教育実習の思い出シリーズをやってます。
前回までの話。
■恋する教育実習★ 第1話「教育実習に行くぜ!」
■恋する教育実習★第2話「声の高い手羽先生」
■恋する教育実習★第3話「捨てられないラブレター」
■恋する教育実習★第4話「寒色と暖色」
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第1ステップでは寒色と暖色の違いをはっきりさせるための練習でした。
次は色相の学び。
「スケッチブック画面いっぱいに5本の直線を交わるように描いてください。これで面ができますね。そして寒色・暖色、どっちか自分が好きな方を決めて、寒色なら寒色系の色で面を塗り分けましょう」てな内容。(もちろんもっと簡単に説明してます)
条件は一つ。絵の具を必ず2色以上混ぜること。
これは48色セットの絵の具を持ってる子だと絵の具を選ぶだけで描けちゃうので、それを避けるためです。より「色相」を理解してもらわないといけない。
考え方としては「なまえのないえのぐ」と同じです。
まず手羽が黒板でやってみる。
5本の線が多く交わることによって面がいっぱいできることを補足。
「さあ、みんなでやってみよう!」「は~~い」という返事。
きゃ、きゃわいいいい★(こればっかり)
2回目の机間巡視。
さっきよりちょっと難しくなってるから、最初はとまどっていたけど、どんどんみんなのピッチが上がってくる。緊張がほぐれたのか質問も出てくるようになった。うんうん、いい感じ。
え。
さっき、ボーとしてた子が今度は線さえ引いていない・・・。
おかしいなあ・・話はちゃんと聞いてる感じだったんだけど・・・。
「線を引かないの?」と聞くと、またにっこり笑う。
新手な反抗期なわけ?
でも、大学生がこういう時にどうすればいいのかはわかるはずはありません。「一応声はかけましたよ」という証拠だけ残して通り過ぎる。でも、通り過ぎてこっそり遠目で見てると、前に座ってる子が手羽にばれないよう、こっそりその子のスケッチブックに線を引いてあげてるのを発見。
なにかおかしいなあ・・・・。
気になってその子に声をかけてみる。
「寒色と暖色、どっちがいい?」と聞くと、「うーん・・」と悩んでいる。
「じゃ、寒色にしよう。ほら、なんとなくブルブル~と寒~くつめた~く感じる色ってあるでしょ?」
「・・・・」
「え、えーと、そういう色だけをまとめて塗ればいいんだよ。この青を使って描けば寒色になるから。わかった?」
とパレットに青絵の具を出してあげると、「コクン」とうなずいてくれました。
よかったよかった。これで「より全員への理解度を高めることができた」と報告できる。
でも、しばらくして彼女の絵を見ると、色は塗ってあるけど寒色系暖色系いろんな色がまざってる・・・。
こんな簡単な寒色暖色を理解できないってどういうことなんだろう。
とりあえず初授業は一人の子以外は寒色暖色を理解してたし、時間配分もバッチリだったので1回目にしては上出来。ぼちぼち笑いも獲れたし。
授業が終わって1年の先生に報告すると、「●●さんはどうでしたか?」と聞かれました。
「●●さん?」
「左側の前から3番目に座ってる女の子」
「ああ、アノ子か。やっぱり問題児なんですね。全然描いてくれなくて。いつもあんな感じなんですか?」と答えると、「あの子は特別学級の子なんです」という答えが。
へー・・・・特別学級ね。なるほど・・・って前にもその単語を聞いたような気がするけど、・・・ところで特別学級って何?
続くっ。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。