【オシャレVS作品】美大生における本と服のバランス論考

美大生はお金がない。作品の勉強のための本とおしゃれするための自分の洋服、両方買うのはなかなか至難のワザ。大事にするべきなのは自分のファッション?それとも作品のための勉強に使う本?元美大生のイラストレーター・ニッパシヨシミツが本と服のバランスの取り方について、体験談を交えながらおおくりします。

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学生の頃、住宅の課題で悩んでいた時にインターン先の先生から「良い建築家になるならとにかく本です。本、本、本です。君はもっと本を読みなさい。」といったありがた〜い格言をいただきました。

「ちょっと極端だなあ」と思いつつも、何だかとてもしっくりきてしまい、気づいたらバイト代のほとんどを書籍代に充てるようになっていました。今になって冷静に考えれば、建築をたくさん見学した方がためになりそうな気もしますが、その当時は本以外何にも接しないくらい、読書にのめり込んでいました。

その一方、僕は服についてはまったく興味がなく、「服なんて着れればなんでも良い。」と身だしなみには無頓着な生活を送っていました。

そんなノームコアな僕だったのですが、クラスメイトの華麗なる転身をきっかけに、興味が本から服へ、ずずずっとシフトしてしまったのです。


彼は入学当時、絶滅危惧種のギャル男みたいなバンドマンスタイルをしていました。ずっとブレずに卒業するのだろうと思っていたのですが、4年の中盤に突然変異が起こり、「別人か!」というぐらい洗練されていきました。一体何があってこうなったのかさっぱりわかりませんが、彼も僕と同様にインターン先かどこかでありがたい格言をもらったのかもしれません。

課題のプレゼンでも、作品のクオリティはギャル男のままでしたが、そのおしゃれな服装のおかげでその説明には妙な説得力がありました。
僕は彼のプレゼンを目の当たりにし、本より服の大切さに気づかされ、すぐさま書を捨てて青山へ向かいました。

「オレも奇抜な服を買ってプレゼンに挑むぞー!」と意気込んで青山のセレクトショップに向かったのですが、店のエントランスに「アメカジお断り!」という結界が張ってあるような気がして、何度行っても結局入店できませんでした。

こんなふうにして僕の場合の美大ライフは、前半から中盤まで服よりも本一筋。
後半から卒業までは服を意識するけど買えない。というブレブレなスタイルで卒業してしまいました。

本と服。学生は服より本を買う方が正しいと思われがちですが、クリエイティブ業界で生きていくなら服もかなり重要な要素となってきます。最後に、美大によくいる「服に興味がいきすぎた学生パターン」と「服に興味がいかなすぎた学生パターン」をご紹介。

服に興味がいきすぎた学生の卒制

1. 卒制よりファッションが目立ってしまっている
2. 究極に調べているかもしれないが、パネル展示なのでインパクトにかける
3. 作品名を難解にしがち

服に興味がいかなすぎた学生の卒制

1. 本人が汚すぎて作品の一部に見えてしまう
2. インパクトを狙いすぎて内容が薄い
3. 作品名がその場しのぎ

さて、あなたはどちらのタイプだったでしょう。まわりにこんな美大生はいませんでしたか?
作品のための勉強と自分の格好の間で葛藤する美大生のみなさん。
あなたは本と服、どっちを買いにいきますか?

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OTONA WRITER

ニッパシ / nippashi

人間観察が得意なイラストレーターです。 小さい頃は立川のパチンコ屋で育ち、人間観察の基礎を学びました。 大学では6年間建築を学び、新宿歌舞伎町や団地の研究をしました。 最近は人相占いに目覚め、顔面占い師としても活動しています。 個性的な人や面白い建築を発掘し、イラストで紹介したいと思います!