恋する教育実習★第2話「声の高い手羽先生」

昨日は健康診断で、普段は「社会と芸術のつながりを」「デザインとは」と語ってる教授や職員が素の1人の人間として、「いやー、体がボロボロで」と語りながら並んでる姿が好きな手羽です。

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教育実習の思い出シリーズをやってます。
あ、タイトルを「恋する教育実習★」に決定しました。

前回までの話。
恋する教育実習★ 第1話「教育実習に行くぜ!」

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「中学時代から知ってるムサビOBのアベ先生が担当教員になってくれた」以外にもうひとつラッキーな出来事がありまして。
それは画塾の先輩が同じ教育実習生だったこと。

名前はヨコちゃん。
この時に書いた「ムサビ不合格だった浪人生に『手羽は合格だよ』と電話で教えてもらった」の浪人生がヨコちゃんです。
ムサビは落ちたけどタマビ彫刻に無事合格しまして。タマビでは有名人だったようで、ある高校の先生から「私、タマビ卒なんですが、手羽さんってヨコちゃんと知り合いなんですね」と言われたことがあります(笑)一番仲の良かった先輩でもあるから、これも運命のめぐり合わせってやつ。


さて、いよいよ教育実習初日。
他の教育実習生は国語・社会・英語・数学各1人と全部で合計6人で、校長室に集められました。
そこで校長先生から 「数年前から特別学級(特殊学級)も出来た」と説明を受けましたが、特別学級がなんなのかを知らなくてその場では聞き流し、そのまま全校集会へ突入。

母校の中学校は、手羽が通った当時1学年12クラスあるマンモス校で、さすがに教育実習の時は8クラスに減ってましたが、今久しぶりに中学のサイトを見たら現在の在校生数はまだ620人いますね。いまだに1学年6クラスぐらいはあるってことだなあ。あんな寂れた街に。
当時はその無駄に多い人数を使って、フジテレビでやってた特番「人間地上絵グランプリ」で優勝したこともあります。人が多いってことはドットが細かいってことだからよくて当たり前だけど(笑)

体育館にギューギューに生徒が入っている懐かしい光景。とうとうこのシーンがきたんだなああ(しみじみ)・・。

「今日から教育実習の先生がいらっしゃいます。」

と紹介をうけ、壇上に登る。生徒から品定めをうけるシーン。
そして一人ずつ名前を呼ばれます。
順番はヨコちゃんが1番手で、手羽が2番目。

「美術を担当されるヨコちゃん先生です」

ヨコちゃんが無言でお辞儀をする。
「ん?!無言?!何事も最初が肝心でしょうに・・」と思ってるところに

「同じく美術を担当される手羽先生です」
と呼ばれ、「よーし、ここは一発元気よくやってるやる」と「よろしくお願いしますっ!!」と叫んでみました。

でも緊張で声が裏返ってしまい(涙)・・はい、教育実習あるあるです(涙)・・「あれ、こんなにきれいに高音の裏声出せるなら森山ナオタロウのサクラとか楽勝で歌えるんじゃね?」と思えるくらいひっくり返ってしまい(涙)・・教育実習が終わるまで「声の高い手羽先生」「よろしくおねがいしまーーす(後半裏声)」と生徒達にいじられる結果になり(涙)・・・きっと今なら「てばっしー先生」と絶対に言われてたはず(涙)・・・「東京からやってきた風間トオルみたいなオサレなシティーボーイ」路線でいこうと思ってたのに(涙)・・・・何事も最初が肝心です・・・・。


ところで実習前のオリエンテーションで教職の先生からこう説明を受けてました。

「皆さんの中には『資格を取るために教育実習へ行く』ぐらいの軽い気持ちの人がいるかもしれません。でも、生徒さんは『先生になるために頑張っている大学生』『先生予備軍』として接してきます。生徒さんはあなた達のことを『先生』と呼びます。皆さんもそうだったでしょう?だから生徒さんの前では『別に教師になるつもりないし』みたいなことを絶対に言わないこと。そしてそういう態度もとらないこと。「私は先生です」という気持ちで教育実習に行ってください。そうしないと生徒さんにも失礼だし、受け入れてる学校にも失礼なことになります」

手羽は昔から美術教師になるのが夢だったので「へー、そんな人がいるんだなー」と。

そうなんです。
中学生ぐらいから美術の先生になるのが夢だったんです。
もちろん「漫画家になりたい」とか「イラストレーターになりたい」と美大進学者の誰もが考えるような職種(笑)への憧れもあったけど、基本は「美術教師」で。
「両親が教師だった」ということも少なからず関係していると思います。
父は中学の社会科教師、母は養護学校の教師で、「よくそんな固い家庭で手羽ちゃんみたいな人間が形成されたね」と言われたもんだけど。
あ、ちゃんとしたデータはないんですが、自分の周りや学生さんに聞く限りだと美大生は「親が教師」というパターンが多いような気がしてます。「安定したそれなりの給料」「芸術というわけわからない学問に対する理解」を持ってるのが教師なんじゃないか、というのが私の推測なんですが。

中学生の頃から 「子供たちに美術の楽しさや面白さを教えたい」と、ずっっと思ってました。
少なくとも教育実習が終わるまではそう思ってました。


続く。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。