【Go To 京都シリーズ2】KYOTO STEAM 2020国際アートコンペティション スタートアップ展に行ってきた

2020年11月9日(月)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

日帰り京都シリーズをお送りしています。
前回までの話はこちら。
【Go To 京都シリーズ1】京都市京セラ美術館に行ってきた【改修工事終わった!】

というわけで、

京都市京セラ美術館に来ております。


で、まず京都へ行くひとつめの目的だった「見たかった展示」ってのがこちらです。
KYOTO STEAM 2020 国際アートコンペティション スタートアップ展

●会期:2020年10月31日(土)-12月6日(日)
●休館:月曜日休館。月曜日が祝日の場合は開館。
●時間:10時~18時
●会場:京都市京セラ美術館 東山キューブ
●事前予約制


コロナで中止になった「STEAM THINKING-未来を創るアート京都からの挑戦 国際アートコンペティション スタートアップ」展と「STEAM THINKING-未来を創るアート京都からの挑戦アート×サイエンス GIG」に出展予定だったアーティストや大学が研究機関、企業とコラボレーションした作品をまとめた展覧会です。
また、2021年に開催予定の
KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション
のスタートアップ事業に位置づけられているのがこの通称「スタートアップ展」だったりします。

STEAMを大々的にテーマにした展覧会もそうないし、出展研究機関・大学が、
・市原 えつこ(メディア・アーティスト) × デジタルハリウッド大学院/株式会社ハコスコ
・京都芸術大学(旧名称 京都造形芸術大学) × 株式会社SeedBank・木元克典(海洋開発研究機構)・仲村康秀(島根大学)
・林 勇気(映像作家) × 京都大学 iPS細胞研究所 (CiRA)
・京都工芸繊維大学 × 渡辺社寺建築有限会社ほか
・京都市立芸術大学 × 京セラ株式会社 みなとみらいリサーチセンター・塩瀬 隆之(京都大学総合博物館准教授)・富田 直秀(京都大学大学院工学研究科教授)
と、かなり面白そうな組み合わせなんすよ。
なんせSTEAM教育によって生まれたスタートアップですよ。
「7日午後のイベントだけで京都に行くのは・・ちょっと悩むなあ」と思ってたんで、この展覧会の存在が京都行きの背中を押してくれる形になりました。

上記作品は美術家・森太三さんと太陽工業株式会社による「膜のはざま」。
太陽工業株式会社はテントやドームなど「膜」を得意とする会社で、太陽工業株式会社から提供された廃棄予定の膜材を森太三さんが作品にする、という形。
裏側を見ると、

こんな感じ。

美術家・久保ガエタンさんと株式会社コトブキ ・ 株式会社タウンアートによる「きのどうぶつ」。
両社ともパブリックスペース・パブリックアートを得意とする会社で、こちらも提供された使い古された公園の遊具を使って久保さんが作品にしています。

京都市立芸術大学×京セラ株式会社 みなとみらいリサーチセンター・塩瀬隆之(京都大学総合博物館准教授)・富田直秀(京都大学大学院工学研究科教授)による作品。
日本画家が人工知能や医療工学の専門家とのワークショップを重ねて探究したプロセスを展示。

パナソニック株式会社/curiosity 株式会社は現実世界とバーチャルの世界の狭間の世界を表現したインタラクティブ作品「Interference」を制作。
動画の方がわかりやすいのでこちらをご覧ください。

メディア・アーティストの市原えつこさんと デジタルハリウッド大学院・株式会社ハコスコによる「仮想通貨奉納祭」。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
テクノロジーで社会を拡張するアートとは。KYOTO STEAM 2020 国際アートコンペティション スタートアップ展 参加アーティスト・市原えつこインタビュー|美術手帖

京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab は、歴史的な都市や建築、工芸をレーザースキャナーや 3D プリンターなどのデジタル技術で保存・再生するプロジェクトをやっていて、今回はそれらのプロジェクトのプロセスを ARで再現する作品。

メディア・アーティストの鈴木太朗さんと西陣織の伝統を引き継ぐ有限会社フクオカ機業による「水を織る」。

メディア・アーティストの八木良太さんとスクリーン印刷の総合メーカーとして 70 年の歴史を持つ美濃商事株式会社による「Resonance」。こちらはモアレを使った作品。

美術家の大和美緒さんと 計測機器、産業機器等の多様な製品や技術を有する株式会社島津製作所による「under my skin」。
島津製作所から分析計測技術の提供を受けて、大和さんが自分の血液細胞を観察し、そのイメージをガラス板に赤い絵の具で描きだした作品。

京都芸術大学(旧名称 京都造形芸術大学)ウルトラファクトリーと株式会社 SeedBank・仲村康秀(島根大学)・木元克典(海洋開発研究機構)による「Seed of Life(生命の実)」。
(株)SeedBankは、珪藻を主とする藻類の研究開発や培養製造・販売をしている京大発バイオベンチャー。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
アート×サイエンス・テクノロジーの可能性を探る。「KYOTO STEAM 2020 スタートアップ展」にて、現代美術家・ヤノベケンジ率いるウルトラファクトリーが新作を発表!:時事ドットコム


展覧会の感想は、「あ。STEAM教育の展覧会じゃなくてアート×サイエンス・テクノロジーの展覧会なのね」かな。
STEAM教育とは、もともと科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)を統合的に学習する理数系の「STEM教育」に、創造性や課題解決力のアート(Art)を組み合わせて生まれた造語。ずっと文科省は「STEM教育」を使ってましたが、最近ようやく「STEAM教育」になりました。
そういう「思考」を見せる展覧会だと思ってたので、「アーティストが企業からモチーフ・素材提供を受けたメディアアート」「アートとサイエンスの足し算(融合ではなく)」感が強く、「これがSTEAMのスタートアップなの?!」と違和感がずっとありました。「スタートアップ」もイメージしてた起業って意味の「スタートアップ」と違うし、なにか誤誘導された感じ。
でも、「STEAM教育」「起業」とは一言もいってないし、お金を取って見せるための「展覧会」ではこうなるんでしょうね。


美術館を出ようとしたら、新しく出来た「ザ・トライアングル」で

木村翔馬さんの「水中スペック」という展示をやってました。
木村さんはこの春京都市立芸術大学大学院を修了したばかりの方で、この「ザ・トライアングル」は京都ゆかりの新進作家を育み、気軽に現代美術に触れる場として生まれた場所なんだそう。


  • 落書きされたもんとばかり・・

見たい展覧会も行けたし、次は二つ目の目的地に行くか!

というわけで着いたのがこちら。

続くっ!!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。