10月4日(金)、手羽にとって念願の・・ほんとに念願の日がとうとうやってきました。
それは、
東京4美大合同の若手職員SD研修だったのです!
この日に至るまでの経緯を説明しましょう。
2014年9月に京都五芸術大学[京都市立芸大、京都造形藝大、京都精華大、京都嵯峨(現 嵯峨美)、成安造形大]の若手職員向け合同SD研修があり、京都精華のF岡さんに声をかけていただき、手羽が講師を担当したんですわな。
・・この頃は京都市芸さんと京都造形さんは仲良かったんだなあ・・喧嘩しちゃうと2大学だけじゃなく京都5芸術大学の集まりもやりにくくなるから、また仲良くなって、合同SD研修やりたいっすね・・。
で、「東京でも美大合同の若手職員向けSD研修をやりたい!」と思って、帰ってすぐに東京6美大(藝大、タマビ、女子美、東京造形、日芸、ムサビ)の美術系大学連絡協議会で提案し、2015年1月には各大学の研修担当課長達にプレゼンさせてもらいました。動き早いでしょ?
当時手羽は人事研修とは全然関係ない法人企画室長だったんで、そのポジションの人間が研修プレゼン提案するってのも異例な話だったんだけど(笑)
でも、国立大や大規模な日大と私立美大では研修の考え方が違うことがわかって、調整がうまくいかず、美術系大学連絡協議会では凍結することに・・。
ちなみに日大は今年が130周年で、たまたま昨日帝国ホテルで記念式典が開催されてました。
「なんとかして合同SD研修できないかなあ・・」と思いつつ、2015年の夏に今度は神戸芸術工科大学で全職員向けSD研修の講師をやらせてもらいました。東京で、というか逆に京都から更に西に行っちゃてるわけですが。
ちなみに神戸芸工大さんは今年30周年で、来週式典や杉浦康平さんの講演会などが催されます。
「手羽は東京の美大から嫌われてるのかな・・」と悶々とする日々。
ところが、東京4美大(タマビ、女子美、東京造形、ムサビ)の総務系部署で構成する「東京4美大総務人事共同研修 管理職部会」が合同SD研修を検討してる時、「そういやムサビの手羽が以前、合同若手職員SD研修を提案してたっけ」と覚えてた方がいらっしゃったんです。
で2年前にこの企画が再浮上し、「んじゃ管理職部会括りの東京4美大でやりますか。最初は言い出しっぺのムサビさんで」と決まったのが1年前、というわけ。
そう、実現までに5年かかったんです(笑)
「ポジション関係なく提案する」「発信してれば、すぐに実現しなくても夢は叶うかもしれない」「壁にぶつかったら切り口を変える」、ここを若手職員さんに知ってもらいたいっす。
さて、合同若手職員SD研修の話に入ります。
12時30分に市ヶ谷キャンパス1階集合。
最初にキャンパス見学。
しかし面白いもんで、12時半前にMUJIcom 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスをのぞいたら「あ。あの人は今回の参加者だな」ってなぜかわかっちゃうんですよ。「大学職員」って普通のサラリーマンと違う独特の空気感を出してて、文科省の説明会とかで駅に到着すると「多分あの人は大学職員だろうなあ」と感じた人は方向が同じことが多い。
不思議なもんで。
で8階の会議室に入り、第1回目となる記念すべき合同SD研修スタート!
主催者を代表して、東京造形大さんから挨拶。
「せっかくの4美大合同の機会なんだから」と、総務系部署が集まってSD研修の裏で情報交換会も開催されることになりまして。
この人たちの前で研修をやれって、そりゃ若手職員は緊張するよね(笑)
皆さんは途中で退室し、別室で働き方改革や同1労働同1賃金の議論をしてたはず。
ここからが手羽の本番。
前提講義で定番の「美大ってなんだろうね」って話を40分間。
定番といっても、東京4美大向けに内容は半分ぐらい変えたけど。話したいことが多すぎて、40分に収めるのにほんと苦戦しました・・・。
この合同SD研修の趣旨は2つあります。
一つ目はもちろん「美大職員としての意識醸成」。
「大学職員」「管理職向け」「経理」「ハラスメント」研修などはどの大学も学内外でやってますが、「美大職員に特化した内容の研修」ってないんですよ。
せいぜい教員にしゃべってもらって「美術・デザインの理解を深める」ぐらいで、「職員視点での美術大学」をしゃべれる人がいない。
なんせ「美大」というかなりニッチな世界だから、企業も美大向けのデータを作っていないんです。
よくある大学統計データや大学ランキング等も「芸術系」で括られていたらまだありがたい方で、「芸術系・体育系」でまとまってることが多く、「体育と一緒じゃ全然データの意味がないんだけど・・」と思ったり、「その他」と書かれたり、場合によっちゃ「芸術系大学は除く」とされちゃったり(これ結構多い)
なので自分たちで作るしかなく、例えば、
補助金交付データも慶応・早稲田さんとかなら競合校との比較表が転がってるけど、美術系大学なんて誰も知りたいと思わないから、チマチマ元データを調べて抜き取って作るしかないんですね。
でも、これくらいのことだったら大学によっては経理部署で既にやってるかな?
