【宮崎・鹿児島ツアー番外編】しょうぶ学園と知覧特攻平和会館と高崎正治都市建築事務所に行ってきた

2025年7月17日(木)

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宮崎・鹿児島シリーズをお送りしています。これまでの話はこちら↓
【宮崎・鹿児島ツアー1日目】宮崎県立佐土原高校と「かくかくじかじか」聖地巡礼に行ってきた
【宮崎・鹿児島ツアー2日目】宮崎県美術系大学・短大説明会をやってきた
【宮崎・鹿児島ツアー3・4日目】ポンちゃん絵画教室と松陽高校とカルミア美術研究所といづろ画塾に行ってきた
 
オープンキャンパスシリーズで遅くなりましたが、鹿児島編の続きを。
 

仕事は7月7日(月)の夜で終わり、有休取って1日多く鹿児島にいました。
でも鹿児島は修学旅行・家族旅行含めて今回で4回目なんで、観光地はだいたい見てしまってるから、前々から一人で行きたかった場所を回ることに。
   
まず鹿児島市内から車で1時間弱の場所にある、

太平洋戦争末期の沖縄戦で、特攻出撃の拠点だった旧陸軍の特攻最前線基地「地知覧飛行場」跡にあります。

館内は撮影禁止だからこれくらいしか写真はないけど、特攻隊員1,036名の遺影、遺書、手紙、辞世や海中から引き揚げられたゼロ戦実機など約4,500点が展示されています。
数年前にリニューアルをされたそうで、立体・映像資料も多く今時な展示になってました。
これを見ると「二度とこういうことをやっちゃいけない」と強く感じますね。
 
お昼になったので、知覧茶屋へ。

基地近くに軍指定食堂「富屋食堂」を営み、多くの特攻隊員の面倒を見たことから「特攻の母」と呼ばれた鳥濱トメさんの曾孫さんが料理長をされるお店。時間帯によって結構混むと聞いてたんで、事前予約してました。

鶏とごぼうの釜めしとうどんセット。宮崎にいる時からどうしても南九州でうどんを食べたくて。

ここから鹿児島市内に戻り、某所へ。
それはどこかというと、

高崎正治都市建築事務所です。
ここへ行くことになった経緯は話せば長くなるんですが・・というかこのオープンキャンパス直前のクソ忙しい時期に有休を取った理由の1つでもあるんですが(笑)
 
11月に武蔵野美術大学美術館・図書館でこのような展覧会があります。
甦るポストモダン──倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治、デザインの人間主義

会期:2025年11月24日(月)-12月21日(日)
時間:11:00-19:00(土日祝10:00-17:00)
休館日:水曜、展示準備期間、入構禁止期間
入館料:無料
会場:展示室3
主催:武蔵野美術大学 美術館・図書館


美術館・図書館グループ長時代に、建築模型の搬出で美術館スタッフが鹿児島出張の申請を出してきたんです。よく見ると手羽も広報の仕事で鹿児島にいるタイミング。
その搬出元の事務所自体がすごい建築物だそうで、「美術館グループ長なら見ておいた方がいいですよ」と言われ。

で、「それなら業務扱いにしてもう1日鹿児島に残るか」と東京へ帰る飛行機を1日遅らせホテルも延泊したの。なんなら搬出も手伝うか、と。
でも6月に人事異動で美術館・図書館グループ長じゃなくなり、「仕事で」という理由がなくなったけどそれで顔を出さないのもなんなので有休にし、ホテル代も自腹にした、というわけです・・。
 
でも、ほんとすんごい建物で。
先ほどの写真で上部が卵型になってるのわかります?

これ、下も

上も浮いてる。
「浮いてる」てのは大げさだけど、しかしよく作ったなあ・・・設計者もすごいけど大工さんもすごいですよね。
ぜひ11月の展覧会、楽しみにしててください。


そして、もう1か所昔から行きたい場所がありました。
それは

しょうぶ学園さんです。
1973年に知的障害者支援施設として誕生した。芸術・工芸・音楽・食などの創作活動を通じて、障害のある人々が「その人らしく」生きることを支援するユニークな施設。

2013年に「新しい福祉デザイン」として「SHOBU STYLE」がグッドデザイン賞を受賞した時から「一度行ってみたいなあ。でも家族旅行じゃ無理だなあ」と思ってたんです。手羽の親は養護学校の教員をやってたのもありまして。

ピンボケしちゃったけど、マップはこんな感じ。
イラスト以上に広い空間でした。
あ、1月に樺山学長、篠原学長補佐、新見館長も訪問してるのだけど、それは全くの偶然。

手作りのツリーハウスがあったり、

ヤギさんたちも飼われています。

真ん中の芝生でグルっと動画を撮ってみました。

あらゆるところから視察に見えてるそうで、動画に写ってるのは障害者施設のPTA団体。
団体対応でお忙しいタイミングだったんですが、手羽1人にデザイン部の職員さんが付いてくれて、丁寧にご案内いただきました。
あ、見学は事前予約が必要で、かつ見学できる曜日が決まってるのでご注意ください。手羽は鹿児島出張が決まってすぐに事前予約しました。

2006年に老朽化した施設の大々的な建て替えを行い、その際にグランドデザインと新たな施設設計をアメリカ人建築家ウィリアム・ブラワーさんに依頼されたそう。
こちらの建物h場鉄筋コンクリート造りだったから取り壊さずリノベーションだけ行い、壁全体に利用者さんの絵をペイント。今は地域交流スペース「Omni House」として活用されてます。
 
