【キャリアステップの考え方】君も大学職員になろう3

2019年9月8日(日)

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2019年9月8日現在、学校法人武蔵野美術大学が専任職員の募集を行っています。

学校法人武蔵野美術大学 専任職員募集概要
●雇用形態:専任職員(総合職)〈正職員〉
●募集人員:若干名
●勤務地:鷹の台キャンパス、吉祥寺校、市ヶ谷キャンパス
●採用期日:2020年4月入職
●応募条件:
1)4年制大学卒業以上
2)2020年4月1日時点で、35歳以下(若年層の長期キャリア形成を図るため)
●応募方法
1)マイナビ所定ページよりエントリー
2)応募書類を期日までに送付
●応募締切日:2019年10月14日(月)17:00エントリー完了、10月15日(火)17:00応募書類必着


いい機会なので大学職員・美大職員について、数回に分けてお届けします。
これまでの話はこちら。
【参考になる情報はどこにある?】君も大学職員になろう1
【大学の事務組織編】君も大学職員になろう2


15年ぐらい前まで大学業界では「大学職員はスペシャリストであるべきか、ジェネラリストであるべきか」という論争をやってた時期がありました。
当時は「全員スペシャリストであるべき派」を指示する声が多かったけど、なんとなく現在の現場感は「ジェネラリスト派」、つまり「いろんな立場や視野から意見言えて見通せる人の方がよくね?」派が昔より強くなってきてるような気はしてます。

スペシャリストの存在は必要なんだけど、「中堅になりました。でも他の部署がどういう仕事をやってるか、他大学の状況がどんな感じか全然知りません」となった時の怖さを実感し始めたのかもしれません。その人の成長・伸びしろや数年後の組織のことを考え、「若いうちにいろいろ経験した方がいい。全員がスペシャリスト(プロフェッショナル)である必要はなく、数人でいい」という流れになってるんじゃないかと。

なので多くの大学では数年で部署を移動する「ジョブローテーション制度」を導入しています。ムサビや女子美はだいたい3~5年で別の部署へ人事異動することが多いです。タマビは・・20年ぐらい同じことが多いかな?

もちろんジョブローテーションにはメリット・デメリットがあります。
今日は手羽を例にして書いていきましょ。


入職後、広報課を希望してたけど、最初は教務課に配属されました。
そこでカリキュラムや学事がどう動いてるのか、学科研究室がどう運営されてるのか学んだし、学内の備品や教室を全部覚えました。全然自慢にならないけど今でも教務課時代にあった建物なら教室の室番と使われ方、利用可能人数、ドアの位置、現在地からの最短ルートを全部言えます。全然自慢にならないけど(笑)
母校出身といっても自学科以外のことは全くわからないもんで、教務での一番の学びは「各学科によって学生や教員の気質が違う」のを知れたこと。「美大の教育」と一色単に考えると薄っぺらいことになる危険があり、今でも一番役に立ってる経験かもしれません。


次は情報システム課
大学WEBとサーバ管理やってたんで、当時はLinuxコマンドもHTMLもCSSも一応は書けてました(もう全部忘れたけど)
ここでの学びはサーバースキルより「インフラや仕組みの考え方」ですね。
電気、水道、ネットワークなどは「ちゃんと動いてて当然」ではなく「なんもしなければすぐに止まるものをなんとか動かしてる」がベースにあるってこと。「止まって当然」なんです。
仕組みも同じで、順調に動いてる仕組みも「たまたま」順調に動いてることが多く、キーポイントプレイヤーが一人抜けるだけで減速や停止することがほとんど。「たまたま」順調だって認識。

そして念願の企画広報課に異動します。
広報での学びは「校正の仕方」「情報の出し方」とかいろいろありますが、一番はやっぱりムサビ以外の人と出会えたことです。
高校説明会や進学相談会で全国の高校生や先生、保護者に会え、そして何より他大学の広報職員と知り合いになれたのは、今の自分の構成要素としてすごく大きいと感じてます。
タマビの米山さん然り、桑沢の高橋さん然り、京都造形の吉田さん然り(今日頑張ってね)、東北芸工の入試の中の人然り。皆さんに会わなかったら、確実に今の自分はいません。
・・・なんかやめそうな文章ですね。まだやめませんから(笑)

ムサビ日記はもちろん、日本初のムサタマ広報職員対談記事(まだ公開されてた)に、2008年のムサタマトークに、読売新聞でのムサタマトーク紹介にと一番脂がのってた時期(今は物理的に脂がのってるけども)


