恋する教育実習★第4話「寒色と暖色」

時々これもやっておかないと、な手羽です。

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アベ先生から、「手羽のホームルームは3年だけど授業は1年でやろう。最終発表もその1年のクラスってことで。そのクラスは『寒色・暖色』の説明がまだだから、寒色・暖色から入って最終的にデザインとは何か?を学ばせよう」と伝えられました。


教育実習を引き受けてくれたアベ先生は3年生のクラスを受け持ってたんで、自動的に手羽もホームルーム・ショートホームルームは3年生を担当することになってたんです。ちなみにヨコちゃんは他の美術の先生が担当となり、2年生がメインクラスでそこで授業をやることに。

ほんとは担当クラスで授業をやるのがベストですが、3年生はレコードジャケット制作に既に入ってて(まだ「レコードジャケット」でもギリギリ大丈夫だった時代なのです・・・)、「ジャケット制作だと教育実習生が教えがいがない」てな理由で手羽は1年で授業をやることなったよう。
・・・さっき、「そのクラスは寒色・暖色の説明がまだだった」と書いたけど、寒色・暖色の説明はやりやすいので、あえてそのクラスだけ手羽のために残してくれてたんです。「ああ。教職の授業で『予定してる流れを実習生が壊してるんだから実習校に感謝しなさい』って教わったのはこういうことか・・」と気づいた瞬間。

ここで、ある高校の先生からいただいたコメントを紹介しましょう!
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同じ教科の実習生が複数いるとお互いの授業を見られるから良いのだけれど、担当教諭の仕事は倍になります。複数担当教諭を充てられる教科は良いけど、美術なんかは各校1人。私も一度に2名実習生を担当したことありますが、実習日誌や指導案のチェックに時間がかかって大変でした。でも教え子から頼まれると断れません。
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手羽の行った学校は昔のマンモス校だから美術の先生は3名いたけど、確かに今じゃ各校一人しかいないでしょうね。リンクロウの中学も1人しかいません。
毎日の実習日誌や指導案作りで実習生は地獄を見るんだけど、受け持つ先生も大変だってことです。

「なんか実習へ行く学生さんにアドバイスあります?」と聞いたところ、
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実習の申込期日が1年前の4月で、申込期日も各校違います。過ぎちゃうと受け入れ人数に空きがあってもアウトになりますから、しっかり確認が必要ですよ(´・ω・`)
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だそうです。やっぱり1年前に連絡だったんだ。こことっても大事だよ!!


さて、話を戻して。
もちろんいきなり授業をやらされるわけじゃなく、数日は授業見学です。

1年生は「線を使って色を塗り分ける」という授業をやってました。
入試問題風に書くならば、「画面に『●cm×●cm』の矩形を書き、その中に直線●本、曲線●本、丸●個の指定された数の形を配置して平面構成しなさい」です(笑)
その塗りわけの際に「寒色・暖色」も絡ませて学ばせる・・というのがこの授業のポイントのよう。このクラスは既に「寒色・暖色」の説明は先週終わってて、今日は実際に絵を描くところから。

これがすごいんですよ。
独創的。とても思いつかないようなラインをみんな描くんですね。
一人ずば抜けてる子がいて、みんな意味のない幾何学的な模様を描いて色を塗っているのに対し、その子は「海と空と月」、つまり風景を表現してたんです。ちゃんと指定された形と数を使って。塗り分けもちゃんとできている。画面のバランスもいい。「こういう子が作家になったら自分の立場が危うくなる。若い芽は早くつまないと」と思ったくらいです。ほんとに(笑)
子供の柔軟な発想に本当に感動しました。

そして3年生の授業も見学。
これがショックで。
最初に書いた通り授業はレコードジャケット制作なんだけど、みんな目が死んでるんですよ。絵もつまらない。楽しい時間のはずなのに何かノルマをこなしてるような感じ。1年生が美術の時間にしてたキラキラした目や、1年生が描いてたようなあの感動的な絵はどこに行ったんだ??
この3年の間に一体何があったんだ?!
うっすら疑問を感じながらも、翌日の初授業のことで頭がいっぱいで、その日はそれ以上のことは考ることができなかった。


初授業は教育実習3日目の水曜日だったかな?今だと最初の1,2週間は授業見学することが多いみたいだけど、当時はすんなり授業を任されたんです。
指導案はすんなりOKもらい、いよいよ初授業の日。


中1といっても教育実習は6月だから、彼らは中学生になって2ヶ月しかたってないのね。まだまだ幼いんですよ。寒色・暖色の説明を一通りやって、「先生の説明した意味、わかった?」と聞くと、みんな「は~い!」と手を挙げてくれます。
あれは「う~ん、きゃわいい~★」と母性本能をくすぐりますな。あの時は「ああ。先生になりたいなーー」と強く思いました(笑)

次に「実際に色を塗ってみよう!」ということで、スケッチブックに適当にコンパスで丸を2個描いて、片方に寒色を、片方に暖色を塗らせることに。 そして机間巡視。
うん。よしよし。計画書どおりにペースが進んでる。みんなもちゃんと描けてるし、ぼちぼち次のステップにいくか・・・・・ん。一人だけ筆が動いていない女の子がいる・・・この子やる気あるのかな?もしかして反抗期?
「どうしたの?難しかった?」と声をかけると、「にこっ」と笑って絵の具のチューブを選んで手に取る。通りすぎて後ろをこっそり見てみると、絵の具を持ったままボーっとしてる。
うーん、気にはなるけど、この子以外はちゃんと理解してるみたいだし、そろそろ次のステップにいかないと時間的にまずいから先に進もう。


続くっ。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。