【Go To 京都シリーズ4】11月2日にオープンしたばかりの「QUESTION」に行ってきた

2020年11月11日(水)

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京都信用金庫「QUESTIONビル」です。
京都信用金庫河原町支店ビルを建て替えてできたのがこのQUESTIONビルで、手羽が今最も見たかった新施設。

でも、QUESTIONを紹介してる記事をいくつか読むと、「シェアオフィスやコワーキングスペースを併設」「大学や企業も」ぐらいしか書かれてなく、多分記者の方は「京都信用金庫が空いてるフロアにシェアオフィスを入れた」「大学生も入れる場所を作ってあげた」な理解で終わってるような気がして。
京都の他美大さんも「瓜芸がなんか関係してる施設」ぐらいの把握だと後で痛い目にあうはずなので、QUESTIONの本当の構造の凄さを手羽なりに分析してみます。

場所は京都市役所と京都ホテルオークラの目の前にある河原町御池。祇園祭の山鉾巡行ではこの交差点で辻廻しが行われるそう。

コンテンツの運営事業者(Core Partner)として、京都信金の他に、移住促進事業やまちづくり
事業をされてる(株)ツナグム、京都の未来を支える人材を育てるNPO法人 グローカル人材開発センター、そして学校法人瓜生山学園(京都芸術大学)が出資する(株)クロステック・マネジメントが名前を連ねてます。
この構造、少し六本木ミッドタウンのデザインハブと似てるかも(詳しくはまた後で書きます)


では、フロアを見ていきましょう。

地下1階、地上8階建て床面積約3300㎡の建物です。

1階には、

カフェバーのawabar。

awabarとは、awaモノ、スパークリングワインをメインにふらっと立ち寄れるお店として小笠原治さんが2010年12月に六本木ミッドタウンの近くに作ったお店で、のちにITベンチャー出会い系バーとして有名になります。

2号店が福岡店で、2018年に手羽も行ってます。
【創造の穴】ムサビ地域フォーラム「アート&デザイン2018福岡」に行ってきた【その1】

で、3店目が関西初上陸のこの京都の「awabar kyoto」なわけですが、何がすごいって京都芸術大学のクロステックデザインコース1期生4名が起業した「株式会社cheersity」が運営してるんですよ。
ちなみに「cheersity」とは、応援の「cheer」と大学を表す「university」を組み合わせた造語。

彼らです。

12月1日グランドオープンに向けて、クラウドファンドをやったら、
多くのストーリーが生まれてきたawabarが京都に、新しい挑戦と共にやってくる! - クラウドファンディングCAMPFIRE
50時間で目標金額の100万円を超えました。
今日はどんどん紹介しないといけないので株式会社cheersityの設立コンセプトはとりあえず上記サイトを読んでくださいな。詳しくは後日書きます。

1階の奥には、

昼間は喫茶スペースにもなるチャレンジスペースがあります。
チャレンジスペースとは、地域の起業家の新商品やクラウドファンディングで生まれた商品などをテストマーケティングできる場所。
「お店を出す」ってかなり大変な冒険ですよね。
その前に


  • この屋台を使って販売してみることができる、と。

この日は、龍谷大学の学生3人が獣害をもたらすシカやイノシシをジビエ(野生鳥獣肉)として加工・流通させるために立ち上げた株式会社RE-SOCIALと、

「飲む点滴」「飲む美容液」とも言われているあまざけを、現代人のスタイル・感覚に合わせて提案する合同会社Amazake.Labがお店を出してました。

あ、そうそう。
(株)クロステック・マネジメントはこのビルのコンセプト作り以外に、ビルの内装や店舗什器も担当されてるんですが、

壁の絵は京都精華大学出身の銅版画家・舟田 潤子さんが担当されてます。
10月に放送されたこちらの番組に
銅版画家・舟田潤子|テレビ番組-京都知新
工事完成直後ぐらいの壁絵が出てきますね。


次に2階と3階にいきましょ。


  • コワーキングスペースです。

京都信用金庫・ツナグム・グローカル人材開発センターがチームを組んで、コミュニティマネージャーとして運営してます。
コワーキングスペースってただオープンして管理人を置くだけじゃダメで、利用する人の問いを具現化したり、マッチングしたり、「優秀なおせっかい役」がいるかどうかが成功のカギだと言われてます。
ここで勉強しました(笑)↓
コワーキングスペースサミット2018に行ってきた(東大も)

