【美大卒の人ぜひ!】美大職員になろう4

2020年4月21日(火)。TOP画像は去年の東京4美大若手職員SD研修の様子なんですが、一番左の方は3月で辞めちゃったそうです・・。

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2020年4月21現在、学校法人武蔵野美術大学が専任職員の募集をしています。

学校法人武蔵野美術大学 専任職員募集概要
●雇用形態:専任職員(総合職)〈正職員〉
●募集人員:若干名
●勤務地:鷹の台キャンパス、吉祥寺校、市ヶ谷キャンパス
●採用期日:2020年9月入職
●応募条件:
 1)4年制大学卒業以上
 2)2020年9月1日時点で、35歳以下(若年層の長期キャリア形成を図るため)
●応募方法
 1)マイナビ所定ページよりエントリー
 2)応募書類を期日までに送付
●応募締切日:2020年5月18日(月)17:00エントリー完了及び応募書類必着

*新型コロナウイルスの感染拡大状況次第で、選考スケジュール、採用予定日が変更になる可能性があります。

いい機会なので美大職員について、数回に分けてお届けしてます。
今までの話はこちら↓
【導入編】君も美大職員になろう1
【美大卒職員は意外と少ない】君も美大職員になろう2
【キャリアステップの考え方】美大職員になろう3

 
これまで書いてきたとおり、美大職員といっても大学職員なので、実際は美術と関係ない仕事の方が多く、一般大学卒の職員が多いです。

個人的には、これからの美大のためにももっと美大卒業生が美大職員になってほしいと思ってます。

でも、美大卒者はバックオフィスの存在をイメージしにくいようで、どうしても一般大学卒のジェネラリスト的な発想を持ってる人と比べると弱く感じられてしまい、なかなか最終面接まで上がってこれないんですよ。
美大卒の人は「高校生に美術の面白さを伝えたいんです!」「ワークショップと産学経験あります!」「絵を描くのが好きです!」「美術を頑張ってる後輩を応援したいんです!」「学生や受験生に接したい!」と(気持ちはわかるけど)強く言い過ぎてしまって、「ふーん・・それしかやりたくないの?」と思われ逆効果になる可能性が高い。
また、「美大職員試験なんて楽勝」と甘い考えの美大卒より、例え一夜漬けでも大学のことをちゃんと調べて対策してきた総合大卒に面接の印象で負けちゃうみたい。そこを引っ張り出せない面接官にも責任はあるのだけど。


ただ、美大職員の難しいところは「とはいっても美術の世界と全く無縁じゃない」で、なんやかんやいろんな部署で美術・デザインに関係する仕事が出てきます。教務課だと卒業制作展だったり、学生生活課だと芸術祭だったり。直接ではないけどある程度美術・デザイン事情がわかってないとつらいケース。就職課もそうですね。

あ、ちなみに知ってる学生さんが卒業後活躍してると嬉しいもんで、例えば卒業生を紹介するMAUjin(マウジン)に以前登場した

公益財団法人 日本ラグビーフットボール協会広報担当の武藤真菜さんは視覚伝達デザイン学科卒で、2016年から日本代表の広報担当をされています。
去年皆さんがご覧になってきた、

ONE TEAMロゴは実は武藤さんがデザインしたものなんですよ。こういうことがあるから美大職員はやめられないの(笑)
MAUjinの取材は2018年だから記事で「日常の会話の中にラグビーが出てくるといいなと思っています」と語ってるけど、その後どうなったかはご存知の通り。それを想像するだけでおっちゃんはウルウルきちゃいます。


ところで時々言われるんですよ。
「手羽さんはいいですよね。美大卒だからデザインの知識も美大の知識もあって」と。

いやいや。確かに美大やファインアート、特に彫刻の知識と経験は総合大卒の人よりありますが、デザインについては広報、デザイン・ラウンジ、産学を担当するようになって「あ。今の状態じゃまずいぞ・・」と必要に迫られて勉強しただけで、スタートラインは普通の人とほとんど変わらないはずです。
社会連携の仕事をやってなかったら多分10人もデザイナーの名前を言えなかったと思います。関係する部分を優先的に勉強したから、いまだに「応用はわかるけど基礎はない」の状態だし(涙)
「武藤さんがONE TEAMロゴをデザインした」ってのも大学WEBサイトとかに出てるわけじゃなく、マメにあちこち調べてるからでして。

美大の知識も学生時代はほとんどなく、他大学のことを積極的にチェックするようになったのは広報・・の時ではなく美大愛好家になってからです。「美大卒だから」ってのはあまり関係ないかも。

名古屋造形大の移転先を自腹でチェックしたのは、趣味であり美大卒とは全く関係ないし(笑)


・・・ここまで読むと「全然美大卒が美大職員採用試験を受ける優位点がなくね?」と思うかもしれません。
ポイントは「美大の本質的な学びがなんなのか?美術やデザインの必要性は何か?」を自分事として考えた、実感したことがあるか、それを自分の言葉で語れるかどうかだと思ってます。
これは確実に美大出身者の優位ポイントだし、逆に美大卒でそこが言えないと超マイナスポイントになるはず。

産学連携の依頼の8割は「若いセンスを使ってパパーとオサレなデザイン作って(無料で)」「練習がてら壁に絵を描いて(無料で)」で、世の中的には美大の学びってそんなもんなんです。
先ほど紹介した武藤さんも最初は「美大でグラフィック勉強してたなら、ロゴ作ってくれない?」な軽い話だったんじゃないかと勝手に推測してるんだけど。

「美大での本質的な学びやその必要性」を体感してる人が美大職員に増えれば、もっと美術・デザイン業界や美大業界、そして社会ががよくなるはずだと信じてます。なのでたとえ総務や経理に配属されるとしても美大卒の美大職員がもっと増えるべきだし、個人的には美大卒ほど役所に就職してほしいと思ってるくらいで。
・・って書くと行間読めない人から「手羽が役所勤めを推奨してる。そんなに就職率を上げたいのか?ムサビも落ちたもんだ」とSNSで叩かれたりするんだけどね。


続く。

以上、保護猫の金太郎が手羽家にやってきて1か月がたって、ようやく

近くで無防備に寝てくれるようになった手羽がお送りいたしました。
よく「テレワーク中に猫が膝に乗ってきて仕事にならない」とSNSで見かけるけど、そこまでいくにはまだまだ時間がかかるなあ。邪魔してくれるのが夢なんだけど。
あ、金太郎のほとんど変わらない写真が200枚ぐらいあるので、手羽関係者にはzipにして送りつけます。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。