美大に入学される方の疑問に答える「ビダニュー」シリーズをお送りしています。
これまでの話はこちら。
■【ビダニュー2017】一人暮らしで買った方がいいもの。買わない方がいいもの
■【ビダニュー2017】美大入学式で新入生が気になる6つのこと。
今日は、必ずだれもが最初は通らなくちゃいけない「オリエンテーション」の話と、その近辺の出来事についてお届けします。
(1)オリエンテーションとは
オリエンテーション(通称オリエン)とは、一言で説明するなら「初めての人への説明」です。
200文字以内で説明するなら、いかにも仕事をつまらなそうにやってる大学職員が、ワードとエクセルでで作られた美大とはとても思えないデザインで、読む気が起きさせない明朝体10.5ポイント文字だけの冊子をもとに、低いテンションのまま同じ声のトーンで延々しゃべって、「これで眠くなるなって無理だよな」「ちゃんと説明したからね、と自分が言いたいがためだけの場なの?」「あんたら説明するんだったらプレゼンの勉強ぐらいしたら?」みたい退屈な会、です。これで199字。
「こんな長い単調な説明を聞くために美大に入ったんじゃねえ!早く絵を描かせろ!」と感じる気持ちもわかるけど、どの大学もどうしても最初はオリエンテーションが続きます。
東京美大のオリエンテーション日程を拾うと、
■武蔵野美術大学|【造形学部新1年生】平成29年度オリエンテーション日程
■多摩美術大学|【美術学部】2017年度オリエンテーションについて
■女子美術大学|2017年度オリエンテーションスケジュールについて
■東京造形大学|学部新1年生~新4年生オリエンテーション日程表
こんな感じ。
「美大にはいったのにすぐに絵を描かせないムサビなんてクソ。タマビに行けばよかった」と思うかもしれないけど、タマビも同じです(笑)
あ、上野毛組は最初の3日間は八王子なんですね。
そんなに楽しいものではないけど、必ず聞いておかなくちゃいけないもの。
(2)その中でも大事なオリエンは・・
ムサビでは教職オリエン、学芸員オリエン、奨学金説明会等は「出席することが申し込み必須条件」になっています。希望する人はどんな理由があろうとも絶対参加。タマビ・女子美も出願者は絶対参加ですね。
高校時代までは「参加しなくても大人がなんとかしてくれるよな・・・」だったかもしれませんが、大学は「参加するもしないのも本人次第」が原則なので、「明日大事なオリエンがあるからね」「なんで来なかったの?」なんて注意することもなく、「ふーん、来なかったんだね。・・・で?」が基本スタンス。高校までの考え方を変えないとかなりヤバイです。
また、「子どもがバイトで参加できないので親が代わりに参加してもいいですか?」という問い合わせもお母さまから時々あるんですが、もう大学生なので何が大事なのか子供さんに判断させてください。
(3)特に教職課程は・・・
手羽が学生時代に教職の先生から、こういわれたのをはっきりと覚えてます。
「時間厳守など最低限の社会の基本ルールが守れない人は教育実習先の学校、先生・生徒さんに迷惑をかけることになる。心で思う分にはいいけど『オレ、先生になる気はないんで』なんてことを教育実習で平気で生徒に言ってしまう学生もたまにいる。教育実習は受入校にかなりの負担をかけてやってもらってることなので、その姿勢は絶対にありえない。教職を取るからには厳しい条件をクリアできる人だけ残し、できない人ははじくだけ」
親から「美大に行くなら資格ぐらいは取れ」と言われて嫌々教職課程を取る学生さんもいるとは思いますが、教職・学芸員資格はそれなりの覚悟をもって取る必要があります。逆の立場で考えてみてよ。「時間も守れない、教職優先で考えない先生に自分の子どもを学ばせたいですか?」でして。
また、その分取らなくちゃいけない単位(と費用)も増えるのでその覚悟もね。
それらの覚悟があるのなら、手羽は人生経験としても教職は取っておいた方がいいと思ってます。
(4)健康診断も実は大事
定期健康診断と聞いて、「プププ。大学生で身長とか計るのってダサくね?」と受けない人がいるんだけど、お父さんお母さんが提出しなくちゃいけない書類に必要な場合があります。奨学金受給にも必要だったと思いますよ。