そんな折、突然法人企画室への異動が発表されました。
法人企画なんてバックオフィス中のバックオフィスで、正直「このタイミングで異動させるなんて上の人は人を見る目がない!」「手羽を広報から出すなんて、ムサビがどうなってもしらんぞ!」とふてくされた時期もありました。
でも、あのタイミングで「法人業務」を経験できたことは、今思えばすごくありがたく感じてます。「法人職員として物事を考えることの必要性」を学べたし、多分広報課のままだったら「ムサビ愛好家」であっても「美大愛好家」なんて発想は生まれなかったはずで、美大日記も美大ラウンジブログ(裏)も、そして手羽美術大学★もやらなかったはず。

ちなみに当時「手羽が広報からいなくなるなんてありえない!」と言ってくれる教職員もいましたが、「組織である以上3か月後にはなんとかなってる」「1年後にはそんなことさえ忘れさられる」ことも学びました(涙)


また、ムサビ広報から外れたことによって「ムサビだけ宣伝しなくていいんだ」という考え方ができたので、美大愛好家としての活動は広報時代よりもかなり活発になっています。ムサタマトークを京都や熊本でやったりね。


その後、研究支援センターと社会連携チームの室長を兼務し、産官学連携、社会貢献、公開講座、大学間連携などを担当するようになりました。
武蔵野美術大学デザイン・ラウンジの存在が大きいですね。ラウンジの立ち上げにかかわってなければデザイン業界の構造やサービスデザイン、ビジョンデザイン等の存在を学べなかったはずで。


そしてこの4月に、

ヒト・モノ・カネを管理する部署に異動しました。
まだ語れるほど学べてません・・頑張り中です・・。


てなわけで、ずっと同じ部署でプロフェッショナル育成するのも全然アリだとは思いますが、手羽は自分の経験上からも若い時にいろんな仕事を通じて学んだことが今につながってるので「若い時はいろんな仕事を経験した方がいい。それが組織としても本人にとってもいいはず」派です。
決して計画的ではない「たまたま」の配属の順番にも感謝してて、社会連携チームなんて典型例。
いきなり配属されてもやれることは限られてたはずで、教務課と広報課、法人企画での経験があってこそ、と思っています。「知識」よりも「経験」「企画」「見極め」とかかな?


「プランドハプンスタンス理論」というキャリアの考え方をご存知でしょうか。
プランド・ハップンスタンスとは?偶発性とキャリア形成の関係を示す注目のキャリア理論をご紹介します - 『日本の人事部』
1999年にスタンフォード大学のクランボルツ教授によって提唱された理論で、日本語では「意図された偶然」「計画的偶発性理論」と訳されます。
数百人に及ぶ成功したビジネスパーソンへの調査の結果、その8割が「いまある自分のキャリアは予期せぬ偶然によってできた」と答えたそうで、これらの研究データに基づいて作られたものです。
上記サイトにいろいろ書かれてますが、つまりは「キャリアは偶然によって左右されることが多く、それらの偶然をポジティブに捉えられるかどうかが大事」ってこと。

よく「うちの人事は計画性がない」と怒られることがあるんだけど、個人的には「計画は大事だけど、本人や周りが偶然をポジティブに捉えられる力があるかどうか」も大きいんじゃないかなーとは思ってます。

 
以前の大学職員って「大学の事務処理をする人」ぐらいの扱いだったけど、
大学の事務職員等の在り方について|文部科学省大学教育部会(第44回)
大学設置基準等の一部を改正する省令の公布について(通知)(28文科高第1248号 平成29年3月31日)
大学事務職員の位置付けが法令的にも変わりました。教育研究の高度化・複雑化に伴って大学事務職員の業務や「求められるもの」も変化しています。
今は「言われたものを事務処理できりゃいい」ってわけにいかず(実際にはそういう人も何割かは必要だけど)、企画力・実行力・コミュニケーション力・教員や外部企業との協働力、外部資金獲得力等も必要になってきてる今、若い頃のジェネラリスト経験ってさらに大事になってきてるかもしれません。同1労働同1賃金的にも「専任職員に求められる仕事と能力」が今後さらに明確になっていくはず。
上記資料は職員採用試験を受ける人は読んでおいた方がいいし、大学教職員も知っといた方がいいっすよ。


以上、昔から教員の「事務方(ジムカタ)」という表現が好きくない手羽がお送りいたしました。
「お前らは事務でもやってろ」という印象を受けちゃうのは私だけでしょうか。

いよいよ次は美大職員の話。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹と西原理恵子とみうらじゅんと羽海野チカと銀魂と合体ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し日夜奮闘中