美大受験生の疑問にお答えする、略して「ビダモン!」シリーズをお送りしています。
これまでのビダモンはこちら。
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ムサビ中心に書いてますが、他美大入試でも参考になるはずです。
今日のムサビ入試は学科試験A日程。学科試験は待ち時間が多いので息抜き記事をお送りします。
いつも以上に文字ばっかりですいません・・・。
手羽は大学の募集要項のある部分を見るのが毎年楽しみで、それはなにかというと募集要項に掲載されてる「願書記入例」なんです。
大学案内はどの大学も広告代理店やデザイナーを使ってオシャレで素敵な感じに作り上げてますが、入試要項は入試課から受験生への事務連絡なので、公立大学だと「これ、ワードで作ったでしょ?」なものもあったりします。
でも、その中の「願書記入例」は、名前だったりキャラクター設定だったり、唯一入試課スタッフのクリエイティブ性・遊び心を垣間見ることができる部分なのです。
試しにひとつ見てましょう。
手羽が調べる限り、一番情報がたんまり入ってるのは静岡文化芸大さん。
■静岡文化芸術大学募集要項P26
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文化 芸美(ぶんか・げいみ)
1999年7月22日生まれ浜松市在住
浜松高校2018年3月卒業見込み
デザイン学科を実技試験で受験希望
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という情報がわかるんですが、最近はアンケートも同時に取る大学が増えています。
静岡文化芸大さんはアンケート記入例も出てるから、
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高校の先生・先輩に影響を受け美大進学をイメージし、静浜美術研究所で実技を勉強しながら、「大学発見ナビ」「進学辞典」「螢雪時代」で情報を集め、2016年8月のオープンキャンパスに行って、「少人数教育」「カリキュラム」から静岡文化芸大を受験することを2017年4月~6月 に決めた。
併願校は日本文化芸術大学 芸術学部 デザイン学科。
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高2夏のオーキャンで興味を持つという理想的なパターンで、高3の4月に進路決定はちょっと遅い気もするけど、今はこんなもんかな・・なんてことまでわかっちゃう。
そして今年の現役生は1999年生まれが中心で、早生まれだと2000年生まれの生徒さんもいるんです。2000年っすよ?!最近じゃん!(年取った証拠)
どうですか?記入例の面白さがわかってきました?興奮しませんか?
でもWEB願書に移行する大学が増えてるので、この記入例がどんどん無くなってる(見れなくなってる)の。記入例マニアにとって悲しい時代になってしまいました。
ただ公募推薦などはまだ紙の願書をとってる大学も多く、以降は一般入試・公募入試願書がごっちゃになってますがご了承ください。
まずタマビ。
■多摩美術大学募集要項P10
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多摩美 美雄(タマビ・ヨシオ)
1999年6月28日生まれ。八王子在住
私立上野毛高等学校卒業見込み
志望学科は工芸の金属
父の名前は「多摩美一郎」
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誕生日は大学の創立記念日にすることが多く、去年の多摩美くんも誕生日は11月1日だったんです。はたして6月28日の意味は。
■東北芸術工科大学募集要項P58
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芸術 幸太郎(ゲイジュツ・コウタロウ)
1999年12月1日生まれ。山形市在住
山形県立上桜田高等学校平成30年3月卒業見込
第1希望工芸、第2希望プロダクトデザイン、第3希望彫刻、第4希望テキスタイル、第5希望企画構想
試験科目は静物デッサンを選択
担任の先生に相談し、ラグビー部
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幸太郎くんはラグビーをやってたんですね。きっとがっしりした体型なんだろうなあ。
■東京工芸大学募集要項P55
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工芸太郎(コウゲイ・タロウ)
1999年4月7日生まれ。中野区在住
東京都立工芸第1高等学校美術科卒業見込み
デザイン学科をAOで志望
画塾は工芸美術予備校
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多分東京工芸さんだけなんですが、願書に写真が貼ってあるんです。
この人物ははたして誰なのか気になって気になって。
■東京造形大学募集要項P24
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造形一平(ゾウケイ・イッペイ)
1999年7月16日生まれ。八王子市在住
私立造形高等学校
アニメーションを一般方式で、グラフィックをセンターA方式を使って受験。
実技は平面構成を希望。
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確実にあだ名は「イッペイちゃん」。イッペイちゃんが使ってるメールアカウントの「hanemiro」にはどういう意味があるんだろ。
■札幌市立大学デザイン学部募集要項P16
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札幌花子(サッポロ・ハナコ)
平成11年10月17日
札幌市南区在住
公立北海道札幌中央高等学校平成30年3月卒業見込み
実技科目を選択
父の名は札幌太郎で職場は中央区にある。
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公立大学は誕生年を平成、私立は西暦で書かせるパターンが多いですね。
■長岡造形大学募集要項P13
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長岡千秋(ナガオカ・チアキ)
1999年5月20日生まれ。長岡市在住
長岡造形高等学校デザイン科2018年3月卒業見込み
長岡造形予備校で実技の勉強をし、プロダクトデザイン志望で選択科目は鉛筆描写
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きっとあだ名は「チアキちゃん」。