園内にはいくつかの創造工房があり、まずは「和紙・絵画造形の工房」へ。


  • 壁や床の絵は1人で描かれたそう


  • かなり立派な紙漉き場もありました

ギャラリーも併設。
 

こちらは入居者スペース。

「木の工房」
家具やボタンなどの木工製品を制作できます。


  • 専門スタッフが従事してて、かなり本学的な家具制作ができる設備

ここは漆工房。
どの工房もすごくきれいに使っているのが印象的でした。
 
一番感動したのは「 布の工房」ですね。

布の工房は、大島紬などの下請け作業所としてスタートし、今は下請け作業をやめて、裂き織り・刺繍を中心にオリジナルの作品づくりを展開されています。

なにが感動したって、

刺繍や縫製を中心とした「nui project」をやっていて、作品がもう美大生が作るそれなんです。
下北沢とかで普通に売られてても、全然わからない。

案内してくれた方から「布工房で働いてるのはムサビの日本画学科卒業生ですよ」と教えてもらい、ご挨拶させてもらいました。しょうぶ学園で働いてる美大卒業生は3人いて、一人がこちらのムサビ卒、ガイドをしていただいた方は女子美卒で、もう一人は瓜芸さんだとか。
造形活動と関係ある仕事でもあるので、全国の美大の就職課に職員募集案内を出してるそうだから、興味をもった学生さんはぜひ。こちらからも申し込めます

ちなみにしょうぶ学園内ギャラリーで「手描きとステッチのTシャツ展」を開催中で、どれもデザインがよくて。

ここは「土の工房」
陶芸作品やオブジェを制作します。

四角いお皿は石鹸皿で、ホテルなどに納品されててこのデザインは一番人気。
右端のキリンのオブジェは2時間ぐらいで作ったんですって。すごい・・・。
 
一度しょうぶ学園を出て、2分ぐらい歩いたところにある

しょうぶ文化芸術支援センター「アムアの森」へ。
子供・障がい者・地域住民の主体的な活動を推進するため、文化芸術活動を軸として、障がい者福祉事業と組み合わせた新しいかたちのアートセンター。
こちらも2021年にグッドデザイン賞を受賞しています。

アムアの森の設計もウィリアム・ブラワーさん。
曲線デザインを多用される建築家だそうで、陳腐な表現でアレですが、真っ先に「ジブリ美術館みたい」と思ってしまった。

地下1階・地上2階の建物で2階はゲストハウスになってます。
長期ドキュメンタリー撮影をされてて、この日は撮影スタッフの方が泊ってたそう。
 
1階へ。


  • キッチンとカフェ。


  • 「Art +」スペースで、ここにも制作してる方がいました

手羽のお気に入りは、チラシ紙から立体物をずっと作っている石野 敬祐さん
ずっとキャラクターやロボットを作っていたけど、最近は文字を立体化させることにはまってるそう。それがすんごくいいんですよ。

その他に1階には放課後デイサービスや未就学児スペース「KIDS+」も。


地下へ降ります。

ギャラリーラウンジ。
外観から想像つかないくらい地下が広い。


  • フロントをぬけると

コミュニティアートホール「アムアホール」
座席220席、控室もある立派なホールでイベント向けのレンタルもされてるそう。


1階に戻ると廊下に飾られたイラストが目に入る。

(立ち話だったので記憶違いだったら申し訳ないのですが)クリエイティブディレクターのイワタトシ子さんがしょうぶ学園を元にしたストーリーを思いつき、その登場人物が「amua」で、そこから「アムアの森」という名称がついたそう。

そしてしょうぶ学園を1つの惑星に例え、その中で働くスタッフと園生の姿を描いた絵本「『amua  ロバのひとみにすむ惑星の、はなし』」が2023年に完成。なんと構想5年。
文は作家の篠原芳子さん、絵はしょうぶ学園職員兼画家の薮下育絵さんで、その原画を飾ってるそう。
こちらは普及本で、しょうぶ学園工房で紙を漉き、その和紙に印刷し、表紙はしょうぶ学園nuiプロジェクトの刺繍を張り込んだ特別装丁本もあるとのこと。

「・・ん。薮下育絵さん?なんか名前を知ってるなあ・・」と思ってたら、「薮下さんはさっきの布工房で働いてるムサビ日本画卒の彼女ですよ」と教えてもらい、なんと学生時代から名前をよく知ってる方でびっくり。鹿児島に移住されてたんですね。こういうことがあるんだなあ・・。

見学が終わった後に園長先生ともお話することができました。
このために時間を作っていただいそうでありがとうございました。

おっと、いっぱい歩いたからお腹が減ってきた。 
しょうぶ学園には外部の方も入れるギャラリーやショップがいくつかあり、クラフトショップ以外に

こちらはパン菓子「ポンピ堂」

バスタ&カフェ「Otafuku」では、手作り生パスタとポンピ堂で焼かれたパンを食べれるってことでここでお昼を。

パスタも美味しかったけど、パンもゴボウのスープもデザートもめっちゃ美味しかったっす。

てなわけで、宮崎・鹿児島ツアーシリーズはこれにて終了。
来年も鹿児島は行きたいと思ってますんで、またよろしくお願いいたします。


以上、宮崎でスタッフ3人で鳥刺しを食べたんだけど、実は手羽以外の2人は食あたりになり、東京帰ってきて発症し点滴打ったり大変なことになってました、の手羽がお送りいたしました。
おかしいなあ。手羽も同じものを食べたんだけど、九州人だから鳥刺しの抗体があるのか、手羽だからなのか。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。