【ビダモン2018】美大実技試験の道具も進化してる!?

2018年2月7日(水)

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美大受験生の疑問にお答えする、略して「ビダモン!」シリーズをお送りしています。
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ムサビ中心に書いてますが、他美大入試でも参考になるはずです。


ムサビの学科試験Aも終わり、今日からタマグラ試験日。ムサタマ入試も山場に入ってきました。
んなわけで、今日は「道具」の話を。
こういう話を待ってたんでしょ?
あ、ただ手羽ブログなので、期待してるような話じゃないことだけは確かです(笑)


実技試験の試験監督やってると、
「うちらの頃はこういう描き方はなかったなあ」
「へー。今どきの画塾はこういう指導をされてるんだなあ」
「こんな道具が今はあるのか!」

というのがあるんですよね。
具体例は難しいけど、例えば木炭と鉛筆の併用や油絵にアクリル絵の具使うのもそのひとつかな。今じゃムサビ携行用具に「アクリル絵具可」とまで書いてありますから。
「木炭をパンじゃなくてネリケシで消す」って聞いた時もびっくりしたなあ。
手羽が受験した頃はなかったのに(知らなかったのに)今はそのテクニックを使う人が多いっていうのは、全然進化がなさそうな美大受験業界においても、微妙に進化(?)してるってことであり。


そう考えると、

デスケルが初めて発売された時は「な、なんて便利なものが発明されたんだ!!文明の勝利!」とみんな感動したんじゃないかと思うんです。それまで計り棒でやってたことが、もっと簡単に正確にプレート一枚でできる!

「これを使うのが流行最先端」「これを持ってるのが都会の人間」「お母さん、みんなデスケル使ってるから買ってよ。仲間外れになっちゃうよ」的な状態に当時はなったんじゃないかと。
デスケルっていつぐらいに登場したんだろ?


ただ、「美大受験でデスケル使ってるとバカにされる」という話もありますね。
「受験時にデスケル使うのは素人の証拠」「あいつデスケル使ってやがるぜ。オレの相手じゃない。ぷぷぷ」的な空気がやっぱりあります。個人的にはデスケルぐらいいいんじゃないかと思うけど。


デッサンといえば、最近よく受験生の道具の中で見かけるのが、



芯研器」。
この青いのを持ってる人が結構いるんです。10年前ぐらいはそんなに見かけなかったような気がするんだけど。

鉛筆デッサン時は独特の鉛筆の削り方をするので、普通の鉛筆削り器じゃダメなのね。
カッターで鉛筆を削ってる人の方がまだ多いけど、「へー、今はこんな道具があるんだなあ」と。
そうそう。美大受験生のいいところは「カッターを使えること」かもしれません。「今どきの子は鉛筆を削れない」と言われたりするけど、美大実技をやってる子ならもれなくカッターで鉛筆削れるんですよ。「カッターの使い方を知ってる」って意外と制作現場ではポイント高く。
手羽の時代はみんなカッターじゃなく、肥後の守で鉛筆削ってたっけ。


時代の変化といえば、昔だとデザイン系実技では「事前に色を作ってフィルムケースに入れて持っていく」てのがあったけど、もはやフィルムケースを確保することが難しくなりました。これも時代の変化。今は小さなタッパに入れて持ってきてる受験生がいますね。
また、試験でも制作現場でも昔はセロテープやガムテープを使ってたシーンが、今はマスキングテープや養生テープに変わったりもしてます。


美大受験の必須アイテムだった「ガラガラ」もこの数年で変わりました。

あ、「ガラガラ」ってキャリーカートのことです。
実技試験日はみんなこれに画材類をしばりつけて、美大までの道のりを「ガラガラ」と歩いたもんで。実技試験当日は八王子や小平中にガラガラの音が響き渡ります。でも大抵、途中で荷物が崩れちゃうんだよね(涙)

