【美大卒職員は意外と少ない】君も美大職員になろう2

2020年4月16日(木)

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2020年4月14日から学校法人武蔵野美術大学が専任職員の募集を始めました。

学校法人武蔵野美術大学 専任職員募集概要
●雇用形態:専任職員(総合職)〈正職員〉
●募集人員:若干名
●勤務地:鷹の台キャンパス、吉祥寺校、市ヶ谷キャンパス
●採用期日:2020年9月入職
●応募条件:
 1)4年制大学卒業以上
 2)2020年9月1日時点で、35歳以下(若年層の長期キャリア形成を図るため)
●応募方法
 1)マイナビ所定ページよりエントリー
 2)応募書類を期日までに送付
●応募締切日:2020年5月18日(月)17:00エントリー完了及び応募書類必着

*新型コロナウイルスの感染拡大状況次第で、選考スケジュール、採用予定日が変更になる可能性があります。
 

いい機会なので美大職員について、数回に分けてお届けします。
今までの話はこちら↓
【導入編】君も美大職員になろう1


昨日は「大学職員」の話でしたが、今日は「大学職員」と「美大職員」のブリッジ的な話を。


手羽のせいか「美大職員は美大卒ばかり」と思われてるフシがありますが、美大といっても大学なので(笑)、ほとんどの専任職員は一流総合大学卒の方達です。
採用実績をムサビは出してないので、タマビの採用実績を見てみると、北海道大学・東京大学・横浜国立大学・京都大学・桜美林大学・学習院大学・慶應義塾大学・国際基督教大学・駒澤大学・上智大学・専修大学・中央大学・東海大学・東洋大学・法政大学・明治大学・立教大学・早稲田大学・同志社大学・立命館大学、と有名な大学名がずらりと並んでて、だいたいムサビも同じ感じです。あとは青学と東京農大、東京女子大あたりかな。
約70人いるムサビ専任職員でムサビOBOGは1割ぐらいだし、他美大さんでの美大卒割合もこんなもんだと思います。

というのも美大事務業務で学生や高校生と話をするような仕事、直接美術に関係する仕事はほんの一部の部署なんです。くどいですが美大といっても「大学事務」なので、総務、人事、経理、施設管理、IR、法人、経営戦略、監査など表に出ないバックオフィス系や美術の知識をほとんど必要としない仕事の方が実は多いんですよね。


ムサビみたいな小さな大学ですら、教職員や研究室スタッフ、非常勤講師を入れると1000人以上の構成員がいるんです。バックオフィスがちゃんとしていないと機能しないんですわな。


また募集時に「美術館採用」等と書かれてない限りはどの部署に配属されるかわからず、基本的に数年でジョブローテーションするから、たまたま最初教務に配属されても数年後には人事課に異動することがあります。
ムサビや女子美は基本3~5年で別の部署へ人事異動するようにしてるし、タマビはほとんど人事異動がない大学だったけど、最近は頻繁に(突然に?)人事異動が起きてるようですね。

20年ぐらい前まで大学業界では「大学職員はスペシャリストであるべきか、ジェネラリストであるべきか」という論争をやってた時期がありました。
当時は「全員スペシャリストであるべき派」が多かったけど、現在は「ジェネラリスト派」、つまり「いろいろ経験して、いろんな立場や視野から意見言えて見通せる人の方がよくね?」な声が昔より強くなってます。

スペシャリストの存在は必要だけど、「中堅になりました。でも他の部署がどういう仕事をやってるのか、他大学の状況がどんな感じか全然知りません。他美大の知り合いもいません」となった時の怖さを徐々に実感し始めてるのかもしれません。
その人の成長・伸びしろや数年後の組織のことを考え、「これからの課題を解決するには、若いうちにいろんな仕事を経験した方がいいし、他大学に知り合いがいた方がいい。全員がスペシャリスト(プロフェッショナル)である必要はない」という流れになってる気がしてます。
(キャリアステップの話は後日書きます)


  • 東京4美大合同若手SD研修の様子

去年初めて東京4美大合同若手職員SD研修を開催しましたが、企画書に「美大職員としての意識醸成のため」とかあることないこと(えっ)いろいろ書いたけど、最大の目的は「若手職員どうしで交流もってほしい」だったくらいで。


なので「美大職員と言われても、美術の知識があんまりないし・・」という方もなんら心配いりません。
いろんな職員に「なんで美大の採用試験受けたの?」と聞いたことがありますが、明確に美大と自分との関係を語った人はいなくて、「たまたま」とかそんな感じだったかな?面接で「御校の教育理念や活動に感銘を受けまして」とか言ってても、ま、みんなそんなもんです。
嫌いじゃなければ大丈夫。手羽が特殊と思ってもらった方がいいです。
「趣味は美術館に行くことです」なんて取ってつけたように面接で言わなくても全然問題ないっす。てか美大職員で月に1度以上美術館やギャラリーに行ってる人はどれくらいいるんだろ。


まとめ。

美大の事務職員は「美大の中で一番身近な『世の中の人』」です。
最初に書いた通り美大職員の9割は一般大学出身者だから、大多数が本格的な美術教育を受けていない人間で構成された美大内のグルーピングは事務職員だけなんですよ。
最近まで美術や美大とは関係なかったけど「美大を理解しなくちゃ」「美術をなんとかしなくちゃ」と気づき、社会的な立場から分析し企画提案した声を受け入れない理事長や学長はまずいません。
そういうグルーピングに入ってやる仕事も面白いと思いません?


続く。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。