また、教育実習・就活でも提出しなくちゃいけないケースがあるので新入生じゃなくても受けときましょ。大学で受ければ無料だけど、外で受けるとボチボチな金額がするんですよ。時間も大学より拘束されるし。
(5)プレイスメントテストとは
「手羽の学生時代にはなかったけど、今は当たり前になってるもの」が二つあって、一つはプレイスメントテストです。
多くの大学で現在の英語能力を見たり、英語クラス分けのために英語のプレースメントテストを実施してるはず。テストといってもクラス分けするためのものなんで、特に事前準備は必要なく緊張する必要もありません。
(6)今は自校史教育もある
2つめが自校史教育。
「自分の大学を理解し愛校心をもてば、勉学も頑張れるはず」というのもあって、どの大学も最近は自校史教育に力を入れるようになってきてます。ムサビだと「ムサビ入門」という授業もあるくらい。「へー」な話が多いので、「昔話なんてめんどくせー」と思わずちゃんと聞いてね。
ムサビ生・タマビ生ならせめて「ムサビとタマビは喧嘩して二つに分かれた」ぐらいの基本情報は知っておこうよ。
(7)1年間で一番人が多い期間
オリエンテーション期間含め最初の3週間ぐらいはみんなが同じ時間に真面目に(笑)動くので、食堂とかがどこもすごい行列になります。不思議なのが5月ぐらいになると混雑がなくなるよね・・・不思議だけど・・・。
最初の方はお弁当かパンを準備しといた方がいいかもしれません。食堂で誰かと一緒に食べる時はそれを食べればいいわけだし。
(8)待ち合わせ
人見知りの手羽には無理ですが、オリエン初日で友達ができる人もいるでしょう。今だとLineグループが入学前にできてるケースもありますしね。
で、「じゃ、明日正門で待ち合わせね!」と約束をすることになるかもしれないけど、美大生は時間にルーズで・・。「ムサビタイム」という言葉がありますが、きっと「タマビタイム」「セイカタイム」もあるんじゃないかと(あってほしい)
でも4月初旬って風も強く、まだ肌寒い。待ち合わせするなら、建物の中とか会場とかにしましょ。それと「相手が遅れる場合は先にオリエン会場に行く」という待ち合わせの条件も決めておきましょ。相手のせいで自分も大事なオリエンに遅刻する必要はないんで。
(9)プリント物や掲示物は大事
高校までだと、ホームルームで明日の予定だったり、月終わりに翌月のスケジュール表をもらってたかもしれませんが、基本的に4月のオリエンで配られたものが全てです。
個々の学科や授業で詳細なものはちょこちょここれからも配られるだろうけど、全体が見渡せるものって他にないんです。
また、大学からの連絡事項はメールやネットで見れることもあるけど、基本は掲示板の貼紙での連絡です。オリエン期間にもらったプリントは大事に保管し、掲示板を毎日見る習慣つけときましょ。
(10)いつからバイトを入れるか
最初は大学全体オリエン、各学科のオリエンぐらいですが、授業が動き出せば徐々にサークル説明会や新入生歓迎コンパ、課外講座、就職説明会、グループワーク打ち合わせなんかがどんどん入ってきます。就職説明会は全員が参加できるように夕方(課外)に開催されることがほとんど。
あ、「課外講座」という概念は高校までにはありませんよね。先生が著名人や専門家を呼んで開く講座で、学生であれば参加することができます。こちらも基本は夕方に開催されます。
ムサビタマビなんかだと結構な著名人がきます。典型例は空デ・片山先生がやってる「instigator」でしょうか。どんな人が来たかこちらを見てみて。
http://instigator.jp/
なので意外と夕方に参加したくなるもの、参加した方がいいものがあるんですよ。
だから、夕方のバイトや動かせない予定はせめて大学の様子がわかってくる4月中、可能であれば夏前までは入れない方がいいですよ。
以上、新入職員へのオリエンテーションを半日頼まれた手羽がお送りいたしました。
手羽に半日あずけるってことは、「学校法人とは」みたいな仕事の話じゃなく、ムサビ大好き話をやれってことなんだろうなあ・・。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。