美大を卒業して何やってるの?第6話-ムサビ卒・una-pinaさんの場合

忘れた頃にこの企画をお送りする手羽です。

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この「美大を卒業して何やってるの?」シリーズは、ムサビ日記時代の2007年から「久しぶりに書いてもらおうシリーズ」として続けてきた企画です。
美大卒業後、彼らは何をし、何を思い、どんな変化が起きているのか。もしくは変わってないのか。
一年に一度、ムサビ日記・美大日記OBOGにリアルな現況を書いてもらうことで、同じ卒業生をずっと追っかける長編ドキュメンタリーにもなってます。


▼これまでの話はこちらをご覧ください。
美大を卒業して何やってるの?第1話-ムサビ卒・べべつこさんの場合
美大を卒業して何やってるの?第2話-ムサビ卒・珍念くんの場合
美大を卒業して何やってるの?第3話-東京藝大卒・zoominさんの場合
美大を卒業して何やってるの?第4話-ムサビ卒・helveticaさんの場合
美大を卒業して何やってるの?第5話-東京造形大卒・こやまくんの場合


第6話目は、ムサビ日記からuna-pinaさんに登場してもらいます!!

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・自己紹介
武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科インダストリアルデザインコースを2007年に卒業。
現在は主人と二人で関西のとあるクラフト村の森の中で自営業をしています。結婚4年目突入。

ムサビの受験対策をはじめた頃に拾ったウナと、ムサビ入学後に、日本画の子に上水で拾われ譲ってもらった、ピナという二匹の愛猫の名前をムサビ日記のハンドルネームにしていましたが、つい先日、父からウナが亡くなったと連絡がありました。
亡くなって、自室に自分でモチーフ組んでデッサンしたり無謀なことしてたのが13年も前だったってことに驚きました。(いや、よく受かったよね、何度考えても。)
 
 
・現状報告
ムサビを卒業してから、ひょんなところで知り合ったひとつ年上の男性と車一つで沖縄へ移住…の予定がそのまま彼の実家に居着くことになり、就職、彼の実家から200mの距離に引越し、離職&独立、結婚、店舗開業などを経ているうちにぞくぞくと友達と仲間が増え、今は週の1/3ずつ、カフェ、イベントやワークショップの企画と運営、英会話を教える仕事と、合間に自然農のグループを友人夫婦と4人で主催しています。
田舎暮らしですが、残念ながらまっっったく、スローじゃありません。
 
 
・日々思うこと
「半農半X」「サステイナブルな暮らし」「スローライフ」なんてコトバをここ数年メディアでもよく見かけるようになりましたが、私達の居るところには豊かな水と、土地があって、時間を拘束されず(サラリーマンなどでない)、自然と、上記のような方向にすすんできています。

以前の日記にもすこし書きましたが、3.11以降とくに、そんな想いが強くなり、自分の食べる物や着るもの、住まう場所を自分でつくりたいし、電気、ガス、上下水道などの「必要」と思い込んでいるものさえも不要とする生き方を求めるようになりました。(可能ならお金も持ちたくないけど…これはなかなか難しいですね。)
そしてそういうことに興味を持ったり、勉強していたり、行動していたり、、という仲間が増え、人が増えるとその分ぐっと広がりがでてきて、ウン千歩のうちの一歩か二歩か、理想の暮らし方に向かっている感じです。

あ、ちなみにバナーはタイ南部の田舎町で立ち寄った理想のマーケットです。
 
 
・学生時代は気がつかなかったこと
よく「一人暮らし」とか「自活」とか言うけど、「暮らし」って、夫婦だけとか、まして一人でなんて、作れるもんじゃないなあ、社会の中でかかわり合って、生かされて、暮らせているんだなあ、と遅ればせながら気づきました。

困った時に「助けて」って言って頼れる仲間を持つこと、
もしかしたら一部は会社とか、家族とかってくくりかもしれないけど、そういうのがもっともっとあったら、人生安泰だなあ、って思うんです。
もちろん逆に、誰かが「助けて」って言ってたら、飛んで行ってサポートしてあげられるチカラも、自分に必要だけど。
 
 
・美大自体の学びで役に立ったこと、立たなかったこと
大学が「美大」だったから役立った・役立たなかった、という経験は今のところ感じてません。(他美大卒の人と出会った時に「あら、あなたも?」みたいな妙な連帯感はあるけど。)
たぶん、自分の中にある「枯渇している何か」を探求することをやめなければ、正直、どこに進学していても、していなくても、大差なかったかなと思います。

