにいて。1年生はともかく3年生ぐらいだと油絵学科とかデ情とか関係なく「垂木」と言われて「幅5cmぐらいの角材」をすぐにイメージできた方がなにかと便利ですよ。


18.素材と工具の軌跡を消せ


難しい言い回ししてますが、「作品性と関係ないなら、工具を使った跡や素材がわからないようにできるだけ処理しません?」って意味です。

例えばノミで掘った跡は「行為の軌跡を見せる」という意味があるんで、そういう時は消す必要はないんです。ただ、最近手羽がすごく気になってるのが「レーザーカッターで切った跡」なんですよ。

以下、「手羽だけかもしれないけど」と前置きつけて告白させてもらいます。
「うわー、こんな細かい文字や形をどうやってこんなに大量に切ったんだろ。すごいなあ」と感動しながら切り口を見ると焦げた跡があり、「なんだ・・」と興ざめするケースがすごく増えてまして。「感動したなら切り口見るな」って話でもありますが。
これが通称「焦げ焦げ問題」です。今命名しました。

「自分で作れ!」的な手作業主義な発言ではなく、最新の道具はどんどん使うべきだけど、レーザーカッターが目新しい頃、ファブラボ創成期ならともかく、これだけ浸透した時代にMDF的なものをレーザーカッターで切ったまんまの焦げ焦げ状態を展示していまだに「どうだ!すごいだろ!」と自慢げに出すのはどうなの、と。すごいのは作者じゃなくてレーザーカッターだろ、と。しかもなんで突然そこでクラフト感出すの?てか焦げまくってるじゃん、焦げてるよ、と。すごく気になるけど、それは見て見ぬ振りすべきなの?でもすんごく気になるよ?と。

その焦げが作品と関係あるのならともかく、もう「板に焦げ焦げのタイトルを入れる」「焦げ焦げの細かい模様を見せる」ってのはやめにしません?そろそろ焦げを隠す等レーザーカッターの「次の見せ方」に移行しませんか?


また、作品として素材感を出したいのなら別ですが、コンパネも面取り・パテ・研磨・塗装次第でプラスチックや鉄のように見せることができます。このテクニックを知ってると安上がりにワンラックアップの作品や展示にすることができまっせ。


19.大事な時に機械は壊れるし、材料はなくなるの法則


  • 平成29年度ムサビ卒展風景

タイトルが全部語ってますな。経験者は「そうなんだよね(涙)」な法則(笑)

特にそのレーザーカッターとか3Dプリンタ、大型プリンター等最近の機材は壊れやすいんです。
数年前に比べてだいぶ壊れにくくなったと言われてはいるけども、まだまだ安定して信用して使える代物ではなく・・しかも決まって締め切り間際に壊れるし、材料切れになるのよね・・。
なおかつ、一度壊れてしまうと完全に作業がストップになり、昔の機材なら近所の「●●産商」みたいな修理のおじさまが来て2,3時間で治ってたのに、下手すると3Dプリンタとかは復旧するのに1日以上かかることも。

これらの機材を使うのが大前提の作品を作る人は、「そういうものだ」という覚悟とバックアップになるような施設を調べておくことをかなり強く薦めます。


続くっ!!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。