でも名前も高校も予備校も「長岡造形」なのは、もうひと工夫がほしいところ(何様)
■京都市立芸術大学募集要項P10
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芸大太郎(ゲイダイ・タロウ)
平成11(1999)年4月5日生まれ
京都市西京区在住
京都市立水掛高等学校平成30年3月卒業見込み
工芸科希望
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時代は変われど「女は花子、男は太郎」は変わらないんですね。
そろそろ記入例でキラキラネームが出てきてもいいんじゃないかと。破邪闇斗(ぱじゃんと)とか魔琉棲(まるす)とか叙瑠叙(じょるじょ)とか。
■成安造形大学募集要項P58
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山田 花子(やまだ・はなこ)
1999年6月1日生まれ。大津市在住
私立びわ湖高等学校 平成29年3月卒業見込み
びわ湖美術研究所
イラストレーション領域を志願
鉛筆デッサンで受験
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山田花子・・・ストレートに一般的な記入例にしたら受け狙いに見えてしまったパターンかもしれない。
・・・ん。「平成29年3月卒業見込み」ってことはないんじゃなかろうか・・・。
■大阪芸術大学募集要項P48
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芸大翔太(ゲイダイ・ショウタ)
大阪府南河内郡在住
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入学志願票があれば志望学科もわかるんだけど。
それにしても、「芸大」さんって苗字のが人が多いっすね・・。
■秋田公立美術大学募集要項P11
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秋美 一郎(あきび・いちろう)
平成11年5月17日生まれ
秋田県秋田市在住
秋田美術高等学校平成30年3月卒業見込み
父は秋美太郎
試験科目は色彩表現。
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去年まで試験会場は秋田か仙台選択できましたが、今回の入試から大学キャンパスのみになったようですね。
ちなみにタマビもそうだけど、記入例に「一郎」を使ってる大学は手羽へのリスペクトと考えてよろしいでしょうか。
■名古屋造形大学募集要項P34
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造形花子(ゾウケイ・ハナコ)
1999年5月1日生まれ。小牧市在住
造形高等学校普通科2018年3月卒業見込
第1志望はイラストレーションデザイン、第2志望はグラフィックデザイン
試験はデッサン型+国語を選択
父の名前は造形太郎
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イラストとグラフィックを併願する人は多いんじゃなかろうか。
ちなみに記入例の志望学科はオーソドックスなパターン、迷いやすいパターン等が書かれてることが多いですが、「この学科も併願してほしいなー」という入試課の裏メッセージが入ってるケースもあります。
■横浜美術大学募集要項P30
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横浜美子(ヨコハマ・ヨシコ)
1999年9月19日生まれ。横浜市青葉区在住
私立○○○高等学校普通科2018年3月卒業見込
一般入試A日程でクラフトデザイン系を志望
父の名前は横浜一郎
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「〇〇〇高校」ってのは遊び心がないなあ。もっと攻めてもいいんじゃないかと(だから何様)
■京都造形芸術大学募集要項P39
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京造 花子(キョウゾウ・ハナコ)
1998年10月6日生まれ。京都市在住
私立瓜生山学園高等学校美術科2017年3月卒業見込み
「 総合造形」と「歴史遺産」コースを志望
国語・英語・鉛筆デッサン(静物)で受験
父の名は京造太郎
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「去年と全く情報が同じだなあ・・」と思ったらPDFのファイル名が「2017_app.pdf」。去年のファイルをそのまま使ってるから「2017年3月卒業見込み」なんて矛盾が発生してるわけですね。
そして花子さんは京都市に住んでるのに東京会場でなぜか受験するんですよ。どういうケースが考えられるんだろう・・・願書を出した時は京都だったけど、面接日あたりは東京に引っ越してるから、とか?
もうね、妄想をいくらでも膨らませられます。記入マニアはこれでごはん一杯いける。
てな感じで、「大事な入試情報だからふざけすぎず、でも柔らかさを出すためにまじめすぎず、伝えたいことをちゃんと伝える。実在する人物だとダメだけど、記入例だからありえなさすぎるのもマズイ」のバランス感覚が非常に要求されるのがこの願書記入例。
正直なくてもいいもので(笑)、手を抜こうと思えばいくらでも抜ける部分だけに、こういうところを大事にしてるかどうかで入試スタッフのスキル・モチベーションもわかってくると。むしろこういうところに力をいれるのが美大らしさかもしれません。
そしてこうやって記入例を見ていくと
〇学科試験がいらない美大が増えてる
〇願書に美術予備校を書かせてる大学も結構ある
〇併願割引は今やもう普通で、今は「第2志望コースを選ぶと第1志望で不合格だった場合もう一度判定される」な実質の併願無料なシステムもある
ことがわかりますね。
以上、調べてて一番わけがわからない記入例が武蔵野美術大学だった手羽がお送りいたしました。
画像が小さくてよく読めないんだけど
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友田貴之(トモダ・タカユキ)
1996年2月29日生まれ。東京都表参道在住
緊急連絡先:ドッペルゲンガー
出身高校:高等学校卒業程度認定試験
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って書かれてある・・・。
でも適当なようでいて1996年が閏年であることはちゃんと調べてるみたい。謎っ。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。