2階はオープンスペースが40席あり、


  • 3階は有料会員様限定で固定席有りの40席。


  • テレカンブースや


  • 法人登記できるロッカー、


  • シャワールームも完備。

4階は後日紹介するとして、5階は、

学生さんで利用者登録すれば、無料で使用できる「スチューデンツラボ」
NPO法人グローカル人材開発センターがフロアを運営・管理して、学生とQUESTIONを利用する企業が有機的につながっていけるようにサポートしてくれます。


  • 個室もあり、自由にプロジェクトやイベントで利用できます。


  • この椅子に座ったら寝ちゃいそう・・。

ちなみにこれはオープン時に京都市長が書いたもので、「お前もな」とツッコミが入ってたらしい。

 
6階の紹介は後回しにして、7階は130名を収容できる会議室「Creative Commons」
8階は、食を通してコミュニティを創出するコミュニティキッチン「DAIDOKORO」

大人数のレセプションやモニタリング食事会ができるし、祇園祭の日はここで飲みながら観戦もできる、と。最高。


  • プロ仕様のキッチン。やっぱりコワーキングスペースといえばキッチンですよね


  • 大量の炊飯器。カレーをおもいっきり食べれる

少人数から利用できる会員制度「美食倶楽部」が同時に立ち上がっています。
美食倶楽部
コンセプトは「みんなで食材を持ち込み、思い思いに自分たちの好きな料理をふるまって共同調理を楽しむ」。今日11日は体験会があるそうです。
ただ、東京の人間からすると、食事はともかく調理中に誰もマスクつけていない上記サイトの映像は恐怖しかないのだけど、京都だとこんなもんなのかな。

 
利用したくなったあなた。
コワーキングスペースなどのメニューはこちらです。

 
で、手羽がこのQUESTIONを見て「うまい構造だなあ。てか思ってもやるか?!」と一番関心したのが、

6階に京都信用金庫 河原町支店が入ってること
京都信用金庫さんの窓口にいらっしゃるのは、これから起業する方や経営困難な方も多くいるはずで、コワーキングスペース、シェアオフィス、コミュニティキッチン、人のたまり場があるのって、すごく理にかなってると思うのです。デパートの中にギャラリーやサテライトオフィスを作る大学・美大も多いですが、全然それらより関係性が強い。


ところで。
冒頭に書いた東京ミッドタウンデザインハブは、日本デザイン振興会(JDP)、JAGDA、ムサビのデザイン・ラウンジの3団体で構成されていて、日本デザイン振興会さんがデザインハブのまとめ役・町内会長役をやってくれてますが、基本的には3団体がイーブンの関係でデザインハブ全体の企画運営をやっています。

デザインハブの一番奥にある日本デザイン振興会さんには、課題を感じてる企業や地方自治体の方が相談に来訪されることが多いので、その手前にあるJAGDAさんやムサビのデザイン・ラウンジに帰り道に寄って「困ってることがあるんでムサビと何か一緒にやれないか」といきなり商談がおこなわれたことが何度もありました。

QUESTIONは単なるフロア貸しではなく、運営事業者(Core Partner)をイーブンな関係にしてるところが構造的にデザインハブと似てるような気がして、デザインハブの構造を縦型にしたのがQUESTIONと考えると理解しやすいし、なおかつ奥に信用金庫があるってのがかなりの強みになってる。
また、ムサビ市ヶ谷キャンパスのコンセプトとも似てて、MUJIcom 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスを「単なる店舗」ではなく「共創スペース」と呼んでるのは、そういうことで。
これがわかってないと「『瓜芸が京都信用金庫のビルでなんかやってる』程度の理解になっちゃう。

でもそれにしても、京信さんの持ちビルなんだから普通なら1階の一番いい場所、入りやすい場所に窓口を設けるはずなのに、それをあえてエレベータを使わないといけない不便な6階にするって、思ってもやらない(笑)
また、儲けようと思ったらこんないい立地なんだからフロア貸しするのが一番なのに、「これから」を考えて実験的な創業コミュニティづくりを優先された。
京都信用金庫さんの勇気と判断はほんとすごく、そこが一番の「イノベーション」「デザイン」じゃないかと。
見える、見えるぞ!来年グッドデザイン賞に申し込んでる姿が!!


おっと、そろそろ1時だ。

メインイベントが始まる。
このために京都にやってきたようなもんで。

続くっ!!


以上、これからQUESTIONへ見学に行く人が「なんだ。手羽ブログでだいたいわかっちゃうじゃん。ただボーと説明受けるだけじゃもったいないなあ」と思って欲しくて記事を書いた、性格の悪い手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。