これが進化して、今どきの受験生はキャリーバッグなんです。最初見た時は「あ、その方法があったか!」と目から手羽先の皮が落ちる感覚で。キャリーバッグなら荷崩れする心配がないし、中身も見えないし、雨に濡れる心配もないし。 「なんで昔からこれにしなかったんだろ?」と思いました(笑)
数年前は「キャリーバッグ派がずいぶん増えたなあ」だったけど、今年は8、9割がキャリーバッグになってる印象。

 
道具といえば、募集要項に書かれてる携行用具は「試験を受けるために必要な道具」が書かれてるだけで「試験が終わってから必要な道具」は書かれてません。そして「こんな道具があると便利!」な情報もほとんどが「試験中のもの」。前と後に必要なものってほとんどなくて。
そう考えると、「サランラップ」「45Lビニール袋」は試験中使うものではないけど、前後でいろいろ使い道のあるグッズだからキャリーバックに隙間があるのなら持ってるといいですよ。
実技試験が終わって絵皿を洗おうにも流しが埋まってる。そんな時はサランラップかビニール袋にくるんで持って帰ればいい。水さえ捨てられればすぐに帰ることができます。ビニール袋はゴミ入れだったり緊急時雨除けだったり床マットだったり何かと使えます。
「ウェットティッシュ」は試験中も試験後も使える便利グッズ。実技の時は常に手をきれいにしときたいし、筆をきれいにしたい時にも使えるし。



手羽が入試で思い出す道具といえば、ツナギガスバーナーです。

受験の時、画塾の先輩が東京の美大入試直前につなぎを新調したんだけど、買ってきたばかりのツナギに油絵具をベタベタ塗りだしたんですよ。 「な、なにやってるんですか?!」を聞くと、「だって、きれいなままだと東京の人間にバカにされるでしょ。『あいつ、油絵素人だぜ』って。汚い方がうまく見える」という答え。
「なるほど。こういうハッタリ受験テクニックがあるのか。浪人したら自分も来年はこの方法を使おう」と思ったもんです。ちなみに手羽は現役合格し、その先輩は4浪して結局美大進学をあきらめました。 「そういうことを気にする時間があるんだったら、もっとやることが」ってやつです(笑)
周りの人のツナギや道具がすごく汚れてても、「おおお。こいつら、油絵をいっぱい描いてるっぽい(汗)ど、どうしよう」とビビる必要はありません。手羽の先輩みたいにエイジングをかけてるだけかもしれず、ただのハッタリかもしれないので。

そして、ムサビ油絵学科を受験した時、ガスバーナーを使ってる人がいて。
油絵を早く乾燥させるために試験中「ゴーーーー」と隣の人が突然やりだして、あれはビビったっなあ。6時間で油絵を完成させるってほんとは無理なわけで(笑)「いろんなテクニックがあるんだ・・東京の人はすごいなあ」と感心したもの。
あ、今はガスバーナーは禁止行為だと思うのでご注意を。最近の油絵学科受験生はキャンバスの裏にホッカイロを貼ったりしてますね。作品回収しようとしたら「おっ!」ってくらい重たくて、裏見たらホッカイロがみっちり張られてたことがしばしば。


受験の時に自分がどういう道具使ってようが、周りがどんな格好してようが、(違反じゃなければ)受かればいいんです。気にする必要ないっす。
周りが頭良さそうに見えるかもしれないけど、周りもあなたのことをそう思ってるはず。
「田舎もんだと思われたらどうしよ・・」とか関係ない。誰も気にしてないし、受験でも入学してからも地方出身だからとバカにされることもないです。
自分を信じるだけ。

どんなにいい道具を持ってても、最後は「自分の体調」が一番影響します。
「おお!そんな便利グッズがあるのか!」と世界堂とか東急ハンズに走っていく時間があるなら、睡眠時間に使った方がいいです。
うちのあかりちゃんも今週インフルBになっちゃったし、ほんとに手洗いはしっかりとやりましょ。
手羽も殺人者の「血が、血がいくら洗ってもとれない!」心理ぐらい手洗いしてます。


以上、インフルもそうだけど、転んで足の骨折ったりしないでね、の手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。