この「美大を卒業して何やってるの?」シリーズは、ムサビ日記時代の2007年から「久しぶりに書いてもらおうシリーズ」として続けてきた企画。
美大卒業後、一体彼らは何をし、何を思い、どんな変化が起きているのか。もしくは変わってないのか。
一年に一度、ムサビ日記・美大日記OBOGにリアルな現況を書いてもらうことで、同じ卒業生をずっと追っかける長編ドキュメンタリーにもなってます。
▼これまでの話はこちらをご覧ください。
■美大を卒業して何やってるの?第1話-ムサビ卒・べべつこさんの場合
https://partner-web.jp/article/?id=151
■美大を卒業して何やってるの?第2話-ムサビ卒・珍念くんの場合
https://partner-web.jp/article/?id=181
ムサビ日記メンバーの方が多いからどうしてもムサビ卒が続いちゃうんだけど、皆さんお待たせしました!
熱望の第3話目は、この3月に卒業したばかりの東京藝術大学卒・zoominさんです!!
しかも彼女はただの東京藝大卒ではありません。
ムサビで1年仮面浪人して藝大に行った、ムサビの裏切り者なのです!(涙)
さ。張り切ってどうぞ!
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長らくご無沙汰しております。東京藝大のzoominです。
手の動くままに綴ってみたら、冒頭から社内業務メール張りのテンプレ文章に…
かつて美大日記の方で書いていたのですが、
新参者でしたので、ご存知ない方も多いかもしれません。
そんな人もいたんだな…という感じで読んでいただければ…
わたしは美大日記が終わった時点で学生だったので、OG日記を書くことも許されず
沈黙を守り続ける他なく、もしやこれでフェードアウトして、手羽さんとも今生の別れとなってしまうのか…と思って卒業したわけですが、
わけあって昨年秋、
某デザインアワードの某授賞式にて感動の再会。
(笑)
といっても、登壇ドッキリ状態で…
手羽さんきてるかな?と思ってたけど、気づいていただけて逆にびっくりした
受賞者本人がSNSで報告する前に会場から高速でタグ付け更新してイイネをかっさらい、ストーカー親族ばりに写真撮影していただき、後日くわしいレポートまで書いていただき…
ムサビの先生方が審査員として参加されていて、デザインラウンジの関係もあるからだとは思いますが、長年見てきたからこそ書ける記事はさすがとしか言いようがなく、熱心ですばらしいなと感激いたしました。
いろんな手羽さんのレポート読んでるけど、実際書いて頂くとすごくうれしいということもわかりました。
まあ、受賞者にムサビ生はいなかったみたいですけどねw
今年はいっぱいいるといいですね!
そういえば某JA◯DAの学生ポスターコンペも芸大祭りでしたね。
でもわたしはムサビも芸大も応援してます。笑
受賞者同士でもはなしていたけど、A3ボード一枚でここまで大事になるコンペってそうそうないと思うので、チャンスとおもってふとしたアイデアをぶつけてみてはどうかと思います。
(ここまで書けばわかるか)
ある方は、締め切り前日に飛行機の中でハッと思いついて応募したそうです。
わたしはバイトの時ボーッと皿を眺めてて思いつきました。
そのようなひらめきを、ちょっと磨いてみてはいかがでしょうか〜
さて、美大卒業生のその後…ということで。
一浪&仮面浪人一年の末入学した芸大をやっと卒業したのが3月。
労働の始まったのが4月。
そしてこれを書いている今、7月頭。
まだ3ヶ月かよと思うかもしれませんが、このタイミングなりに思う所はある訳で、まず今置かれている状況についてご報告を。
わたしはデザイン科でグラフィックデザインの勉強をしていましたが、今働いているのはアトリエ系建築設計事務所です。
「グラフィックチーム」と仰々しく銘打っておりますが…
いまのところ全200人ほどの社員のなかで私一人です。笑
社内でおびただしい数同時進行している各プロジェクトに紛れ込んで出来る範囲の事をやります。
ほとんどが設計のスタッフで、ほとんど男。
留学経験者多数、三分の一くらい外国人スタッフ。
というわけでわたしは、
【学部卒】【モノリンガル】【女子】
という社内のマイノリティ要素を一手に引き受けるレアキャラ的存在として、日々奇異の視線に怯えながらものびのびと労働しています。
なんでこんなことになったか…といいますと、
3月 本命のデザイン会社ほぼ一本で就活する
↓
5月 落ちる(ショックのあまり落ちた翌日の始発で京都へ)
↓
6月 デザイン事務所でどこか探そうかな〜というタイミングで先輩の後釜として設計事務所バイトに誘われる
↓
7月 学生バイトで働きつつ2社くらい訪問するも撃沈
↓
ある日人事の方にフルタイムでやらない?と言われる
↓
えっいいの?じゃあ正社員がいいです【採用】