こちらは東京藝術大学の志願者数推移。
「18歳人口の減少」を示すデータはいろいろあるけど、これもまとまったものはないから、藝大が発表してる毎年の志願者確定数を1年ずつ遡って拾っていくしかありません。皆さん作るきっかけがない(使い道がない)から「あったら欲しいと思うけど、面倒だから手間かけて作る理由もない」な情報。
逆の言い方するなら、補助金交付データ、他大学の志願者数推移、科研費獲得数等はデータのありかがはっきりしてるから、時間ときっかけさえあれば誰でもできちゃう資料とも言えます。
でも、「美大関係者なら誰もが欲しいと思うけど作れないもの」の典型例が、この「美術系大学に関連した今後の動向」です。
「大学や社会・産業の今後の動向や予測」はあるんです。でも美大版がないんすよ。
上司に指示されてネットを調べながら作ればある程度のものはできるとは思いますが、データのありかがはっきりしてないんで、これだけの情報集約は「美大ニュースまとめ」で15年間常に美大関連の動きをチェックしてる手羽にしかできないはずで。
なんせ「過去の案件」ではなく「今後の動向」だから意外とこれ難しいんですよ。
なおかつ上記スライド見るとわかりますが、美大だけじゃなく、美大に間接的に関係しそうなものも同時に集めてるので。
手羽は2025年ぐらいまでの動向データを作っています。皆さんから「このデータだけ欲しい」とよく言われますがあげません。欲しい美大さんは手羽に研修やらせてください(笑)
んで、美大に関する知識や他美大の動向から「きざし」を感じ取り、美大、そして自大学の置かれてる状況を把握・共有して未来を予測し、今何をやるべきか考え、課題に取り組み、美大職員としての意識醸成をしましょう、と。
どちらかというとバックキャスティング的な考え方。
ただどっちかというと、このSD研修の趣旨・意義は実は2つ目の方で、
「他美大の職員仲間を作ろう」です。
ここに写ってるのはムサビ、東京造形、桑沢、女子美、タマビの職員。
広報系部署だと高校説明会とかで他美大職員と知り合いになれるチャンスがありますが、総務や経理、教務だとなかなかないんですね。外にあまり出ないし、年に2,3回の合同会議で会っても飲みに行くほど仲良くならないわけで。
広報時代に知り合った他美大職員さんは手羽にとっての最大の財産です。
「若手職員どうしで交流もってほしい」は管理職部会全員一致してる考えで、皆さんも同じ経験をされています。
それによって美大のつながりが強くなるし、他美大職員なら職場の悩みも相談できるし、業務に関する情報も入手しやすくなる。仲間ができて悪いことはひとつもない。
「そんな狭い世界だけで仲良くなってどうすんだ?」という声も実はあります。
確かに「来年の受験生獲得」という面では各美大で競い合うべきだし、「知識」ということでは一般大学や企業の方と関係を持った方がいいに決まってるけど、「10年後、20年度の美大や美術教育」は1大学では解決できないから、美大がつながって考えるしかない。
そのために仲間を今のうちに作っておいてもらいたいのです。
なので、グループワークショップなどもそれを考慮した内容で構成しました。
ちなみに人事研修が業務ではない東京造形大のM澤くんは、代休を使って見学に来てました。「休みを使って興味を持った場所に行く」というシャドーワーク的な姿勢はうちの人も真似してほしいなあ・・。
M澤くんはどんだけ合同SD研修が手羽の念願だったか知ってるから、開催祝いまでもらっちゃった(笑)
勢いづいた手羽は「ムサビ新学部・新学科の設立裏話。裏コンセプト。それでわかったこと」も話しましたよ。こういうお土産もないとね。これを聞きたい他美大の方はぜひ研修講師に手羽を呼(以下略)
これでいかに東京4美大合同SD研修が手羽の念願だったかわかっていただけましたか?
長くなりそうなので続くっ!!
以上、ここははっきりさせてもらうけど、つまり手羽が4月に異動して「やりたいやりたい」と言い出したわけじゃなく、2015年に提案し、去年企画が動き出し、たまたま今年開催されただけなんだからね!の手羽がお送りいたしました。
どうもムサビの中で「手羽がわがまま言い出した」的な空気を感じるの(笑)
普段の行いが悪いからだけど(涙)
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。