【美大卒美大職員は意外と少ない】君も大学職員になろう4

2021年5月5日(水) ↑いつまでこの写真を使うんだろう(笑)

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昨日まで「大学職員」の話でしたが、今日から「美大職員」の話に入ります。
アレがアレなので、ここからはさらに「あくまでも個人の見解です」ということを強調させてもらいます・・。


手羽のせいか「美大職員は美大卒ばかり」と思われてるフシがありますが、美大といっても大学なので(笑)、ほとんどの専任職員は一流総合大学卒の方達です。

文化学園大学と多摩美術大学が入職者の出身大学を公開してるので見てみましょう。
学校法人文化学園 採用実績
学習院女子大学、大東文化大学、筑波大学、東北大学、法政大学、青山学院大学、桜美林大学、神奈川大学、神田外語大学、北九州市立大学、慶應義塾大学、國學院大學、芝浦工業大学、成蹊大学、玉川大学、大東文化大学、東京家政大学、東洋大学、獨協大学、日本大学、明治大学、明星大学、文化学園大学

学校法人多摩美術大学 採用実績
北海道大学、東京大学、横浜国立大学、京都大学、桜美林大学、学習院大学、慶應義塾大学、国際基督教大学、駒澤大学、上智大学、専修大学、中央大学、東海大学、東洋大学、法政大学、明治大学、立教大学、早稲田大学、同志社大学、立命館大学、多摩美術大学
と有名な大学名がずらりと並びます。手羽がレアケースなだけで。
いろいろ聞いて回った限りでは、どの美大も母校卒専任職員は1割以下で、1割以上で公表してるところは助手さん等を専任職員カウントしてるケースですね。

というのも美大事務業務で学生や高校生と話をするような仕事、直接美術に関係する仕事はほんの一部の部署なんです。くどいですが美大といっても「大学事務」なので、総務、人事、経理、施設管理、IR、法人、経営戦略、監査など表に出ないバックオフィス系や美術の知識をほとんど必要としない仕事の方が実は多い。


広報や教務のようないわゆる「顔を出す仕事」の方が大学事務は少ないけど、学生時代に接触するのがそこのスタッフなだけ。
小さな美術単科大学でも、教職員やパートさん、研究室スタッフ、非常勤講師を入れると1000人近い人が働いてることになります。バックオフィスがちゃんとしていないと機能しないんですわな。

また募集時に「美術館採用」等専門職として採用されない限り、数年でジョブローテーション(人事異動)する美大が多いです。ムサビや女子美は3~5年で別の部署へ異動することが多いし、東京造形大は法人採用だと桑沢デザイン研究所に配属されることも普通にあります。タマビはこれまでほとんど人事異動が無かったけど、最近は頻繁(突然?)にやるようになったかな?

いろんな職員に「なんで美大職員になろうと思ったの?」と聞いたことがありますが、たいていはゴニョゴニョごまかしたり、「たまたまかなあ・・」と遠くを見る、そんな感じです。面接で「御校の教育理念や活動に感銘を受けまして」「美術に興味があり」とか言ってても、ま、皆さんそんなもん。
美術が嫌いじゃなければ大丈夫だし、「趣味は美術館に行くことです」なんて取ってつけたように面接で言わなくても全然問題なく、美術館に行ってないからといって落とされることも多分無いです。
てか美大職員で月に1度以上美術館やギャラリーに行ってる人はどれだけいるんだろ?


  • オープンキャンパスの準備をするムサビの職員さん

ところで20年ぐらい前まで大学業界では「大学職員はスペシャリストであるべきか、ジェネラリストであるべきか」という論争をやってた時期がありました。
当時は「全員スペシャリストであるべき派」が多かったけど、現在は「ジェネラリスト派」、つまり「いろいろ経験して、いろんな立場や視野から意見言えて見通せる人の方がよくね?」な声が昔より強くなってます。

スペシャリストの存在は必要だけど、「中堅になりました。でも他の部署がどういう仕事をやってるのか、他大学の状況がどんな感じか全然知りません。他美大の知り合いもいません」となった時の怖さを徐々に実感し始めてるのかもしれません。


  • 2020年1月にやったタマビ・女子美・東京造形・桑沢・ムサビの美大職員飲み会。はやくコロナが終息してまた飲みたいっすね

その人の成長・伸びしろや数年後の組織のことを考え、「これからの課題を解決するには、若いうちにいろんな仕事を経験した方がいいし、他大学に知り合いがいた方がいい。全員がスペシャリストである必要はない」という流れになってる気がしてます。


とはいっても。
タマビのTCLやムサビのクリエイティブイノベーション学科等両大学の最近の動きを見ればわかりますが、2021年の今、「昔から美術館に行くのが好きで、絵を描いてる学生さんを支援したいので」レベルの話を少なくともこの両大学の採用面接試験で熱く語るのは逆効果になる可能性がないわけでもなく、ある程度研究はしといた方がいいかもしれません。
また、逆に広報課へ配属になって、高校生に大学の説明をしなくちゃいけないシーンがすぐにやってくるかもしれません。

美大の代表、大学の営業として行ってる以上「美大卒じゃないんで美術のことはよくわかりません・・」なんて言えるわけがないのは、会社の営業に置き換えればわかるはず。
全然経験値がないものを説明しなくちゃいけない怖さがあるから、美大卒じゃないからと心配はいらないけど、覚悟はして受験した方がいいです。


まとめ。

美大の事務職員は「美大の中で一番身近な『世の中の人』」です。
大多数が専門的な美術教育を受けていない、美術体験がない人間で構成された美大内のグルーピングは事務職員だけなんですよ。
最近まで美術や美大とは関係なかったけど「美大を理解しなくちゃ」「美術をなんとかしなくちゃ」と気づき、社会的な立場から分析し企画提案してくれる人がどれだけ貴重な存在か。
超大手の大学事務を目指すのもいいですが、そういうグルーピングに入ってやる仕事も面白いですよ。


続く。

以上、「必要なのはスペシャリストでもジェネラリストでもなく、プロフェッショナルだ!」という声が最近は強いです、の手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。