南方熊楠とは
南方熊楠が2017年に生誕150年を迎える。
粘菌、きのこ、密教、妖怪、神社合祀反対運動、猥談・・・とどまるところを知らない好奇心と、多岐にわたる研究活動に功績。Wikipediaでも南方熊楠は「日本の博物学者、生物学者(特に菌類学)、民俗学者」と紹介されていて、その研究対象の広さが伺える。
さらに奇抜な人柄も相まって、熊楠は今もなお多くの人を魅了している。
「難解」と思われがちな熊楠を読み解くヒントは、彼の膨大な「資料」
そんな熊楠の魅力が色濃くにじみ出ているのが、氏が遺した膨大な「資料」だ。
出生地である和歌山県・田辺に位置する南方熊楠顕彰館の尽力もあって、資料が散在してしまうことなく、良い状態で保存・保管され、研究がすすめられている。
知識の広さと深さから、どうしても難解なイメージがつきまとってしまう熊楠。その資料は何が書いてあるかわからなくても、まず、見た目がものすごい。まるで、熊楠の気迫がそのまま乗り移っているようだ。
幼少期から取り組んでいた、さまざまな博物書の「抜記」
熊楠の頭の中がびっしり書き込まれた十二支論考の「腹稿」
お茶目な絵がそっと添えられる「日記や書簡」
細密な線に淡い水彩が美しい「きのこ図譜」
僧侶・土宜法竜との往復書簡から生まれた「南方マンダラ」
2時間で読み解く!「文字資料」「きのこ図譜」「マンダラ」の3つの視点
熊楠が遺した資料から、どのような「南方熊楠」が見えてくるか。
熊楠は、自身の好奇心や研究をいかに考え、形にしていったのか。
2月5日、東京青山にある青山ブックスクールでは、南方熊楠顕彰会理事の田村義也さんを講師に招き、この南方熊楠の入門講座が開催される。氏が遺した資料を入り口に、「文字資料」「きのこ図譜」「マンダラ」の3つの視点で熊楠の主な研究を学びながら、熊楠とは一体どういう人だったのかを紐解いていくとともに、熊楠が遺した資料の美術的なおもしろさにも迫る。
「南方熊楠は気になるけど・・・難しい。」
「水木しげるの『猫楠』は読んだけど、熊楠自身の著作には手がつけられない。」
「熊楠のことはよく知らないけど、きのこ図譜って美しい!」
という人は必見の南方熊楠の入門講座だ。
「伝説」の熊楠、読み解けば読み解くほど伝説に引けを取らない人物だった
今回の講師、田村義也さんは熊楠についてこう語ります。
「南方熊楠は、読書人の間ではそれなりに名を知られた明治人ですが、日本語と英語による著作の内容が比較説話学から隠花植物研究までと幅広く、ときに奔放すぎることもあって、これまであまり読まれず、理解もされない人でした。そのため、いろいろな伝説が生まれてもいます。しかし近年、南方熊楠旧邸に残された資料の整理・調査が進んで、その研究活動と人となりの実相が少しずつ分かってきています。資料に即して新たに見えてきた南方熊楠の姿は、過去の多彩な伝説と比べてもひけをとらない興味深さがあります。視覚資料によって、そうした最新の南方熊楠像を、親しみやすくご紹介出来ればと思っています」
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田村義也 たむら・よしや
1966年生まれ。比較文学比較文化専攻。平成6年頃より、和歌山県田辺市の南方熊楠邸蔵書・資料調査に参加、『南方熊楠邸蔵書目録』『同 資料目録』を編纂。現在、南方熊楠顕彰会学術部長として同館所蔵資料の調査および翻刻事業に協力。成城大学非常勤講師。
編訳著書に全訳『南方熊楠英文論考([ネイチャー]誌篇・[ノーツ・アンド・クエリーズ]誌編)』『南方熊楠とアジア』『南方熊楠大事典』等。
>> 南方熊楠顕彰館公式WEBサイト
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▼開催概要
日時:2016年2月5日 (金) 19:00~21:00
料金:2,700円(税込)
定員:45名
会場:青山ブックセンター 本店内 小教室
>> 詳細はWebサイトにて
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