こうしてみるとサラッとしてますが、実際気持ちは結構キツかったです。
ほんとに行きたかった会社にいけなかったけど、
でも就活中感じていた違和感として
「グラフィックの事勉強したいと思ってるが、特定の環境に執着しているし、他力本願じゃないか?」
「そもそもわたしって、言う程グラフィックに特化できてないのでは?」
というのがあって。
かといって、悩み続けて大学院に行っても惰性で過ごしてしまう気がする。
どうしたもんかな…やっぱどこかで、なにかしらのスキルをつけるために働かなきゃな…
うじうじ未練タラタラしている所に、先輩がバイトに関して声をかけてくれたということです。
次に、具体的な業務。
バイトとはいえ、普通に竣工間近の物件のサインやロゴを作ったり、事務所のポートフォリオを作ったり、コンペの提出資料を作ったりパースのスケッチを書いたりと、かなり重要な部分を請け負っていて、入った当初は責任の重さにどん引きしました。
ちょっとこれ、学生が片手間にやって良いレベルじゃないな、と思いました。
そこから、集中してとりくめたらもっと成果挙げられるのにな〜、よい仕事ももらえそうなのにな〜と、ふつふつと欲が出てきて
それがつたわってしまったのか…(自分で言ったかもしれない)
元々、ここに限らず建築事務所内(建築界隈)にはたくさんのグラフィックの需要があって、同じように建物をデザインしているわけだから親和性も高いはずですが、外注する時間も予算も労力も馬鹿にならず、クソほど忙しい設計の現場では理想はあってもなかなか思う様にいかないのが常です。
そんな中にどっぷり入って、理解して、一緒に並走して働くデザイナーがいることは、事務所にとってかなりプラスになる。(と思う)
そして、仕事に責任を持ってやらせてもらえる。
世界中で大きな仕事に関われる。
魅力はすごくあるけど、学生として、グラフィックのことばっかり考えていた時には想定していなかったベクトルやスケールのことで、やりたさはありつつも、
(まじかよ…これだいじょうぶかよ…サインとか習った事もやったことないし誰も教えてくれないよ…)
(万が一はいって失敗したらどうすんだよ…チラシとかなら捨ててもらえるけど建築て…)
とずっと悩んでいましたが、高校の時校長先生が
「迷ったらどうなるかわからない方を選べ」
と言っていたのを都合良く思い出し、今に至るというわけです。
今日は気分がよいのでこんなふうに仕事について前向きに書いていますが、めちゃくちゃ絶望的な気分のときもあります。するとぜんぶの解釈も真逆に…
人間なので…
でもとりあえず、日々たのしくやっております。
【余談】
いまこのタイミングで、これから新入社員になる予定がある方に言える事があるとすれば、
「入って最初の一ヶ月はスライム風呂で全力疾走するレベルの体力と気力が必要なので決してくじけない」
「落ち込んでも無理してつよがらずとりあえず落ち込んでおく」
「最初の月は服や定期などなにかと入り用だが、初任給までは学生時代の貯金で暮らすのでその覚悟で構える」
てこと…
最初の方は、暇ゆえに一日が全然終わらなくて時空がゆがんだのかと思った。怖かった〜
あと手羽サンリクエストから
■「美大自体の学びで役に立ったこと、役に立たないこと」
○役立った:
課題や仕事に必要で、自分で必死で調べて覚えて練習したこと
しらない分野からの無茶ブリに動じずに取り組む精神力と寄り添う気持ち
×役立たない:
肩書き、受賞歴などは他分野に行くとほとんど無価値
(なんかすごそうって感じは出るけど、結局仕事の実力勝負)
冒頭からのこの流れはアレですが笑
■「今やっておくといいこと」
運動
それでは、また。
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そうか。
迷ったからどうなるかわからない藝大を選んだのね!(あくまでもポジティブ)
思い起こしてみると、zoominさんに最初に会ったのはこのPARTNERを運営する(株)モーフィング主催「THE SIX」展なんですよね。これも何かの縁かもしれません。
http://www.m-inc.jp/?p=thesix
・・・だったような気がするんだけど。その前に会ってるかな?覚えてないや。適当です。
あのね。
ムサビを裏切って藝大へ行った人にバカにされるのはもう嫌やねん。
お願いだから、お願いだから今年はムサビ関係者受賞してください・・受賞したらアメちゃんあげるから・・・。
某デザインアワードのエントリーはこちらからどうぞ。今日デザインハブで説明会もあるよ。
http://www.tokyo-midtown.com/jp/award/design/
(ここまで書けばわかる)
今日のまとめ
●手羽美★のインセンティブはアメちゃん
よし、手羽美術大学★開設の野望がまた一歩近づいた!!
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。