教育実習の思い出シリーズをやってます。
前回までの話。
■恋する教育実習★ 第1話「教育実習に行くぜ!」
■恋する教育実習★第2話「声の高い手羽先生」
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教育実習を経験したことがない人は「中学生や高校生相手に授業やればいいんだし、若い人と遊んだりもできるから、教育実習って楽しいだけじゃないの?」と思うことでしょう。
でも忘れちゃ困ります。教育実習は塾や予備校の講師バイトではありません。自分の単位がかかった資格を取るための授業のひとつなんですよ。
何が大変って次の日の授業の準備をしなくちゃいけないこと。
これが道具を用意するだけならいいのですが、「授業計画書(学習指導案)」を作らないといけないんです。そう、教育実習に行った人は「うわーーもう2度と書きたくない!」と涙するアレ(笑)
「この授業はどういう目的のもとで行い、何を説明し、50分間をどのようなタイムテーブル(分刻み)で展開するか?そして何を注意して説明し、どこがポイントで何を理解してほしいのか」という計画書を毎日1授業に対して1つ作らないといけないんですよ。知らなかったでしょ?
東京都教職員研修センターが公開してる学習指導案の例はこんな感じ。
■学習指導案 中学校:美術|「一版多色版画で和の世界を表現する」A表現(1)B鑑賞(1)
今はこういうのがネットで見れちゃうんだなあ・・・手羽が学生時代はネットなんてなかったから1から一人で考えなくちゃいけなくて・・・こういうの公開するのやめません?楽すぎる(笑)
その時に覚えたのが「机間巡視」(キカンジュンシ)・「机間指導」という言葉。他に使い道の全くない言葉ですが。
授業で「じゃ、色を塗ってみよう」と指示を出して生徒さんが制作に入りますよね。で、先生が机の間を通りながら、「ここはこうした方がいいんじゃないの?」とアドバイスをする。よくあるシーンですよね。これが机間指導なんです。 「ああ、こういうものにも名称があるんだなあ」とかなり強烈なインパクトだったので、忘れようにも忘れられない言葉の一つ。
他にも「板書計画」(バンショケイカク)という専門用語があります。黒板に何をどのように書くかを計画したもの。 「えええ。先生ってそんなことまで事前に計画してるの?・・」と思ったものです。
んで、その指導案を元に、当日使う小道具を作ります。
黒板にマグネットで貼り付ける説明ボードとか。見本が必要だと思ったら、見本を作ったり探したり。もう一度書きますが、まだネットがなかったから自分が持ってきた本か図書館で調べるしかなく、毎日かなり遅くまでかかりました。久しぶりの実家だから田舎の同級生と飲むつもりだったけど全部キャンセル。とてもそんな時間はなく。
私達「美術」は授業数が少ないからまだいいほうかもしれません。睡眠時間4時間ぐらいでなんとかやれてましたが、国語や数学の教育実習生は毎日徹夜状態だそうです。
これらの知識・・・「先生ってそこまで考えて授業をやってたんだな」という意識は高校での大学説明会で役に立ちました。
職員研修の一環で高校の説明会に職員を強制的に行かせてる大学もありますが、ほんとは教職・・を取ってないまでも教職の知識があってほしいもので。多分「企業説明会」と同じイメージなのですが、貴重な授業時間をいただいて高校生を教える立場だし、ちゃんと指導案を作って指導されてる先生の代わりに授業をする責任ある立場なわけで、「授業をなめるんじゃねーよ」と手羽は思ったりもするのだけど。
そしてその日の感想(担当教員との交換日誌みたいなもの)も書かなくちゃいけません。「実習ノート」と呼んでましたね。
多分ここが一番手を抜ける部分なんだけど、昔から「何か自由に書いていいよ」と言われると2,3行では終わらせられない性格でして、手羽にとってはこれが一番時間がかかった作業だったかも。
エッセイ書くの昔から好きだったんです(笑)ちなみに保育園の連絡ノートでも毎日エッセイ的なものを書いてました。
でも冒頭で「教育実習に行った人は『もう書きたくない』と涙するアレ」と言いましたが、思い出がいっぱい詰まってるのも指導案や実習ノートであり、これが捨てられないんですよね。そういう人、多いんじゃないかしら。
手羽もいまだに取ってあります。生徒さんからもらったラブレターと一緒に(笑)
つづくっ!!
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。