ただ、国内でも海外でも「学歴」は否応なく評価対象になると感じます。
私の場合、「大卒」という身分と、「ムサビ」というブランドは、メリットにはなってもデメリットになることは少なかったかな。

そういえば何年か前、主人の実家にて学歴の話しになり、「(美大)に行ってました」と言ったのに、(医大)と聞き間違えられたことがあり、そのときの親族のどえらい反応に(これが学歴=ステイタスなのか!)と身をもって実感しました。笑
個人的には、出会ったその時、その人がどんな人で、どんなことを考えて、何をしてるかで付き合いの距離や深度を測ったりしてますが、まあ、一気に大勢に会ったときなんてそんな悠長なこと言ってられないから…その点、ここが人の少ない田舎で良かったなあ。
 
 
・今やっておくといいこと
デザイン系は手と体を動かすこと。
トンテンカンテンいろんな素材を自分で調達して、さわって、組み立てる感覚をモニターの前でごにょごにょする前につかんどかないと、ロクな物つくれないよね。
それに、将来運動不足確定なら今のうちに運動して発散する術を見つけとかないと、いつか絶対コケる。そしてコケたときの再起がきっつい。
あ、自分のことです。

ファイン系とクラフト系は、IllustratorとPhotoshopの基礎的な作業はできるようになっとくこと。
自分のセンスや技能を最も簡単&低価格で人に見てもらう方法は、よほどのチャンスに恵まれないかぎり、紙に落とし込んだり、webに載せたりするほかない。

たとえばアクセサリーの作家になったとして、
駆け出しでお金・(バイトなどなどでつぶれて)時間・余ってる体力もない時、名刺、ショップカード、アクセサリーの台紙、注意書き、パッケージ、領収書に押すハンコ、ブランドロゴ、HPとネットショップのデザインが…もしかしたらあなたの頭の中にはできてるかもしれないけど、それを現実にカタチにしようと思ったら、否が応にも、イラレなりフォトショなりをいじらなきゃいけなくなる。
外注して請け負ってくれる業者はいくらでもいるけど、デザイン料+印刷代+紙代…ってのはお財布的にキツい。
しかも、なまじ頭の中に完成型が描けてるだけに、自分でちゃちゃっとできそうでできないジレンマ。
とにかく、クラフト系とファイン系学生はそういうスキルを身につけとこう。
どーーーーーしてもイヤなら、早いとこデザイン系の彼氏なり彼女なりを取っ捕まえて、入籍して逃げられないようにしておくことです。
うちの場合、ダンナ(国立教育大 美術教育専攻卒)がそういうの一切オンチなひとで…ロゴから店のパンフレットから…HPの更新まで私がしてます。当然のように無償。トホホ。。


えー、相変わらずの散文になりましたが、
そして今回は一言もパンツとかウンコとか入れれなくて、つまんない日記になってしまいましたが、
手羽さん、久々に日記が書けて楽しかったです。
多謝!
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えーと、全然わからないと思うので補足すると(笑)、最初に書いた通りこのシリーズは2007年から始まってるんですが、ある時「うんこ」と文中にいれるのが流行ってしまい、「OB日記では『うんこ』をいれるのがルール」的になったことがありまして。美大生は小学生並みに「うんこ」が好きですから。

ちなみに「ムサビOBの自然派は誰?」と聞かれたら、手羽は真っ先に農業生産法人 自遊人ファーム取締役であり、里山十帖クリエイティブディレクターであり、雑誌「自遊人」編集長岩佐十良さんが思い浮かぶんですが、岩佐さんもuna-pinaさんと同じ工芸工業デザイン学科卒です。
でも、「ただの自然派」じゃなく、「デザイン思考の自然派」かな?
この記事をご覧ください。
「データ重視」の仕事に潜むこれだけのワナ | 「若き老害」常見陽平が行く


PARTNERでも東北芸工大卒業後、自立型の暮らしをされてる飯塚さんの記事がありましたね。


山形で針仕事と畑仕事。自立型の暮らしを目指したきっかけはアトリエで生まれた疑問




今日のまとめ
●超インドア派で虫も殺せないような手羽は、とてもuna-pinaさんや岩佐さん、飯塚さんみたいな生き方はできない・・。


よし、手羽美術大学★開設の野望がまた一歩近づいた!!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹と西原理恵子とみうらじゅんと羽海野チカと銀魂と合体ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し日夜奮闘中