日本初の公立近代美術館が65年の歴史を経て閉館
「カマキン」の愛称で親しまれた神奈川県立近代美術館 鎌倉(以下、カマキン)が、現在開催中の「鎌倉からはじまった。Part3:1951-1965 『鎌倉近代美術館』誕生」展の最終日 2016年 1月31日をもって展覧会活動に幕を閉じ、3月末日に閉館する。
同館は日本初の公立の近代美術館として、1951年、鶴岡八幡宮境内に開館した。以来、近代美術の魅力を発信し続けるとともに、日本の美術館運営の道標となり、大きな役割を果たしてきた。
カマキンは日本で初めての公立近代美術館であること、さらに所蔵品ありきで作られた美術館ではないため、近代美術館としての運営もコレクション形成も文字通りゼロからのスタートだったという。はじめはニューヨーク近代美術館などを範としながら、手探りで美術館づくりを進め、現在の日本の美術館運営の基準ともいえる運営スタイルを徐々に築きあげた。コレクションの多くは寄贈や寄託品によって形成され、コレクションの重要な核となり、開館当初より鏑木清方氏、片岡球子氏ら、多くの人々が積極的に作品の寄贈を通じてカマキンを支援、応援してきたことによって、現在の潤沢なコレクションができ上がったのだ。
いかに愛され、信頼されていた美術館であるかを感じることができる。
▼展示概要
カマキン最後の展覧会
鎌倉からはじまった。1951-2016
PART 3:1951-1965
「鎌倉近代美術館」誕生
会期:2015年10月17日(土)~2016年1月31日(日)
会場:鎌倉近代美術館
詳細:公式サイト
美術館におけるコレクションの意味とは
日本の美術館全体のこれからについて考えるトークイベント
そんなカマキン閉館を惜しみ、神奈川県立近代美術館の館長 水沢勉さんを講師に迎え、東京・青山の青山ブックスクールでは1月15日トークイベントが開催される。
水沢さんからのメッセージを紹介しよう。
「いまや日本を代表する有数の観光地のひとつである鎌倉は、中世以来の長い伝統に育まれた地方都市です。いまでこそ賑わいをみせていますが、戦後しばらくはかなり人通りも少ない寂しい状態であったようです。1951年に日本で最初の公立の近代美術館が鶴岡八幡宮境内に出現したとき、それは文化的事件といってよいものでした。その活動が日本の近代美術の全体像を私たちに知らしめる貢献をなし、同時に、鎌倉という都市に近代的、現代的な魅力を付け加えたのです。そのような文化空間のなかで形成された当館のコレクションには、独特のいくつもの物語が宿されています。それを少しでもお話できたらと思います。」
カマキンのコレクション形成を中心に開館当初からの歴史と変遷を辿り、日本の美術館・美術界におけるカマキンの役割と成果を見ていくことで、美術館におけるコレクションの意味を考える。さらに、本イベントを通じ、カマキン閉館の意味を今一度捉えなおし、カマキンの美術界における貢献をいかに継承していくのか、これからの神奈川県立近代美術館、さらには日本の美術館全体のこれからについて考える機会となりそうだ。
▼講座開催概要
シリーズ「美術館とコレクション」第5回
神奈川県立近代美術館 鎌倉 最後の展覧会開催記念
鎌倉からはじまった。コレクションの物語 1951-
日程:2016年1月15日 (金)
時間:19:00〜21:00/開場18:30〜
受講料:2,700円(税込)
定員:45名様
会場:青山ブックセンター本店内・小教室
詳細 :http://www.aoyamabc.jp/culture/museum-collection5/
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